──2021年はどのような年だったか。
忙しかったが、順調に成長できた。ビジネスの面では、非常に多くのプロダクトをリリースし、個人事業主から中小企業、中堅・IPO準備企業、大企業までカバーできるようになってきた。業績は着実に伸びており、SaaSのARRは、21年11月期第3四半期に初めて100億円を突破した。ビジネスドメインの課金顧客数や会計事務所のパートナーシップが拡大したことも成果だといえる。東証1部市場への変更を果たしたこともトピックの一つだ。振り返ってみると、いい1年になったと感じている。
代表取締役社長CEO
辻 庸介
──リリースしたプロダクトについてもう少し詳しく説明を。
例えば「マネーフォワード クラウド」では、会計・人事労務領域のサービス拡充に加え、電子契約サービスの提供を開始し、契約領域まで含めたバックオフィス業務全体を網羅するクラウド型ERPの提供が可能になった。SaaS管理サービス「マネーフォワード IT管理クラウド」のほか、キャッシュレスプラットフォーム「マネーフォワード Pay for Business」の第1弾として、「マネーフォワード ビジネスカード」の提供をそれぞれ開始した。まだ種まきの時だと思っているが、いい方向に進んでいる。
──反省点はあるか。
苦労しているのは採用とオンボーディングだ。マネージメント層の不足など、ビジネスが急拡大したことに伴う成長痛もある。半期ごとに設定しているスローガンについては、直近は「うれしい体験を届けよう」としたが、ユーザーにとって残念な体験が発生している面があり、力不足を感じたことは課題だ。
既存のプロダクトをより磨く
──22年のビジネスの方針は。
プロダクトのラインアップは揃ってきたと思っているが、まだ連携性などで足りない部分があり、基本的には既存のプロダクトをさらに磨いていくことがメインになる。あとは新しく当社に入社した人もたくさんいるので、組織をしっかりつくっていく。
──主な投資領域に位置づける中堅・大企業向けERPラインアップの拡充についての戦略は。
まだ詳しくは言えないが、新しいサービスをローンチしていくことを考えている。
──22年の抱負は。
とにかくユーザーにフォーカスすることが最優先で、成長は結果としてついてくると思っている。22年は、各ユーザーに対して、本当に価値を届けられているのか、という点に真剣に向き合う1年にしたい。プロダクト開発だけでなく、営業やカスタマーサクセス、サポート、バックオフィスを含めた全社の力が必要なので、それぞれの社員がもっと力をつけていけるようにしていく。