Special Feature
AsanaとWrikeに聞く 分散型ワーク下の効果的な 「ワークマネジメント」方法
2021/03/11 09:00
週刊BCN 2021年03月08日vol.1865掲載

コロナ禍の影響でリモートワークが広がった現在、働き方が多様化し、分散した環境下で仕事を進めることが当たり前となっている。プロジェクト管理の観点では、各メンバーのタスク内容や進捗状況を可視化・共有するとともに、リモートでもコミュニケーションが取りやすい環境を整える必要があるが、そのためにさまざまなツールを導入してはかえって管理が煩雑になる可能性がある。分散型の働き方が前提となる中で、効率的かつ高い生産性を発揮しながら仕事を進める方法とは。ワークマネジメントツールベンダーとして定評のあるAsana(アサナ)とWrike(ライク)に尋ねた。
(取材・文/谷川耕一 編集/前田幸慧)
新型コロナウイルスの感染対策として、昨年来、リモートワークを導入する企業が拡大した。メールやSlackなどのチャットツール、ZoomやMicrosoft TeamsなどのWeb会議ツール、さらにDropboxやBoxのようなファイル共有サービスがあれば、自宅などリモート環境でも十分に仕事ができるという人は多い。
一方で、「リモートワークでは生産性がなかなか上がらない」という声もある。いくらチャットやWeb会議のツールがあっても、一緒に働くメンバーが目の前にいて、すぐに必要なコミュニケーションがとれるオフィス環境と比べると大きな違いがある。
昨今は自社メンバーに加え、外部の協力会社などと「バーチャルチーム」を作り、新製品やサービスを開発する、あるいはデザイナーなどの外部人材とともにキャンペーンを展開するようなケースも増えている。参加する人が増えその人達がそれぞれ分散して働く場合、プロジェクトの進行状況をしっかりと把握し、より良い成果を迅速に導き出すのは簡単ではない。結果的にオフィスに集まってリアルな会議を頻繁に開催しているプロジェクトも多い。
分散した働き方において、バーチャルチームでプロジェクトを進める際には、どのような課題があり、解決するにはどう取り組めば良いのか。バーチャルチームのプロジェクト管理をスムーズに行えるツールとして関心を集めているAsanaとWrikeにフォーカスし、両社のSaaSをベースに効率的かつ高い生産性で仕事を進めるヒントを探る。
Asana
一人一人の仕事内容をタスクベースで可視化する
仕事に関わる情報を全て一元管理できる
リモートワークのために、多くの企業がチャットやWeb会議ツールを急いで導入した。ただ、そうしてツールはそろえたものの、蓋を開けてみると「1日中チャットしていたり、途切れなくWeb会議に参加していたりといったように、仕事として付加価値のあるアウトプットができたのかという、リモートワークのジレンマに気付いた人も多い」と、Asana Japanの田村元・代表取締役ゼネラルマネージャーは指摘する。
会話やチャットでコミュニケーションをとるのは重要だが、それで仕事が前に進んでいるとは限らない。「誰が何をいつまでに進めるのか、それを全ての人が分かるようにする必要がある」(田村代表取締役)。その実現のため、2020年春頃からAsanaに対する問い合わせや採用が増えているという。
個人で完結する仕事であれば、働く場所がオフィスであっても自宅であってもあまり影響はなく、コミュニケーションさえとれれば問題なく仕事は行える。一方、チームで協力しながら仕事をする場合は、全員でプレゼンテーション資料の内容を検討したりプランニングを行ったりして、そこから個人がパーツとなる仕事を担う。パーツに落とし込めればリモートでも問題はないが、チームでの分散型の働き方では、離れたところで仕事ができる環境を整えることではなく、それぞれの人が行うべき仕事を明らかにし、相互に関連させた中で優先順位を決めることが求められる。
実は、これはリモートワークを前提とした分散型の働き方でも、従来のオフィスに集まる働き方でも、変わるものではない。ただ、「(オフィスのように)声を掛ければ返答があり状況をすぐに把握するということが、リモートワークではできない。オフィスで集まってやるのと同じ生産性を、分散型の働き方では発揮しにくい」と田村代表取締役。いまのリモートワークの環境下では、「(パーツとして各個人に)分散している仕事を分散型の環境で行っていくときに、それをどうやってマネージするかということが必要とされている」と語る。
Asanaでは、誰がいつ何をしているかを可視化できる。この、誰がいつ何をしているかの把握は、「プロジェクト」に限定した話ではなく、全ての「仕事」に当てはまる。例えば広告を制作し出稿する、記事を執筆し配信するなど「プロセスを回すものは全てAsanaで効率的に管理できる」(田村代表取締役)。
