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幻減期からいよいよ普及へ!? ブロックチェーン社会実装の今
2022/10/06 09:00
週刊BCN 2022年10月03日vol.1940掲載
「ブロックチェーン」という言葉はすでに市民権を得ていると言っても過言ではない。暗号資産やNFT(非代替性トークン)を活用したコンテンツ流通など、一部領域ではすでにさまざまな取り組みが進んでおり、「Web3」と呼ばれる新たなインターネット像を支える技術としても注目を集めている。一方で、実業への展開については道半ばといった印象は否めない。ブロックチェーンの社会実装の現状や普及への課題を探る。
(取材・文/藤岡 堯)
まずはブロックチェーンの現況を見ていこう。米Gartner(ガートナー)の日本法人が9月1日に発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」(2022年)では、ブロックチェーンは「幻滅期」の底を脱し、「啓発期」へと向かう曲線上に位置する。
幻滅期は、実験や実装で成果が生まれず「過度な期待」に応えられなかった結果、市場における関心が失われるフェイズを指す。他方、啓発期はテクノロジーのメリットを示す具体的な事例が増え始め、市場の理解が深まるタイミングにあたる。これを踏まえれば、ようやく本格的な普及が見込める段階に入りつつある、といったところだろう。
BCCC 平野洋一郎 代表理事
新技術であるがゆえに、相当な投資が必要なこともネックとなっているという。仮に投資したからといっても、すぐに利益が得られるわけではない。平野代表理事は「欧米に比べ、日本は先行投資が弱く、PoCで終わるケースが多い」と語る。
海外は活況を呈している金融分野の利用についても、日本は法規制の兼ね合いがあって暗号資産のビジネス展開が難しく、動きは鈍い。それどころか日本から海外へ人材が流出しているそうだ。平野代表理事は「先行する領域があってこそ、そこから発生するものがあるが、法規制があり参入する人が少ない」と述べ、海外に後れを取る現状を懸念する。
加えて、BCCCの奥達男・エバンジェリスト(アステリアのブロックチェーンエバンジェリスト・コンサルタント)は「(ブロックチェーンに関する)事故や事件が多い」ことも影響しているとみる。全体的にブロックチェーン周りの技術は未成熟であり、法制度が追いついていないとも指摘する。ユーザーが積極的に活用する動機は薄く、技術的にももう一段の発展が必要で、なおかつ、社会的なルールづくりも求められるなど、普及には複数のハードルがあるようだ。
BCCC 奥 達男 エバンジェリスト
それを踏まえた上で、ブロックチェーンに適した領域としては、どのようなものがあるだろうか。奥エバンジェリストは「仲介者が存在するビジネス」を挙げる。例えば、「Uber」や「Airbnb」「メルカリ」など、仲介者を通じてサービスやモノの提供者と消費者がつながるビジネスにおいては、提供者と消費者が直につながり、利便性が高まることが考えられる。
スマートコントラクト(契約の履行・管理の自動化)という強みが生きる不動産分野の利用も向いているとし、海外では事例も生まれているという。このほか、取引の透明化を実現できる点でサプライチェーン関連での利用や、CO2削減量など「環境価値」を可視化・取引する仕組みへの応用にも期待を寄せる。
平野代表理事はブロックチェーンによって「世の中のスピードがアップする」と強調する。中央集権型から「自律・分散・協調」型へと、社会や組織のあり方が変化する中で、ブロックチェーン技術の重要性はさらに高まることが見込まれる。自治体の電子契約システムに活用
東芝デジタルソリューションズは21年9月から、長崎市と共同でブロックチェーンを活用した契約事務のデジタル化に取り組んでいる。同社によると、ブロックチェーンを自治体の電子契約システムに取り込むことは国内初だ。
同社のブロックチェーンエンジン「DNCWARE Blockchain+」を利用した電子契約システムのパイロット版を開発し、現在は導入効果を検証している。自治体と企業などが結ぶ電子契約をブロックチェーンに記録する仕組みで、強固なセキュリティによる改ざんの防止や労力、時間、コストの削減などを実現する。
