国内電機大手が、データドリブン時代のビジネスモデルの構築に取り組んでいる。日立製作所とパナソニックが米国ソフトウェア企業の大型買収を相次いで発表したことはその最たる例だ。また、三菱電機、東芝も、データを活用したソリューション事業を今後の重点成長領域に設定。ソニーやシャープも、データ活用において存在感を高めようとしている。ITを主軸事業とする富士通やNECだけでなく、それ以外の電機大手にとっても、データドリブン時代の到来は大きなビジネスチャンスにつながる。
(取材・文/大河原克行  編集/日高 彰)

 一般的に「電機大手8社」という言い方がある。日立製作所、ソニー、パナソニック、三菱電機、東芝、富士通、NEC、シャープの8社のことを指す。事業構造や得意分野、生い立ち、事業規模はさまざまだが、ここにきて、各社ともデジタル領域への投資を加速したり、データを中心に捉えたビジネスモデルの構築に余念がない。本紙では、ITをコア事業に据える富士通、NECの事業戦略を取り上げることが多いが、今回は両社以外の電機大手6社の取り組みに焦点を当てたい。

過去最大規模の買収

 今年に入ってIT業界を驚かせたのが、日立とパナソニックが、それぞれ米国ソフトウェア企業の大型買収を発表したことだ。

 日立は、デジタルエンジニアリングサービスの米グローバルロジックを買収。今年7月末までに買収を完了し、日立グローバルデジタルホールディングスの完全子会社とする。買収総額は、有利子負債返済を含み96億ドル(約1兆500億円)と、日本の電機業界では過去最大となる。

 一方、パナソニックは、サプライチェーンソフトウェア専門企業の米ブルーヨンダーの全株式を取得すると発表。今年度第3四半期までに買収を完了する予定だ。パナソニックは、すでにブルーヨンダーの20%の株式を8億ドル(約880億円)で取得していたが、残りの80%の株式取得と有利子負債返済を含めて71億ドル(約7700億円)で買収する。ピーク時には2兆円の売上高を誇った三洋電機の買収額を上回ることになる。

 両社が買収した米ソフトウェア企業の売上高は、いずれもわずか10億ドル前後(約1100億円)であり、それにも関わらず、巨額の買収額になった点にも注目が集まった。日立とパナソニックは、なぜこれだけの大型買収を行ったのか。

継続率9割の強固な顧客基盤

 日立が買収したグローバルロジックの設立は2000年9月。米カリフォルニア州サンノゼに本社を置き、世界14カ国に約2万人以上の従業員を擁する。20年度の売上収益は9億2100万ドル、調整後EBITDA率は23.7%に達しており、今年度見通しは売上収益で約12億ドルと、高い成長を見込んでいる。

 Chip-to-Cloud(チップからクラウドまで)に対応できるデジタルエンジニアリングサービス企業であり、高度なソフトウェアエンジニアリング技術やエクスペリエンスデザイン力に加えて、通信や金融サービス、自動車、ヘルスケア・ライフサイエンス、テクノロジー、メディア・エンターテイメント、製造など、多様な業界に関する専門知識を有し、400社を超える企業に導入。継続率は9割以上という強固な顧客基盤を持っているのが特徴だ。

 日立の東原敏昭会長兼CEOは「グローバルロジックの買収は、Lumadaを進化させ、グローバル展開を加速させるのが狙い。別の言葉でいえば、『世界のLumada』にするための買収である」と断言する。

 Lumadaは、データから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための日立独自のプラットフォームであり、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション、サービス、テクノロジーで構成される。16年の提供開始以来、国内外を含めて1000社以上への導入実績を持ち、20年度売上収益は1兆1100億円。これを、21年度には42%も成長させ、1兆5800億円に拡大する計画を打ち出し、さらに、25年度には売上収益で3兆円、調整後営業利益で5000億円を目指している。