Special Feature
『週刊BCN』歴代編集長“雑”談会 IT業界・メディア・週刊BCN……存在意義と行く末を考える温故知新の大放談
2021/10/21 16:00
これからのメディアビジネスで
考えるべきコンテンツの価値
本多 取材するというのは、コンテンツをつくる側の課題意識をアウトプットに込めるための出発点になる行動だと捉えてるんですよ。メディアのコンテンツって、読者が誰なのか、読者の目的が何なのかによっていろいろパターンがあっていいとは思うんです。でも、Web上のメディアプラットフォームには、取材を前提としない、読者の時間を無駄に消費させるだけのコンテンツがあまりに溢れすぎてる気もするんですね。それでもそのプラットフォームに人が集まればビジネスとしては順調に成長できてしまったりする。木村 でも、それは長続きしないと思う。
畔上 いや、続くと思うな。
本多 実は私もそういう状況は続くんじゃないかと思っていて、メディア業界の端っこにいる業界紙ではありますが、どう向き合えばいいのかなと考える時があるんですよ。
読者が知りたい情報を提供することは大事ですが、その先に想像していなかった気づきや洞察みたいな、さらにプラスアルファの「お土産」があることがクオリティを備えた記事の条件だと思っていまして、そういう記事を継続的に発信していくにはコストもかかりますよね。そのコストの価値がメディアビジネスの中でどんどん低く見積もられるようになってきている気がするというか。
大河原さんはご自身のブランドを確立されていろいろなメディアにコンテンツを提供する立場ですし、木村さんは先ほどタイアップ広告のクオリティの話をしてくれましたけど、新しい経済メディアであるとともにマーケティングツールでもあるNewsPicksでマネタイズのド真ん中を担う立場。畔上さんはメディアの世界を離れてマーケティングでメディアを利用する立場ですね。これからのメディアビジネスがどうあってほしいか、ぜひご意見をうかがいたいです。
木村 コンテンツの力があれば商売はできると思う。NewsPicksの話で言うと、プレミアムプランに月額1500円払うって、やっぱりそれなりの金額ですよ。それがいま17万人くらいいるわけで。うちの編集部の人間、やっぱり優秀ですから。コンテンツが本当に面白ければ絶対にお金が取れるし、有料媒体として成り立つというのはWebの世界でも同じだと思っています。
うちはキュレーションの機能もあるから外部のコンテンツもあるけど、やっぱりつまんない記事とか信ぴょう性が低い記事はボッコボコに叩かれてるし、ちゃんと面白い切り口で取材したものは広告であっても評価される。そういうところがあるから、読者を信じてるというか。
畔上 一定層の意識の高い人を相手にするなら木村さんの理論でビジネスになると思うんですよ。でも、メディアの商売はそれだけじゃないから本当に難しいと思う。
有料会員が17万人って確かにすごいけど、読売新聞だったら700万部超えているわけです。朝夕刊セットなら月額5000円近いコストがかかるのにですよ。どんどん部数が減っていると言っても、17万と比べたらかなり差がありますよね。NewsPicksはそこをもう顧客として囲い込んでしまっているから勝ち組と言えるんだけど、インターネットは2匹目のドジョウはいないから。勝てるのは最終的に1分野1社というのがネットの世界ですよ。
コンテンツの力を信じるのはいいんだけど、すごい優秀な人間を集めてNewsPicksの二番煎じで成功できるかというと、もう厳しいと思う。NewsPicksはビジネスモデルが秀逸だったからね。だからこそ後から優秀な記者が集まってきたという側面もあるでしょ。
木村 それはそうだね。
畔上 だから、コンテンツの力だけで戦える時代かというと、微妙ではあるというのが結論かな。
ITビジネスエコシステムを
掘り下げる
大河原 媒体の立ち位置が明確であるというのが重要で、そこを表現するために全力で動く編集者とライターがいるという構造でビジネス紙はいいと思う。一方でいかにバズらせるニュースを書くかが大事なメディアもあって、同じテーマを扱っても記事の書き方は全然違うんだよね。じゃあBCNはどうするかというときに、BCNの読者層っていうのは明確だし、かなりニッチだし、尖った人たちだし、そういう人たちに刺さるコンテンツというのはBCNでしか出せないと思うんですよ。単純に言えば売り手に対して響く原稿をちゃんと書けるかどうかというのが問われるわけで、書いてきたからこそ40年間継続してきたということで、そこが他の媒体との差別化になっていると思う。