既存の電子契約では、実印レベルの契約を結ぶ場合、本人確認のために認証局から電子証明書の発行を受ける必要があるが、今回のシステムでは電子入札で使用するICカードなどで確認が可能となっており、発行にかかる手間や費用を削減できる。
さらに、一般的な電子契約システムの対象はPDFに限定されているのに対し、電子ファイルの形態を問わないことから、随意契約や図面、図書、申請届出といった契約に関連する書類の合意記録を残すことも可能となっている。
70件程度の契約で実際に活用し、効果を確認した上で正式導入を検討する。現時点では実証結果を取りまとめ中であり、詳細は今後明らかとなるが、事業者側からはコストメリットへの評価や、早期導入を求める声が上がっているという。
DNCWARE Blockchain+はブロックチェーン技術を使ったアプリケーションを容易に作成できる基盤で、ブロックチェーンネットワークの運用・管理自体は東芝側が担う。
東芝デジタル ソリューションズ 齋藤 稔 部長附
同社ICTソリューション事業部新規事業開発部の齋藤稔・部長附は「(従来のブロックチェーンシステムは)アプリケーション開発者がネットワークの管理を行うことが一般的で、簡単にアプリケーションを完成させられる環境ではなかった」とし、DNCWARE Blockchain+では「ネットワーク関連のさまざまを意識することなく、簡単に運用できる」とアピールする。長崎市以外にもスタートアップと連携し、相続支援サービスや物流サプライチェーン管理での実証も行っているほか、数社と協議を進めている。
齋藤部長附は「ブロックチェーンは複数企業が透明性を持ってデータを連携することで価値を発揮する。私たちはDNCWARE Blockchain+を使って、ブロックチェーンによるビジネス連携の場をつくっていきたい」と意気込む。複数企業で分断されているアプリケーションを繋ぎ合わせたり、企業間で高付加価値なデータを安心して連携させたりする基盤として、自社のソリューションを展開していく構えだ。
ただし、ブロックチェーンありきでビジネスを進めることには否定的だ。齋藤部長附はブロックチェーンにも不得意な分野があり、本当に導入に適しているのかを見極める必要があると強調。「仮に顧客が『使いたい』と言っても、(不適切ならば)使わないほうがいいと言わなければいけない。そうでなければ、結果的に『ブロックチェーンは使えない』という評価になりかねない」と話す。水取引プラットフォームを構築
富士通は21年11月、英Botanical Water Technologies (BWT)と、ブロックチェーンを用いた水取引プラットフォーム「Botanical Water Exchange」(BWX)の構築を開始した。BWTは食品工場などで野菜や果物を圧縮した際に生じる水を飲用可能な状態に精製し、「Botanical Water」として水資源に乏しい地域に販売するビジネスを展開しており、この技術を核に水の循環型エコシステムの形成を目指す。
プラットフォームに参画する企業は、BWTの設備を導入することで、従来廃棄されていた水からBotanical Waterを精製し、自社で再利用したり、BWX上で他社へ販売したりできる。BWXではウオータークレジットの取引も行われ、企業はクレジットの購入額に応じて再生水を寄付でき、自社の水使用量との相殺を図れる。これら水の精製、販売、購入、配送、利用の各工程をブロックチェーン上で記録し、透明性の高い取引を実現する。まだ事業化への道筋を模索している段階だが、富士通によると、外部からの反響は大きいという。
プラットフォームを支えるのは「FUJITSU Track and Trust」サービスである。このサービスはブロックチェーンの技術基盤を提供するだけでなく、コンサルティングとアジャイル開発を組み合わせ、顧客の課題解決につなげる。
富士通Uvance本部Digital Shift Data Service事業部グローバルDXソリューション部の植村幸代・マネージャーは「ブロックチェーンは始まったばかりの領域であり、どうやってビジネスをつくっていくか、仮説検証を繰り返す段階」だとし、そこから顧客を支援する点をサービスの特徴として挙げる。
富士通 植村幸代 マネージャー