複数メンバーで仕事を行う際に、やり取りはチャット、報告はPowerPoint、進行管理はExcelといったように、複数のツールを使い分ける人も多いが、「Asanaではこれらを全て一つに集約できる」と、Asana Japanの山田寛久・ソリューションエンジニアは説明する。オフィスでメンバーがともに働いている場合でも、ばらばらなツールを使っていると仕事の全体が把握しづらく、結局はホワイトボードに進行状況やメンバーのToDoリストを記述してやりくりしている現場もある。
ツールがばらばらだと、情報が仕事やプロジェクトに一貫した形で結び付けられない。「Asanaは仕事に会話がつながり、仕事の中でファイルを共有できる。タイムライン型のチャットツールは会話がどんどん流れてしまうが、Asanaでは仕事の中に会話があり、重要なものを見逃すことはない」と山田ソリューションエンジニア。一つの仕事にひも付く形で会話や資料の共有が可能で、Web会議の録画データもAsanaの中で管理できる。全ての情報を仕事にひも付けて管理できることが、分散型の働き方ではより重要になるという。
また、リモートワークの環境では相手がずっとPCの前に座っているとは限らない。そのため、情報のやり取りで時間のずれが生じる。メールやチャットで、資料の中身を確認したかをチェックするとなれば作業は煩雑で漏れも出る。Asanaのように仕事にひも付けてあらゆる情報を一元的に管理できる仕組みがないと、分散環境で仕事やプロジェクト全体の把握は難しいのだといえる。
「人」の管理ではなく
「タスク」の管理が重要
米国のように国土が広く国内でも時差がある地域では、分散型の働き方に早い段階から取り組んできた。分散していてもチームで上手く仕事ができるよう、Asanaのようなツールも早くから採用されている。その上でジョブ型の人事制度も普及しており、メンバーがどのような仕事をするかを明確化する記述の「ジョブディスクリプション」も一般的だ。「米国企業などではメンバーが何をする人で、その人に組織が何を求めているかが明確化されている。これらが明らかなので、分散しても比較的スムーズに仕事ができている」と田村代表取締役は説明する。
一方、日本では人材に対し仕事を割り当てるメンバーシップ型が主流だ。そのため上司が采配を振り、仕事を割り当て管理する。分散して働くことは前提としておらず、目の前にいるメンバーを上司が上手くコントロールできれば、業務の重複などの無駄も発生しにくい。進行状況もオフィスにいるので、上司が尋ねればすぐに確認できる。
それがコロナ禍によって急きょ分散化し、目の前にメンバーがおらず上司が采配を振れない。結果、週次のWeb会議で「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」を待ったり、状況把握のために頻繁に部下とミーティングを行ったりして業務に追われるという状況が生まれている。
このように日本では「人」を管理する傾向が強く、「仕事」や「タスク」単位での管理に慣れていない。分散型で人を管理しようとすると、前述のようにミーティングが増え生産性は上がらない。分散型の働き方では「人が行うべきタスク」で管理するよう発想を変える必要がある。それを実現しやすくするのが、Asanaのような「ワークマネジメントツール」になる。
Asanaはグローバルで8万9000社、国内でも2000社を超える利用があり、平均50%の生産性向上を実現しているという。「使いやすさ」が評価されるポイントで、直感的に操作でき、ユーザーはマニュアルを参照する必要もない。「情報入力ツールだと、現場はなかなか使ってくれない。日々の利用でAsanaのメリットを感じてもらうことで、ユーザーはさらにAsanaを利用する。そうなれば、情報の抜けもなくなる」と田村代表取締役。型にはまった使い方を強いるのではなく、現場が加えたい情報はすぐに加えることができる。それをIT部門などに依頼せず実現できるのも評価の高いポイントだという。
さらに、山田ソリューションエンジニアは、「Asanaは単なるプロジェクト管理ツールではなくワークマネジメントツール。目標もプロジェクトも、タスクもワークフローも一つのツールで管理できる」と強調。使用方法は多岐にわたり、ガントチャートツールから乗り換えてソフトウェア開発で利用している例があるほか、マーケティング施策の管理や、人事などのバックオフィスで日々のワークフローやタスク管理にも利用されている。
また、組織内、組織外の区分けはAsanaにはない。外部人材を加える際は適切な権限設定をするだけであり、内外で使い方に差はない。社外ユーザーには課金が発生せず、費用面でも外部ユーザーを加えやすい。そのためマーケティングなど、外部人材を活用することが多い領域での利用例は多いという。
全ての人が
仕事で使うツールに