いま、売り手に向けた切り口で書ける媒体ってBCNしかないんですよ。売り方が変わっても、売る人は絶対にいなくならない。DXによって作り手も使い手もみんな売る人になってきているから、そういう切り口で市場をカバーできる媒体だからこその存在感を出していくのが、生き残る道だし差別化になるということではないでしょうか。
本多 そうおっしゃっていただいてうれしいですね。というのも、いまの週刊BCNやWebの週刊BCN+は「ITビジネスエコシステム探求メディア」を標榜しているんですよ。日本のデジタル活用の進化だったり、そもそも我々の読者のビジネスや業界がさらに成長していくには、「メーカー」→「何らかの形で間接販売の機能を担うディストリビューターや販売店、SIer」→「ユーザー企業」と一方通行で流れる従来型のITの販路がメインストリームのままでは限界があるという課題意識が近年大きくなってきたからです。
実際取材の現場でも、大河原さんが言うところの作り手、売り手、使い手が渾然一体となってIT市場のエコシステムを形成するようになってきていると実感する場面がこの数年は特に増えてきています。ソリューション開発の上流で価値を共創したり、共創したソリューションを拡販したり、またある時はソリューションをユーザーの業務と融合させビジネス上の成果を出してもらうために支援・伴走するなど、三者が交わるレイヤーや組み方も多様になってきているのは間違いないですよね。そういう状況を踏まえて、売り手としての役割を果たすことになる人のビジネスを後押しできるというのをコンテンツの価値として大事にしていかなきゃいけないと思っていますし、読者基盤もまだまだ拡大できると思っているんですけどね。
畔上 私が編集長をやっていた時は、紙の購読営業を積極的にやっていましたね。時代に逆行しているのは分かりつつも部数を増やしたいと思っていた。業界の人材も入れ替わるし、BCNを知らない人もまだまだいっぱいいるんですよ。だから、こちらがアピールすると購読したいと思ってくれる人は結構いる。特に地方はそういう傾向が顕著だったので、地方で講演する時はBCNの特集と時流を合わせて解説していましたよ。「BCN面白そうですね」と言われるのがすごくうれしくて。
まだまだ購読が広がるチャンスはあると思うし、日本全国、ITベンダーはなんだかんだで増えてるし、IT業界は日本が沈没しても最後まで残る業界ですから。だからITの業界紙っていうのは本当にポテンシャルがあるんですよ。
紙媒体は生き残れるか?
Webに埋没しないための方策は?
本多 畔上さんは在籍時から紙にすごくこだわりがありますよね。畔上 紙が必要か必要じゃないか、議論は行ったり来たりすると思うけど、やっぱりなくなってほしくないしね。学校の教科書に紙が残っているうちは、紙で読みたい人はいなくなりませんよ。なんでもタブレットにすればいいわけじゃなくて、紙に落書きしてパラパラ漫画をつくらないと小学校を卒業できないというのは今も昔も一緒ですよ。
紙で学んだ人たちの間では、真剣に読もうと思ったら紙で読みたいというニーズは絶対になくならないと思う。逆にネットの情報が紙媒体みたいな書き方していると、早く結論言えと思ってイライラするんだけど(笑)。だけど紙なら起承転結で読みたい感じはする。BCNは紙のいいところを残しつつ、業界紙として業界を盛り上げていってほしいと思います。業界は必ず盛り上がるし、日本がある限り残るので。
木村 むしろもっとテックを使ってほしいなという気がする。
畔上 それもありだよね。
木村 メディアの役割って情報発信だけじゃなくて、コミュニティーをつくって育てていくというのがあるよね。業界紙は特に。最終的にはコミュニティーを媒介にした斡旋業だから、もっとデジタルマーケティングのテクノロジーをふんだんに使って、情報発信だけでは終わらない新しい時代のサービスを考えたほうがいいじゃないかと思う。
大河原 紙は残っていくと思いますよ。それが主流ではないにしても、紙ならではの特徴があるし、それをうまく使っていろんな訴求や貢献ができるだろうし。BCNは残存者利益を得ているところもあるのは大きなメリットで、タブロイドサイズでフルカラーで毎週出している媒体はないからね。そのメリットはいろいろと生かせると思いますよ。