検証のために必要な最低限のシステムから作成するため、費用負担を比較的抑えられ、BWTのように従業員が10人ほどの小さな会社でも利用しやすい。「小さく始めて、大きく拡張していく。規模の小さい会社でも、新しく、大きなビジネスを生み出す可能性がある」(植村マネージャー)。
同社は、SDGs分野などを中心に需要を取り込んでいきたい考えだが、現状はブロックチェーン技術の認知が低い状況であるとし、顧客との対話を通じて共に課題を発見し、どういった取り組みが考えられるかを掘り下げる必要があるとみている。
ただし、流行に乗りたいがために手を出すと失敗する可能性が高い。「何か解決したい課題があり、その方法としてブロックチェーンが使えるか、特徴を生かせるかどうか。ブロックチェーンから(ビジネスを)探していくと見誤る」(平野代表理事)。
先行投資にはリスクもつきまとう。市場を冷静に見つめ、顧客の困りごとに真に応えるために必要かどうかを判断する姿勢が重要となるだろう。
(取材・文/藤岡 堯)

まずはブロックチェーンの現況を見ていこう。米Gartner(ガートナー)の日本法人が9月1日に発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」(2022年)では、ブロックチェーンは「幻滅期」の底を脱し、「啓発期」へと向かう曲線上に位置する。
幻滅期は、実験や実装で成果が生まれず「過度な期待」に応えられなかった結果、市場における関心が失われるフェイズを指す。他方、啓発期はテクノロジーのメリットを示す具体的な事例が増え始め、市場の理解が深まるタイミングにあたる。これを踏まえれば、ようやく本格的な普及が見込める段階に入りつつある、といったところだろう。
「自律・分散・協調」型 支える技術
ブロックチェーンの発展・普及に取り組む企業でつくる「ブロックチェーン推進協会」(BCCC)の平野洋一郎・代表理事(アステリア社長)は、金融やコンテンツ領域以外のブロックチェーン活用に関して「思ったほど速くは進んでいない」と話す。基盤技術であるブロックチェーンでビジネスを展開するには、技術を活用するアプリケーションが必要だが「まだそこまでのニーズがない」(平野代表理事)のが現状だ。
新技術であるがゆえに、相当な投資が必要なこともネックとなっているという。仮に投資したからといっても、すぐに利益が得られるわけではない。平野代表理事は「欧米に比べ、日本は先行投資が弱く、PoCで終わるケースが多い」と語る。
海外は活況を呈している金融分野の利用についても、日本は法規制の兼ね合いがあって暗号資産のビジネス展開が難しく、動きは鈍い。それどころか日本から海外へ人材が流出しているそうだ。平野代表理事は「先行する領域があってこそ、そこから発生するものがあるが、法規制があり参入する人が少ない」と述べ、海外に後れを取る現状を懸念する。
加えて、BCCCの奥達男・エバンジェリスト(アステリアのブロックチェーンエバンジェリスト・コンサルタント)は「(ブロックチェーンに関する)事故や事件が多い」ことも影響しているとみる。全体的にブロックチェーン周りの技術は未成熟であり、法制度が追いついていないとも指摘する。ユーザーが積極的に活用する動機は薄く、技術的にももう一段の発展が必要で、なおかつ、社会的なルールづくりも求められるなど、普及には複数のハードルがあるようだ。
それを踏まえた上で、ブロックチェーンに適した領域としては、どのようなものがあるだろうか。奥エバンジェリストは「仲介者が存在するビジネス」を挙げる。例えば、「Uber」や「Airbnb」「メルカリ」など、仲介者を通じてサービスやモノの提供者と消費者がつながるビジネスにおいては、提供者と消費者が直につながり、利便性が高まることが考えられる。
スマートコントラクト(契約の履行・管理の自動化)という強みが生きる不動産分野の利用も向いているとし、海外では事例も生まれているという。このほか、取引の透明化を実現できる点でサプライチェーン関連での利用や、CO2削減量など「環境価値」を可視化・取引する仕組みへの応用にも期待を寄せる。
平野代表理事はブロックチェーンによって「世の中のスピードがアップする」と強調する。中央集権型から「自律・分散・協調」型へと、社会や組織のあり方が変化する中で、ブロックチェーン技術の重要性はさらに高まることが見込まれる。