日本におけるAsanaの利用拡大に向けては、「目の前の課題を組織に正しく認識してもらうことが重要」だと田村代表取締役は話す。今年1月に2度目の非常事態宣言が発出されたが、生産性が向上しないとの理由でリモートワークを進めていない企業もある。これはリモートワークだから生産性が上がらないのではなく、分散した働き方で「人」を管理しようとすることに問題があるのだ。組織として何が課題であるかを理解し、分散した働き方でもきちんと生産性が上がる方法を見いだす。同社では、「市場に対して課題を認識してもらい、われわれがその解決方法を提示し、多くの方々に知ってもらう」(田村代表取締役)ことに取り組んでいる。
Asanaの良さをより理解してもらうため、今後は国内大手企業の成功事例を活用して啓蒙を図る。「どういったチャレンジをして効果が出ているかを、ユーザーに語ってもらう。お客様のより良い事例、社会に対してインパクトのある事例をどれだけつくれるかもチャレンジになる」と田村代表取締役。さらにAsanaのパートナーからもAsanaの良さを伝えてもらうことにも力を入れている。
「Asanaはどんな業務でも使える分、どう使えば効果が出せるかをしっかりと伝える必要がある。そのためにはコンサルティング的なアプローチが必要。これについては、さまざまな業界で強みを持つパートナーと一緒に取り組んでいく」と、Asana Japanの桐谷圭介・パートナーリードは話す。例えばパートナーはZoomやTeamsなどさまざまなツールを扱っている。それにAsanaも加えどのように活用できるか。そういったところからパートナーと協業しアプローチすることになる。
また、Asanaを使うことで、部下を監視・管理するマネージャーの仕事が、タスクを管理しチームでパフォーマンスを上げるものに変わる。これはマネージャーの仕事の変化で、人事部門が新たにAsanaに興味を持つきっかけにもなる。人事部門にアプローチする場合は、人事領域に強いパートナーと組む。既存のインテグレーションに強いテクノロジーパートナーに加え各領域に強いパートナーを増やすために、Asanaではパートナープログラムの刷新も予定している。「AsanaはPCやタブレット、スマートフォンのように、あらゆる人が使うツールでもおかしくないと思っている」と田村代表取締役は強調。Asanaを使い全ての人の仕事をより良くマネジメントしてほしいと語る。

コロナ禍の影響でリモートワークが広がった現在、働き方が多様化し、分散した環境下で仕事を進めることが当たり前となっている。プロジェクト管理の観点では、各メンバーのタスク内容や進捗状況を可視化・共有するとともに、リモートでもコミュニケーションが取りやすい環境を整える必要があるが、そのためにさまざまなツールを導入してはかえって管理が煩雑になる可能性がある。分散型の働き方が前提となる中で、効率的かつ高い生産性を発揮しながら仕事を進める方法とは。ワークマネジメントツールベンダーとして定評のあるAsana(アサナ)とWrike(ライク)に尋ねた。
(取材・文/谷川耕一 編集/前田幸慧)
新型コロナウイルスの感染対策として、昨年来、リモートワークを導入する企業が拡大した。メールやSlackなどのチャットツール、ZoomやMicrosoft TeamsなどのWeb会議ツール、さらにDropboxやBoxのようなファイル共有サービスがあれば、自宅などリモート環境でも十分に仕事ができるという人は多い。
一方で、「リモートワークでは生産性がなかなか上がらない」という声もある。いくらチャットやWeb会議のツールがあっても、一緒に働くメンバーが目の前にいて、すぐに必要なコミュニケーションがとれるオフィス環境と比べると大きな違いがある。
昨今は自社メンバーに加え、外部の協力会社などと「バーチャルチーム」を作り、新製品やサービスを開発する、あるいはデザイナーなどの外部人材とともにキャンペーンを展開するようなケースも増えている。参加する人が増えその人達がそれぞれ分散して働く場合、プロジェクトの進行状況をしっかりと把握し、より良い成果を迅速に導き出すのは簡単ではない。結果的にオフィスに集まってリアルな会議を頻繁に開催しているプロジェクトも多い。
分散した働き方において、バーチャルチームでプロジェクトを進める際には、どのような課題があり、解決するにはどう取り組めば良いのか。バーチャルチームのプロジェクト管理をスムーズに行えるツールとして関心を集めているAsanaとWrikeにフォーカスし、両社のSaaSをベースに効率的かつ高い生産性で仕事を進めるヒントを探る。
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料) ログイン会員特典
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。 - 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…