ITと同じですよね。クラウドがいいという流れは当然あるし、モダナイズしていかなきゃいけない世界だけど、一方でオンプレミスのいいところも生かされているわけじゃないですか。メディアも紙とデジタルを同じように捉えてもいいんじゃないかと思いますけどね。
本多 いま週刊BCNがやろうとしているのも、まさにハイブリッドなメディアとしてのトランスフォーメーションなんですね。
現状、記者会見を取材したニュース記事は速報性重視でまずはWebに載せています。そうしてWebに蓄積されていくニュース記事から1週間ごとに何本か週刊BCNの編集方針に従ってピックアップ・再編集して、「1週間の業界の動き・トピック」を知らせるコンテンツとして紙にも掲載しています。それを紙のメインコンテンツである特集や個別取材に基づく市場動向解説記事、トップインタビューなどと組み合わせて紙面を構成しているわけですね。媒体特性って、個別の記事を書くときも当然意識する必要はありますが、根本的には情報のパッケージだったり、メディアサービスのプラットフォームの総体で表現するものだと思うんですよね。その意味で週刊BCNというパッケージの価値は読者の皆さんにもある程度評価していただいているのかなという手応えはあります。
木村 確かにパッケージとしての価値というのはある。
本多 一方で、Webでのプレゼンスをもっと高めなきゃというのは大きな課題で、今年、Webの読者動向を分析して読者エンゲージメント強化策を立てて実行する専門のチームを社内で立ち上げたんですね。木村さんがおっしゃったようなテクノロジーも導入して、全社方針として積極的な投資もしています。
ハイブリッドなメディアとしての最終的な姿を模索している段階というのが現状なんですけど、少なくとも、紙とWebを問わず読者情報を一元管理して、ワン・トゥ・ワンに近いかたちでニーズに合った読者体験・ユーザー体験を提供していく必要はあるんだろうとは考えていますね。
ようやくゲストが登場、
ここで中締めです
本多 さて、宴たけなわですが、ここでスペシャルゲストが到着しました。……第8代目編集長の谷畑さんです!取材先、読者でご存じの方も多いと思いますが、3年前に大病されて、懸命のリハビリの甲斐あってかなり回復され、独力で近場の電車移動や簡単な発話くらいならできるようになっているということで、本日はこの後の打ち上げにも参加していただくべく、お越しいただきました。
木村 うわー、谷畑さん本当に久しぶりですね。ご無沙汰しちゃって申し訳ないです。
畔上 もう3年前か。入院していた時にお見舞いに行って以来ご無沙汰しちゃったけど、元気そうでよかった。
大河原 思ったより元気そうだね。
谷畑 4人もBCNの歴代編集長が集まってんのか。みんな全然変わらないね。
谷畑良胤
本多 谷畑さん、今日はわざわざBCNのオフィスまで足を運んでいただいてありがとうございます。編集長座談会も締めに入っているんですが、谷畑さんからもぜひ一言。
谷畑 週刊BCN、創刊40周年おめでとうございます。編集長を6年やったけど、とにかく楽しかった。それに尽きるね。倒れてから今まで、入院していた時からリハビリを続けてきた間も、BCNでの仕事を通して出会った仲間がたくさん支えてくれて、本当に感謝しています。この場を借りてお礼を言わせてください。ありがとうございます。
本多 みんな泣きそうになるので、そろそろ飲みに行きましょう。今日から都内も解禁ですから。それではこのあたりでお開きということで。みなさんご参加いただき、ありがとうございました。
(おわり)
■プロフィール
第5代編集長/フリーランスライター 大河原克行
1965年、東京都生まれ。1998年から2000年まで週刊BCNの編集長を務め、01年にフリーランスジャーナリストとして独立。電機、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を行う。著書に「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)など。
第8代編集長 谷畑良胤
