Special Feature
導入が加速する「eKYC」の現在地 非対面での本人確認をデジタル化で実現
2023/04/17 09:00
週刊BCN 2023年04月17日vol.1965掲載
昨今のDXの流れを受け、「オンライン本人確認(eKYC)」の導入が進んでいる。特にコロナ禍では、非対面の契約手続きのニーズが高まり、従来の対面や郵送による本人確認対応をeKYCに切り替えるケースが急増。先行していた金融業界だけではなく、多岐にわたる業界・業種で採用されつつある。主要2社にeKYC市場の現状やサービスの概要、導入メリット、活用事例などを聞き、国内の現在地を探る。
(取材・文/翁長 潤 編集/齋藤秀平)
本人確認は、「身元確認」と「当人認証」の二つの要素から成り立つ。身元確認では、氏名や住所、生年月日、性別など、その人物の身元を確認する情報を基に本人であることを確認する。運転免許証やマイナンバーカードなど1点だけ発行される公的身分証や、各種本人確認書類などが確認手法となる。
当人認証は、サービスのログイン時や入室時などにその人物が登録された情報の当人であることを確認する。その手法は、知識認証(ID/パスワード、秘密の質問)、所有物認証(物理的なカード/デバイス)、生体認証(指紋や顔、静脈、虹彩)などが用いられる。
eKYCの普及を後押しする技術的な観点としては、スマートフォンなどデバイスの高性能化やAI/機械学習などを活用した認証技術の進化が挙げられる。身元確認、当人認証のレベルに応じた組み合わせで、より安全かつ正確な本人確認が可能になった。
利用者にとっては、従来の本人確認方法と違って「面倒な手続きが不要となる」点がメリットとして考えられる。導入事業者は、デジタル化に伴うペーパーレス化でデータ保管の効率化、データ保護の安全性の向上、郵送コストを削減が可能。申し込みからサービスの利用までのリードタイムを短縮することで、ユーザーの離脱防止や顧客満足度の向上、機会損失の防止などの効果も期待できる。
金融取引では、対面による本人確認書類の提示、または非対面の場合における「写真付き本人確認書類の写し送付+転送不要郵便」が実施されてきた。ほかのデジタルサービスと比べると、こうした面倒な手続きがネックとなり、フィンテックやオンライン取引市場の発展を妨げるという懸念があった。改正犯収法では、eKYCが本人確認における新プロセスとして追加されている。
またコロナ禍では、生活様式の変化に加えて、マイナンバーカードが急速に普及。デジタル庁の設立など、行政機関にデジタル化の波が起きた。民間の事業でも、金融/フィンテック以外のさまざまな業界が事業活動を止めないためにオンライン化が進み、、eKYCの導入拡大につながった。今後は、マイナンバーカードを活用した本人確認手法がさらに広がることが予想される。
このような状況を踏まえると、現在のeKYC市場は、先行してきた金融業界のような法規制で定義される「狭義のeKYC」に加え、オンラインでの非対面のやり取りやデジタル上で行われるKYCを含む「広義のeKYC」へと、すそ野が広がりつつあるといえるだろう。TRUSTDOCK
ここからは、eKYC市場をけん引する2社の取り組みを紹介していこう。スタートアップスタジオ事業を展開するガイアックスの事業部だったTRUSTDOCKは、カーブアウト制度(事業部の子会社化制度)を活用して17年11月に独立。現在はeKYC本人確認サービスなどを提供する。
TRUSTDOCK 千葉孝浩 CEO
同社の千葉孝浩CEOは「18年の法改正以降、銀行業をはじめとする金融業界では、郵送不要の身元確認手法が普及し始めた。現在は、確認方法が法令で定められていない業界でも、身元確認のデジタル化という観点でeKYCの活用シーンは増えている」と話す。
例えば、ホテルの宿泊時やたばこ・アルコールの購入時、公営ギャンブル、カラオケなどの娯楽施設の利用など、生活に関連する手続きや取引でも年齢確認や当人認証のためにeKYCによる身元確認が日常的に行われているという。
同社は現在、eKYC対応のデジタル身分証アプリ「TRUSTDOCK」やeKYC専用JavaScript「TRUSTDOCKアップローダー」、顧客確認の各種APIサービスなども提供している。「KYC as a Service」(千葉CEO)と表現するように、個人の身元確認や法人確認、補助書類確認、口座情報確認、ハガキ郵送、反社リスクの確認など、さまざまな種類のAPIが用意されている。