自治体の電子契約システムに活用
東芝デジタルソリューションズ
東芝デジタルソリューションズは21年9月から、長崎市と共同でブロックチェーンを活用した契約事務のデジタル化に取り組んでいる。同社によると、ブロックチェーンを自治体の電子契約システムに取り込むことは国内初だ。同社のブロックチェーンエンジン「DNCWARE Blockchain+」を利用した電子契約システムのパイロット版を開発し、現在は導入効果を検証している。自治体と企業などが結ぶ電子契約をブロックチェーンに記録する仕組みで、強固なセキュリティによる改ざんの防止や労力、時間、コストの削減などを実現する。
既存の電子契約では、実印レベルの契約を結ぶ場合、本人確認のために認証局から電子証明書の発行を受ける必要があるが、今回のシステムでは電子入札で使用するICカードなどで確認が可能となっており、発行にかかる手間や費用を削減できる。
さらに、一般的な電子契約システムの対象はPDFに限定されているのに対し、電子ファイルの形態を問わないことから、随意契約や図面、図書、申請届出といった契約に関連する書類の合意記録を残すことも可能となっている。
70件程度の契約で実際に活用し、効果を確認した上で正式導入を検討する。現時点では実証結果を取りまとめ中であり、詳細は今後明らかとなるが、事業者側からはコストメリットへの評価や、早期導入を求める声が上がっているという。
DNCWARE Blockchain+はブロックチェーン技術を使ったアプリケーションを容易に作成できる基盤で、ブロックチェーンネットワークの運用・管理自体は東芝側が担う。
同社ICTソリューション事業部新規事業開発部の齋藤稔・部長附は「(従来のブロックチェーンシステムは)アプリケーション開発者がネットワークの管理を行うことが一般的で、簡単にアプリケーションを完成させられる環境ではなかった」とし、DNCWARE Blockchain+では「ネットワーク関連のさまざまを意識することなく、簡単に運用できる」とアピールする。長崎市以外にもスタートアップと連携し、相続支援サービスや物流サプライチェーン管理での実証も行っているほか、数社と協議を進めている。
齋藤部長附は「ブロックチェーンは複数企業が透明性を持ってデータを連携することで価値を発揮する。私たちはDNCWARE Blockchain+を使って、ブロックチェーンによるビジネス連携の場をつくっていきたい」と意気込む。複数企業で分断されているアプリケーションを繋ぎ合わせたり、企業間で高付加価値なデータを安心して連携させたりする基盤として、自社のソリューションを展開していく構えだ。
ただし、ブロックチェーンありきでビジネスを進めることには否定的だ。齋藤部長附はブロックチェーンにも不得意な分野があり、本当に導入に適しているのかを見極める必要があると強調。「仮に顧客が『使いたい』と言っても、(不適切ならば)使わないほうがいいと言わなければいけない。そうでなければ、結果的に『ブロックチェーンは使えない』という評価になりかねない」と話す。
水取引プラットフォームを構築
富士通
富士通は21年11月、英Botanical Water Technologies (BWT)と、ブロックチェーンを用いた水取引プラットフォーム「Botanical Water Exchange」(BWX)の構築を開始した。BWTは食品工場などで野菜や果物を圧縮した際に生じる水を飲用可能な状態に精製し、「Botanical Water」として水資源に乏しい地域に販売するビジネスを展開しており、この技術を核に水の循環型エコシステムの形成を目指す。プラットフォームに参画する企業は、BWTの設備を導入することで、従来廃棄されていた水からBotanical Waterを精製し、自社で再利用したり、BWX上で他社へ販売したりできる。BWXではウオータークレジットの取引も行われ、企業はクレジットの購入額に応じて再生水を寄付でき、自社の水使用量との相殺を図れる。これら水の精製、販売、購入、配送、利用の各工程をブロックチェーン上で記録し、透明性の高い取引を実現する。まだ事業化への道筋を模索している段階だが、富士通によると、外部からの反響は大きいという。