1964年、埼玉県所沢市生まれ。日本大学法学部新聞学科を卒業後、日本教育新聞社に記者として入社。その後、ソフトバンクBBのECサイト「バーティカルネット」に入社。2002年、BCNに入社。07年5月から12年11月まで週刊BCN編集長を務める。18年、インプレス入社。
第9代編集長/ニューズピックス ブランドデザイン Head of Creative 木村剛士
埼玉県出身。駒澤大学卒業。2002年、BCNに入社。週刊BCN編集部で記者を務め、10年に副編集長、12年12月から14年1月まで編集長。その後ユーザベースに移籍し、ニューズピックス(15年に分社化)でブランドデザイン チーフブランドエディターなどを務めた後、現職。
第10代編集長/GMOシステムコンサルティング 量子計算コンサルタント 畔上文昭
1967年生まれ。金融系システムエンジニアを約7年務めて、出版業界に。月刊ITセレクト(中央公論新社発行)、月刊e・Gov(IDGジャパン発行)、月刊CIO Magazine(IDGジャパン発行)の編集長を歴任。2013年にBCN入社。15年2月から17年12月まで週刊BCN編集長を務める。19年、取材で得た量子コンピュータ関連の人脈と知識を生かして量子計算コンサルタントに転身。ザイナスを経てGMOシステムコンサルティングに。

4度目の緊急事態宣言解除が台風16号も連れてきてしまった10月1日、金曜日。東京・神田のBCNオフィスに週刊BCN歴代編集長の面々が集まった。創刊40周年の節目は、温故知新の大切さを改めて胸に刻む絶好の機会。BCNを離れた後も、それぞれの分野で活躍する先輩に話を聞かねばなるまい。とはいえ、いずれも強烈なパーソナリティーの持ち主である。果たして場を御しきれるか、自分が企画しておきながら甚だ不安な気持ちで先輩方の到着を待っていた、週刊BCN編集長・本多。嵐の中、歴代編集長座談会、もとい雑談会が幕を開ける――。
■参加者
第5代編集長/フリーランスジャーナリスト 大河原克行
第9代編集長/ニューズピックス ブランドデザイン Head of Creative 木村剛士
第10代編集長/GMOシステムコンサルティング 量子計算コンサルタント 畔上文昭
モデレーター
週刊BCN編集長 本多和幸
ゲスト
第8代編集長 谷畑良胤
※記事後半の登場をお楽しみに!
ITベンダー、新経済メディア、フリーランス
それぞれの進路
本多 今日は台風の中集まっていただいて、ありがとうございます。木村さんは私がBCNに入社した時の編集長ですし、畔上さんとは入社時期がほぼ一緒。木村さんから畔上さんに編集長が交代してからは上司と部下という関係でした。お二人とも今でも時々お目にかかって情報交換したり、相談に乗ってもらったりしています。大河原さんには私が編集長に就任した後、週刊BCNで定期的に特集を執筆していただいています。先輩編集長と何らかの形でつながっているというのは、すごくうれしいですし、創刊40周年という節目でもありますので、一種の内輪向け企画ではありますが、フランクな座談会の場を持たせていただいたという趣旨です。では、早速始めましょう。まずは皆さんの近況からうかがいます。最近の編集長からいきましょうか。畔上さん、お願いします。
畔上 BCNを辞めた後、IT業界に戻りました。BCNを辞めて、メディア業界に残るという選択肢はなかったですよ。BCN大好きですから。
本多 あ、まあ……はい、続きをどうぞ(笑)。
畔上 老い先短いので、新しいことをやりたかったってことですね。私が編集長だった時はすごくラッキーで、AIの第三次ブームが起こったり、IoTが出てきたり、新しいテクノロジーが盛り上がったタイミングでした。
AIを取材したら私には全く手に負えない世界だったんだけど、量子コンピューターが出てきて、手が届く感じがしたんですよ。
畔上文昭
本多 SEだったキャリアを持つ畔上さんならではという感じですが、それは量子コンピューターに関わっている人が少なかったからってことですか?
畔上 少ないというより、天才ばかりがやっている世界だったからですよ。みんなのビジネスにどう生かすかというレベルで量子コンピューターのことを考えている人がいなかったので、学術系とビジネスの間を埋める役割、そこのレイヤーが必要だなと思って飛び込んで、今に至っています。
本多 量子計算コンサルタントとしての仕事って、どれくらいあるんですか?