また、米Salesforce(セールスフォース)のCRM(顧客管理システム)とのAPI連携により、eKYCを標準搭載した「TRUSTDOCK-CRM」などを開発。eKYCツールの多くがスマートフォンでの利用を前提とするのに対し、TRUSTDOCKはスマートフォンアプリ用のSDK(ソフトウェア開発キット)とWebサイト向けアップローダーの両方を提供しており、千葉CEOは「PCのWebブラウザーでもeKYCが利用できる。事業環境に合わせた多様なUIを用意している」と胸を張る。
eKYCサービスの活用事例として、千葉CEOは「金融・決済、フィンテックのイメージがあるかもしれないが、ギグワーク、家事代行、カーシェア、スペースシェア、マッチングアプリなど、CtoC向けサービスの活用事例も多い」と紹介。マッチングサービスや人材派遣分野では、eKYCを活用することで、複数登録やなりすましによるサービスの信頼性低下を防いでいる事例もあるという。
千葉CEOは、eKYCの導入を検討する際は、▽どの法律に準拠する必要があるのか▽どの本人確認手法、提供チャンネルを使うのか▽自社運用、またはアウトソースするのか―などで悩む事業者が多いと指摘する。
同社は、導入時のコンサルティングやサービス設計、既存の業務システムにおけるカスタマイズ開発や24時間365日対応の確認業務のアウトソーシングも展開している。
このように、一気通貫でeKYCの導入・運用を支援できる点を踏まえ、千葉CEOは「KYCに関する法律、技術、業務の三つに取り組む日本で唯一のKYCに特化した専業会社」と自負する。
同社は22年6月、eKYC本人確認APIサービスを活用したビジネスの拡大を支援する「TRUSTDOCK パートナープログラム」を開始した。23年4月時点で10社が参画。従来の直販モデルに加えて、ITサービス提供者や開発ベンダーとの協業体制を確立しつつある。Liquid
次に紹介するのが、18年12月設立のLiquidだ。同社は、生体情報、生体行動に特化した画像解析・ビッグデータ解析事業を展開。「認証を『空気化』し、滑らかな世界をつくる」とのビジョンを掲げている。
Liquid 保科秀之 COO
同社の保科秀之・取締役最高執行責任者(COO)は「いつでも、どこでも、認証を無意識に利用できる便利な社会の実現を見据え、さまざまな企業や組織のサービスを横断できるような仕組みを目指している」と説明。業界や導入事業者を横断した不正検知を実現する仕組みを提供し、利便性とセキュリティの両面を追求しているという。
具体的には、AI審査で本人確認業務を自動化するサービス「LIQUID eKYC」のほか、生体認証や所持認証による取引認証サービス「LIQUID Auth」などを提供している。
同社は、取得した認証情報を共通基盤に蓄積して各サービスで活用する仕組みを構築している。同基盤は22年12月時点で、延べ2000万人が利用している。AI技術を活用した機械学習・ディープラーニングで精度・性能を向上させているのが特徴だ。
保科COOは「一度、eKYCに登録すれば、事業者を横断した生体情報によって、不正検知や取引時の本人確認に関する業務の手間やコストを抑えられる」と語り、サービスの早期実現や本人確認のレベル・強度を上げることで事業者自身のユーザーからの信頼度の向上にも寄与できるとしている。
LIQIUD eKYCの導入実績は、23年3月時点で約150社。金融業に加え、最近では古物品やスマートフォン買い取り業、Webサービス、通信事業者などでも採用されており、「本人確認義務がある業界よりも、確認義務がない業界での導入が伸びている」(保科COO)という。
サービスの特徴として、保科COOは、離脱率が低い点や、他人が認証を試みたときに本人であると誤認する割合を示す「他人受入率(FAR)」が1/10万以下の場合でも顔認証の精度が業界最高水準である点を挙げる。
また、eKYC導入に関して、保科COOは「事業者にとっては、導入自体に手間やコストがかかり、ユーザーが本人確認を面倒に感じることが多い。ただ、コストを重視するとユーザーの離脱率にも影響するため、慎重に製品を選定してほしい」と要望する。
その上で「導入事業者の本人確認業務の完了率をKPIに定め、向上に取り組んでいる。離脱率を抑えつつ、認証精度の向上を可能にする最適なサービスの提供を心掛けている」と付け加える。
