――来年度(2024年3月期)は3カ年中期経営計画の最終年度となるが、目標の達成具合はどうか。
非接触、非対面が強く推奨されたコロナ禍期間中にデジタル化、オンライン化が進んだこともあり、23年3月期の連結売上高は中計で目標していた売上高5000億円、営業利益580億円を1年前倒しで達成できる可能性が出てきた。コロナ禍で経済全体に逆風が吹くなかでも、デジタル化を推し進める顧客に当社の提案力や技術力を評価していただいたことが、売り上げや利益に結びついた。
代表取締役社長
岡本安史
――業績は好調に推移しているが、いつ頃まで続くと見ているか。
23年3月期の売上高や営業利益が増収増益で着地すれば、12期連続で増収増益を記録することになる。ただ、コロナ禍のデジタル化需要が一巡したり、欧米のインフレ、海外情勢の悪化など不安要素も多く存在しており、景気が後退局面に入ることも念頭に置いておく必要がある。
不況期でも成長を続けるには、従業員の持っている能力を最大限に引き出せるかが、かぎを握る。私は「価値創造の源泉は人材(人財)にある」との信念のもと、従業員エンゲージメントを高める人事評価制度を23年4月から実施する予定で準備を進めている。
知的パワーを最大限引き出す
――どのような人事評価制度に変わるのか。
従来の人事評価は、経営戦略で求めるスキルを従業員が提供すれば評価される仕組みだった。会社は従業員に「やれるか」と問い、従業員は「できる」と答えて実行する。しかし、それだけでは十分でない。そこに従業員の「意志」をできる限り反映し、自発的に考え、行動を起こしたことを評価できる仕組みに変える。従業員エンゲージメントを高め、個々人が持っている知的パワーを最大限引き出すことを主眼としている。
――評価基準が曖昧になる印象を受ける。
実際は、止めることが許されないシステム運用は存在し、会社としての売り上げや利益の目標があるので、全部が従業員の意志を反映できるわけではない。とはいえ、顧客とともに新しいビジネスや、これまでなかった価値を創り出す分野では、顧客との共創関係が求められる。現場の従業員が顧客と膝を突き合わせて、自分の考えや率直な意見を言わなければ共創は成り立たず、新しい価値もつくれない。
指示通りに作業をすることももちろん大切だが、「失敗したら評価が下がる」などと萎縮してしまっているとしたら、本来持っている能力の一部しか引き出せない。持てる能力を最大限引き出すのが新しい人事評価制度の狙いであり、そうした人財を一人でも多く育てることが不況になったときでも成長できる原動力になる。