畔上 量子コンピューター自体は週刊BCNでも特集してもらっているとおり、なかなかビジネスで活用するのは難しいのが現状です。多分、私が現役バリバリでできる間は難しい。だけど道筋くらいはつけられないかなと思って取り組んでいます。
ということで、量子計算コンサルタントの仕事だけというわけにもいかないので、BCN時代に培った人脈やノウハウを生かして、マーケティングの世界にも身を置いています。
本多 じゃあ、次は木村さん、お願いします。
木村 自分は「NewsPicks」というソーシャル経済メディアを運営・開発しているニューズピックスで、広告制作部門にいます。部署名としてはブランドデザインって名乗っているんですけど、そこでHead of Creativeという肩書で仕事してます。いま、広告制作メンバーは17人かな。そこでマネジメントをやっています。
木村剛士
本多 ブランドデザインの仕事はブランディングのための記事広告制作ってことですよね。
木村 そう、タイアップ広告ですよ、基本は。あとはBCNもやってるけど、イベントをやったり、映像に力を入れているので、映像部門と連携して番組をつくったり、プロモーションビデオつくったりとかをしています。
本多 いろんなメディアで、タイアップのコンテンツもクオリティを重視する傾向が強まっている気がします。一般紙でも報道部門の記者が記事広告の制作部隊にかなり異動しているなんていう話も聞きますし。
木村 うちもあるよ。NewsPicksは読者のコメントが出ちゃうから、編集部の記事であろうと記事広告であろうと、キュレーションした他社の記事であろうと、クオリティが低いと容赦なく叩かれるんですよ。記事広告のクライアントにしてみると、最悪なのはお金を出したのに叩かれるというケース。だから妥協できないっていうのはある。あと、そういう仕組みだから単にクライアントの要望を聞いてつくるだけというのとも違うのはポイントかな。
本多 こっちの言うこと聞いたほうが費用対効果の高いコンテンツになりますよ、みたいな。
木村 そうそう(笑)。コメントでどんな反応が返ってくるのかも踏まえて主体的な提案ができるから、コンテンツをつくる側もやりやすいところはあります。
本多 大河原さん、お待たせしました。大河原さんには週刊BCNでも健筆を振るっていただいていますが、特定の媒体をメインフィールドにしているというわけでもないですよね。
大河原 そうですね。IT系の媒体にはだいたい書いているかな。一般紙やビジネス紙にも連載があったり、ちょくちょく書いていますね。
そういえば、フリーになったのがちょうど2001年の10月なんだよね。つまり、今日で20年目。
大河原克行
一同 おお、すごい! おめでとうございます。
大河原 ただ、その間、出世もせず、肩書も変わらずという感じですね。
本多 いやいや、もう大河原ブランドが早期に確立されていたということじゃないかと思いますが。ちなみに大河原さんはフリーになった当初から今のように仕事が潤沢だったんですか?
大河原 実を言うとね、BCNにいた最後の半年くらいは、フリーの仕事も並行してやっていた感じだったかな。奥田(喜久男、BCN創業者・会長兼社長)さんもいいよって言ってくれて、完全フリーになるまでの助走期間みたいなものができたんですよ。そこで連載が何本も始まって。
フリーランスになってかなり初期の仕事だったんだけど、宝島社の『週刊ウルトラONE』で編集者として僕を担当したのが木村さんで。畔上さんがIDGジャパンの編集者時代も何か書いていたような……。
畔上 いや、大河原さんと私が初めて直接会ったのは、『月刊ITセレクト』(中央公論新社発行)をやっていた時ですね。私が創刊編集長だったんですけど、よく大河原さんに怒られていたのが私です。「なってねえんだよ畔上は」って言われて。育てていただきました。
本多 多分後半は嘘だと思うんですけど、どこまでが本当の話なのか分からない……。
全員が取材経験のある唯一のKey Personは
大塚商会・大塚裕司社長
本多 次の話題にいきましょう。BCN在籍時、皆さんそれぞれ当時の業界を代表するキーパーソンに取材してきたと思うんですが、特に印象に残っている取材相手ってどなたですか?
