――社長就任から1年が経った。これまでの成果は。
SaaS事業が非常に好調に推移した。三井住友フィナンシャルグループがクラウドERPの「Fusion Cloud ERP」を採用したが、オンプレミスでもまれな規模の基幹系システム導入がピュアSaaSでやれることを証明できた。今後、ビジネスアプリケーションのアーキテクチャーはオンプレミスからSaaSに変わっていく。その観点で、2021年は日本市場におけるターニングポイントになったと自負している。
取締役執行役社長
三澤智光
――1年前のインタビューではSAP製品に代わる選択肢がないことがERP市場の健全性を損なっていると指摘していた。
この1年で、Fusion Cloud ERPがSAP製品のオルタナティブになったと確実に言える。
――インフラレイヤーでは野村総合研究所(NRI)が投資信託窓口販売向けソリューション「BESTWAY」に「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」(企業のDCに専用リージョンを設けるサービス)を採用した。
地方銀行の勘定系にパブリッククラウドを採用する事例は散見されるようになったが、基本的に旧来のクラウドテクノロジーはミッションクリティカルなワークロードを動かすのは苦手だった。「Oracle Cloud Infrastructure」なら従来の事例とは比べ物にならない超大規模なミッションクリティカルシステムでも問題なく動かせると実証できた。
日本のIT投資の8割はいまだ既存システムのメンテナンスに割かれている。これを変えられるのがクラウドのテクノロジー。NRIは従来BESTWAYの運用や保守に充てていたコストと人員を最適化して、UX向上のための取り組みなどに手厚く配分できるようになった。中小規模のお客様にとってもDXに向けたIT投資のヒントになるはず。
IT投資のポートフォリオ変革を
――22年の注力ポイントは。
21年に掲げた「DXの加速」「ミッションクリティカルなシステムのクラウド化」「次世代社会公共基盤の実現支援」「パートナーエコシステムの拡充」という四つの重点施策は変えない。
ノウハウは全てパートナーにトランスファーしていくし、パートナー自身のリスキリングの取り組みを全力で支援していく。データベースを中核とした既存のオラクルエンジニアはミッションクリティカルシステムを一番よく知っている。IT投資のポートフォリオ変革の中心を担ってもらえる貴重な人材だと考えている。
既に多くの公共機関がOracle Cloudを採用しているが、ガバメントクラウドについてもOracle Cloudに対する期待値は非常に高いと認識している。22年は深くお手伝いができるだろう。