同社は直販、販売代理店経由の両軸で販売戦略を推進。23年3月時点の契約代理店は10社前後だという。保科COOは「業界・業種、本人確認のレベルを問わず、パートナービジネスは拡大路線をたどっている」とし、「独立系ベンダーであることから、フラットに選定されるパートナーとして評価していただいている」とアピールする。
(取材・文/翁長 潤 編集/齋藤秀平)

利用者と事業者の双方にメリット
eKYCとは「electronic Know Your Customer」の頭文字を取った略称だ。公的手続きや契約・取引、各種サービスの利用者などが、実在する本人であるかをオンラインで確認する仕組みを指す。本人確認は、「身元確認」と「当人認証」の二つの要素から成り立つ。身元確認では、氏名や住所、生年月日、性別など、その人物の身元を確認する情報を基に本人であることを確認する。運転免許証やマイナンバーカードなど1点だけ発行される公的身分証や、各種本人確認書類などが確認手法となる。
当人認証は、サービスのログイン時や入室時などにその人物が登録された情報の当人であることを確認する。その手法は、知識認証(ID/パスワード、秘密の質問)、所有物認証(物理的なカード/デバイス)、生体認証(指紋や顔、静脈、虹彩)などが用いられる。

eKYCの普及を後押しする技術的な観点としては、スマートフォンなどデバイスの高性能化やAI/機械学習などを活用した認証技術の進化が挙げられる。身元確認、当人認証のレベルに応じた組み合わせで、より安全かつ正確な本人確認が可能になった。
利用者にとっては、従来の本人確認方法と違って「面倒な手続きが不要となる」点がメリットとして考えられる。導入事業者は、デジタル化に伴うペーパーレス化でデータ保管の効率化、データ保護の安全性の向上、郵送コストを削減が可能。申し込みからサービスの利用までのリードタイムを短縮することで、ユーザーの離脱防止や顧客満足度の向上、機会損失の防止などの効果も期待できる。
市場のすそ野が広がる
国内におけるeKYCの進展は、金融取引のオンライン化と同時進行して本人確認のオンライン化と厳格化が進んだことが背景にある。特に2018年11月の「犯罪収益移転防止法」(犯収法)の改正がターニングポイントとなった。金融取引では、対面による本人確認書類の提示、または非対面の場合における「写真付き本人確認書類の写し送付+転送不要郵便」が実施されてきた。ほかのデジタルサービスと比べると、こうした面倒な手続きがネックとなり、フィンテックやオンライン取引市場の発展を妨げるという懸念があった。改正犯収法では、eKYCが本人確認における新プロセスとして追加されている。
またコロナ禍では、生活様式の変化に加えて、マイナンバーカードが急速に普及。デジタル庁の設立など、行政機関にデジタル化の波が起きた。民間の事業でも、金融/フィンテック以外のさまざまな業界が事業活動を止めないためにオンライン化が進み、、eKYCの導入拡大につながった。今後は、マイナンバーカードを活用した本人確認手法がさらに広がることが予想される。
このような状況を踏まえると、現在のeKYC市場は、先行してきた金融業界のような法規制で定義される「狭義のeKYC」に加え、オンラインでの非対面のやり取りやデジタル上で行われるKYCを含む「広義のeKYC」へと、すそ野が広がりつつあるといえるだろう。
TRUSTDOCK
「日本で唯一の専業会社」を自負
ここからは、eKYC市場をけん引する2社の取り組みを紹介していこう。スタートアップスタジオ事業を展開するガイアックスの事業部だったTRUSTDOCKは、カーブアウト制度(事業部の子会社化制度)を活用して17年11月に独立。現在はeKYC本人確認サービスなどを提供する。
同社の千葉孝浩CEOは「18年の法改正以降、銀行業をはじめとする金融業界では、郵送不要の身元確認手法が普及し始めた。現在は、確認方法が法令で定められていない業界でも、身元確認のデジタル化という観点でeKYCの活用シーンは増えている」と話す。
例えば、ホテルの宿泊時やたばこ・アルコールの購入時、公営ギャンブル、カラオケなどの娯楽施設の利用など、生活に関連する手続きや取引でも年齢確認や当人認証のためにeKYCによる身元確認が日常的に行われているという。