週刊BCN編集長 本多和幸
木村 これは大河原さんの聞いてみたい。
大河原 僕がBCNにいたころはパソコンを追っていた時期で、Windowsが出始めたタイミングですよね。NECの「PC-9800」シリーズが6割くらいのシェアを取っていたのが、どんどん減っていって、50%を切るようになったあたりから業界内が大騒ぎになって、という時期で。
高山由(NECの元専務取締役で「ミスター98」と呼ばれた)さんに何度も取材をして、NECはPC事業をどうするんだという話をするんだけど、行くと最初の30分くらいは取材にならなくて、業界のいろいろな裏話とかメディアの批判とかで終わるんだよね。残りの30分で取材してみたいな感じで。
NECが6割のシェアを持っていた時に、98包囲網というのができて、DOS/Vが出てきたりしたんですけど、高山さんが面白かったのは、「シェア6割のNECを残りの4割でどう包囲するんだ」って言ったんですよ。それが非常に印象に残っていますね。
本多 でもその後、包囲されちゃったわけですよね。
大河原 包囲されちゃいましたね。あとは特定の取材相手ということではないけど、「Windows 95」の日本語版発売の夜とか、編集部みんなで量販店に張り付いて取材したのは記憶に残っていますね。
木村 そういう時代だったっていう情景が浮かぶ話ですね。個人的には、週刊BCNの若手人材インタビューコーナー「Face」の取材が好きだったな。本多さんが潰しちゃったけど(18年の紙面リニューアル時に一旦休止に)。ライブドアがまだ有限会社オン・ザ・エッジだった頃の堀江貴文さんが最初のインタビュイーだったっていう歴史もいいよね。
本多 (休止については)まあ、いろいろ当時の状況もありまして。Faceで木村さんが取材した中で印象深い人ってどなたですか?
木村 これはいま時の人って言っていいと思うけど、登大遊(NTT東日本ビジネス開発本部特殊局員、筑波大学産学連携准教授、ソフトイーサ代表取締役、IPA産業サイバーセキュリティセンターサイバー技術研究室室長)さん。当時19歳かな。IPAのスーパークリエータ認定を受けた時に出てもらったんだよね。
本多 インタビューはどんな雰囲気だったんですか。
木村 ずーっとパソコン開いてモニターみながら、こっちの話聞いて受け答えしてた(笑)。登君なにやってんのって聞いたら、「研究所に猫がいるんですけど、その猫をネットワーク監視カメラで監視できるようになったんです。すごいでしょ」って言ったんです。
本多 天才プログラマーっぽいエピソード。
木村 あと、すごい迫力あるなと思ったのは、ソニーの出井伸之(元社長)さん。リコーの桜井正光(元社長、経済同友会代表幹事も務める)さん、富士通の山本正巳(元社長)さんも思い出深い社長ですね。
畔上 私は何といっても大塚商会の社長、大塚裕司さんですね。取材の場に現れて、ドアを半分開けて顔だけ出して「話すことないから」って一旦ドアを閉めちゃうという茶目っ気、大好きでした。いろいろな趣味もあって話題も豊富ですけど、インタビューでは簡単にこっちの思い通りに話を引き出せるわけじゃなくて、それがまた楽しかったですね。インタビュアーの力量がシビアに問われる方でした。
BCN取締役の奥田芳恵が大塚商会・大塚裕司社長にインタビュー
本多 それはよく分かります。
木村 確かに、大塚さんの取材には独特の緊張感があった。そういえば、大河原さん以降の編集長が全員インタビューしたことがある人って、大塚さんだけじゃない?
大河原 そうかもね。
木村 これいい見出しができたね。で、本多さんはどうなの?
本多 業界の人という枠組みじゃないんですけど、BCNに入社して間もない頃に取材した平井卓也(初代デジタル大臣)さんですかね。13年秋のインタビューでしたが、エストニアのオンライン投票とか、デンマークとスウェーデンの「メディコンバレー」とか、想像していたよりもかなり詳細に社会インフラへのIT活用先進事例を勉強されて、政策立案につなげているんだなと思った記憶があります。その後、今年のデジタル庁発足に至るまで存在感をどんどん高められてきたのは、やはり蓄積があってこそということでしょうか。
この記事の続き >>
- 過去の紙面リニューアルに反映した編集長のこだわり
- 現場取材重視の姿勢が週刊BCNのアイデンティー
- これからのメディアビジネスで考えるべきコンテンツの価値
- ITビジネスエコシステムを掘り下げる
- 紙媒体は生き残れるか?Webに埋没しないための方策は?
- ようやくゲストが登場、ここで中締めです
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