プラットフォームを支えるのは「FUJITSU Track and Trust」サービスである。このサービスはブロックチェーンの技術基盤を提供するだけでなく、コンサルティングとアジャイル開発を組み合わせ、顧客の課題解決につなげる。
富士通Uvance本部Digital Shift Data Service事業部グローバルDXソリューション部の植村幸代・マネージャーは「ブロックチェーンは始まったばかりの領域であり、どうやってビジネスをつくっていくか、仮説検証を繰り返す段階」だとし、そこから顧客を支援する点をサービスの特徴として挙げる。
検証のために必要な最低限のシステムから作成するため、費用負担を比較的抑えられ、BWTのように従業員が10人ほどの小さな会社でも利用しやすい。「小さく始めて、大きく拡張していく。規模の小さい会社でも、新しく、大きなビジネスを生み出す可能性がある」(植村マネージャー)。
同社は、SDGs分野などを中心に需要を取り込んでいきたい考えだが、現状はブロックチェーン技術の認知が低い状況であるとし、顧客との対話を通じて共に課題を発見し、どういった取り組みが考えられるかを掘り下げる必要があるとみている。
顧客の課題からビジネス化を
将来的には中小規模のSIerやディストリビューターがブロックチェーンをビジネスに取り入れる動きも出てくるかもしれない。そのためには、早い段階から技術を研究し、理解を深めておくことが求められる。BCCCの平野代表理事は「人月商売からの脱却という観点ではチャンスになる」と語る。ただし、流行に乗りたいがために手を出すと失敗する可能性が高い。「何か解決したい課題があり、その方法としてブロックチェーンが使えるか、特徴を生かせるかどうか。ブロックチェーンから(ビジネスを)探していくと見誤る」(平野代表理事)。
先行投資にはリスクもつきまとう。市場を冷静に見つめ、顧客の困りごとに真に応えるために必要かどうかを判断する姿勢が重要となるだろう。
「ブロックチェーン」という言葉はすでに市民権を得ていると言っても過言ではない。暗号資産やNFT(非代替性トークン)を活用したコンテンツ流通など、一部領域ではすでにさまざまな取り組みが進んでおり、「Web3」と呼ばれる新たなインターネット像を支える技術としても注目を集めている。一方で、実業への展開については道半ばといった印象は否めない。ブロックチェーンの社会実装の現状や普及への課題を探る。
(取材・文/藤岡 堯)
まずはブロックチェーンの現況を見ていこう。米Gartner(ガートナー)の日本法人が9月1日に発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」(2022年)では、ブロックチェーンは「幻滅期」の底を脱し、「啓発期」へと向かう曲線上に位置する。
幻滅期は、実験や実装で成果が生まれず「過度な期待」に応えられなかった結果、市場における関心が失われるフェイズを指す。他方、啓発期はテクノロジーのメリットを示す具体的な事例が増え始め、市場の理解が深まるタイミングにあたる。これを踏まえれば、ようやく本格的な普及が見込める段階に入りつつある、といったところだろう。
(取材・文/藤岡 堯)

まずはブロックチェーンの現況を見ていこう。米Gartner(ガートナー)の日本法人が9月1日に発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル」(2022年)では、ブロックチェーンは「幻滅期」の底を脱し、「啓発期」へと向かう曲線上に位置する。
幻滅期は、実験や実装で成果が生まれず「過度な期待」に応えられなかった結果、市場における関心が失われるフェイズを指す。他方、啓発期はテクノロジーのメリットを示す具体的な事例が増え始め、市場の理解が深まるタイミングにあたる。これを踏まえれば、ようやく本格的な普及が見込める段階に入りつつある、といったところだろう。
この記事の続き >>
- 「自律・分散・協調」型への社会や組織のあり方の変化を支える技術
- 自治体の電子契約システムに活用 東芝デジタルソリューションズ
- 水取引プラットフォームを構築 富士通
- 顧客の課題からビジネス化を
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