同社は現在、eKYC対応のデジタル身分証アプリ「TRUSTDOCK」やeKYC専用JavaScript「TRUSTDOCKアップローダー」、顧客確認の各種APIサービスなども提供している。「KYC as a Service」(千葉CEO)と表現するように、個人の身元確認や法人確認、補助書類確認、口座情報確認、ハガキ郵送、反社リスクの確認など、さまざまな種類のAPIが用意されている。
また、米Salesforce(セールスフォース)のCRM(顧客管理システム)とのAPI連携により、eKYCを標準搭載した「TRUSTDOCK-CRM」などを開発。eKYCツールの多くがスマートフォンでの利用を前提とするのに対し、TRUSTDOCKはスマートフォンアプリ用のSDK(ソフトウェア開発キット)とWebサイト向けアップローダーの両方を提供しており、千葉CEOは「PCのWebブラウザーでもeKYCが利用できる。事業環境に合わせた多様なUIを用意している」と胸を張る。
eKYCサービスの活用事例として、千葉CEOは「金融・決済、フィンテックのイメージがあるかもしれないが、ギグワーク、家事代行、カーシェア、スペースシェア、マッチングアプリなど、CtoC向けサービスの活用事例も多い」と紹介。マッチングサービスや人材派遣分野では、eKYCを活用することで、複数登録やなりすましによるサービスの信頼性低下を防いでいる事例もあるという。
千葉CEOは、eKYCの導入を検討する際は、▽どの法律に準拠する必要があるのか▽どの本人確認手法、提供チャンネルを使うのか▽自社運用、またはアウトソースするのか―などで悩む事業者が多いと指摘する。
同社は、導入時のコンサルティングやサービス設計、既存の業務システムにおけるカスタマイズ開発や24時間365日対応の確認業務のアウトソーシングも展開している。
このように、一気通貫でeKYCの導入・運用を支援できる点を踏まえ、千葉CEOは「KYCに関する法律、技術、業務の三つに取り組む日本で唯一のKYCに特化した専業会社」と自負する。
同社は22年6月、eKYC本人確認APIサービスを活用したビジネスの拡大を支援する「TRUSTDOCK パートナープログラム」を開始した。23年4月時点で10社が参画。従来の直販モデルに加えて、ITサービス提供者や開発ベンダーとの協業体制を確立しつつある。
Liquid
利便性とセキュリティを追求
次に紹介するのが、18年12月設立のLiquidだ。同社は、生体情報、生体行動に特化した画像解析・ビッグデータ解析事業を展開。「認証を『空気化』し、滑らかな世界をつくる」とのビジョンを掲げている。
同社の保科秀之・取締役最高執行責任者(COO)は「いつでも、どこでも、認証を無意識に利用できる便利な社会の実現を見据え、さまざまな企業や組織のサービスを横断できるような仕組みを目指している」と説明。業界や導入事業者を横断した不正検知を実現する仕組みを提供し、利便性とセキュリティの両面を追求しているという。
具体的には、AI審査で本人確認業務を自動化するサービス「LIQUID eKYC」のほか、生体認証や所持認証による取引認証サービス「LIQUID Auth」などを提供している。
同社は、取得した認証情報を共通基盤に蓄積して各サービスで活用する仕組みを構築している。同基盤は22年12月時点で、延べ2000万人が利用している。AI技術を活用した機械学習・ディープラーニングで精度・性能を向上させているのが特徴だ。
保科COOは「一度、eKYCに登録すれば、事業者を横断した生体情報によって、不正検知や取引時の本人確認に関する業務の手間やコストを抑えられる」と語り、サービスの早期実現や本人確認のレベル・強度を上げることで事業者自身のユーザーからの信頼度の向上にも寄与できるとしている。
LIQIUD eKYCの導入実績は、23年3月時点で約150社。金融業に加え、最近では古物品やスマートフォン買い取り業、Webサービス、通信事業者などでも採用されており、「本人確認義務がある業界よりも、確認義務がない業界での導入が伸びている」(保科COO)という。
サービスの特徴として、保科COOは、離脱率が低い点や、他人が認証を試みたときに本人であると誤認する割合を示す「他人受入率(FAR)」が1/10万以下の場合でも顔認証の精度が業界最高水準である点を挙げる。
また、eKYC導入に関して、保科COOは「事業者にとっては、導入自体に手間やコストがかかり、ユーザーが本人確認を面倒に感じることが多い。ただ、コストを重視するとユーザーの離脱率にも影響するため、慎重に製品を選定してほしい」と要望する。
その上で「導入事業者の本人確認業務の完了率をKPIに定め、向上に取り組んでいる。離脱率を抑えつつ、認証精度の向上を可能にする最適なサービスの提供を心掛けている」と付け加える。
同社は直販、販売代理店経由の両軸で販売戦略を推進。23年3月時点の契約代理店は10社前後だという。保科COOは「業界・業種、本人確認のレベルを問わず、パートナービジネスは拡大路線をたどっている」とし、「独立系ベンダーであることから、フラットに選定されるパートナーとして評価していただいている」とアピールする。
昨今のDXの流れを受け、「オンライン本人確認(eKYC)」の導入が進んでいる。特にコロナ禍では、非対面の契約手続きのニーズが高まり、従来の対面や郵送による本人確認対応をeKYCに切り替えるケースが急増。先行していた金融業界だけではなく、多岐にわたる業界・業種で採用されつつある。主要2社にeKYC市場の現状やサービスの概要、導入メリット、活用事例などを聞き、国内の現在地を探る。
(取材・文/翁長 潤 編集/齋藤秀平)
本人確認は、「身元確認」と「当人認証」の二つの要素から成り立つ。身元確認では、氏名や住所、生年月日、性別など、その人物の身元を確認する情報を基に本人であることを確認する。運転免許証やマイナンバーカードなど1点だけ発行される公的身分証や、各種本人確認書類などが確認手法となる。
当人認証は、サービスのログイン時や入室時などにその人物が登録された情報の当人であることを確認する。その手法は、知識認証(ID/パスワード、秘密の質問)、所有物認証(物理的なカード/デバイス)、生体認証(指紋や顔、静脈、虹彩)などが用いられる。
eKYCの普及を後押しする技術的な観点としては、スマートフォンなどデバイスの高性能化やAI/機械学習などを活用した認証技術の進化が挙げられる。身元確認、当人認証のレベルに応じた組み合わせで、より安全かつ正確な本人確認が可能になった。
利用者にとっては、従来の本人確認方法と違って「面倒な手続きが不要となる」点がメリットとして考えられる。導入事業者は、デジタル化に伴うペーパーレス化でデータ保管の効率化、データ保護の安全性の向上、郵送コストを削減が可能。申し込みからサービスの利用までのリードタイムを短縮することで、ユーザーの離脱防止や顧客満足度の向上、機会損失の防止などの効果も期待できる。
(取材・文/翁長 潤 編集/齋藤秀平)

利用者と事業者の双方にメリット
eKYCとは「electronic Know Your Customer」の頭文字を取った略称だ。公的手続きや契約・取引、各種サービスの利用者などが、実在する本人であるかをオンラインで確認する仕組みを指す。本人確認は、「身元確認」と「当人認証」の二つの要素から成り立つ。身元確認では、氏名や住所、生年月日、性別など、その人物の身元を確認する情報を基に本人であることを確認する。運転免許証やマイナンバーカードなど1点だけ発行される公的身分証や、各種本人確認書類などが確認手法となる。
当人認証は、サービスのログイン時や入室時などにその人物が登録された情報の当人であることを確認する。その手法は、知識認証(ID/パスワード、秘密の質問)、所有物認証(物理的なカード/デバイス)、生体認証(指紋や顔、静脈、虹彩)などが用いられる。

eKYCの普及を後押しする技術的な観点としては、スマートフォンなどデバイスの高性能化やAI/機械学習などを活用した認証技術の進化が挙げられる。身元確認、当人認証のレベルに応じた組み合わせで、より安全かつ正確な本人確認が可能になった。
利用者にとっては、従来の本人確認方法と違って「面倒な手続きが不要となる」点がメリットとして考えられる。導入事業者は、デジタル化に伴うペーパーレス化でデータ保管の効率化、データ保護の安全性の向上、郵送コストを削減が可能。申し込みからサービスの利用までのリードタイムを短縮することで、ユーザーの離脱防止や顧客満足度の向上、機会損失の防止などの効果も期待できる。
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- TRUSTDOCK 「日本で唯一の専業会社」を自負
- Liquid 利便性とセキュリティを追求
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