Special Feature
紙面で振り返る2026年上期 AIが生み出す変化を好機にSIビジネスの“根本”の変革が進む
2026/06/29 09:00
週刊BCN 2026年06月29日vol.2110掲載
生成AIは単なる“壁打ち役”としての役割を超え、多くの産業の実業務にとって、より身近な存在となりつつある。この流れはもちろん、ITベンダーにも無縁ではない。プログラミングがAIで自動化できるようになる中、人月モデルを基本とする既存のSIビジネスの“根本”にも変革が迫られている。AIの急速な進化で生まれた変化を好機につなげられるか。2026年上期を紙面とともに振り返る。
(構成/大畑直悠、南雲亮平)
Chapter1
コーディングAIが目まぐるしく進化している。開発工程にAIを組み込めば大幅な効率化が図れることは、今や誰もが当たり前と認識しつつある。一方で、エンタープライズ向けSIの領域で本格的に活用しようとする際には、開発プロセスや組織マネジメント、品質保証のあり方などを見直す必要性があるようだ。
5月25日・2105号の紙面
5月25日・2105号で特集した「『AI駆動開発』はSIerに何をもたらすか 開発の重心が上流工程に、組織・人材は再定義へ」では、企画から実装、テスト、運用までの全工程にAIを組み込む「AI駆動開発」に積極的に取り組むSIerの動きを追った。
AIの活用による変化の一つは、開発工程における人員配分の逆転だ。少人数の熟練者による要件定義と多数のプログラマーを動員した開発という従来型SIの構図が変わる。AIがコードを書く分、多くのエンジニアが上流工程へと振り分けられており、ユーザーの要望を引き出す力が求められている。
AI駆動開発の実践の中で、新たなビジネスの創出も進んでいる。開発者の異動や退職によって「ブラックボックス化」した既存システムの調査依頼のような、これまで工数がかかっていた案件に対応できるようになったSIerもいる。
4月13日・2100号「仕様駆動開発がもたらす品質とスピードの両立 エンタープライズシステムへの応用が進む」では、AI駆動開発の中でも、「仕様書」を基にAIを用いた開発プロセスの制御を実現する「仕様駆動開発」の実践に迫った。設計方針やシステム構成などを備えた仕様書を読み込ませてAIのアウトプットを統制する。仕様書でチームメンバー全員の共通認識も醸成でき、重要なシステムへの応用も進んでいる。将来のメンテナンスやバージョンアップの際にも仕様書が記録として残るため、開発工程の再現性や可視性が保たれる。
AI駆動開発にしろ、仕様駆動開発にしろ、重要になるのはAIで自動化した先の価値をいかに受け取るかだ。自動化によって対応できる受注数を増加させるだけではなく、工数ベースのビジネスからの転換や、新規ビジネスの創出など、ビジネスのあり方そのものの再構築の中でAI活用の価値が測られることになりそうだ。
Chapter2
NEC、富士通、日立製作所はいわゆる“御用聞き”からの脱却をさらに進め、ビジネスモデルの転換を加速させている。3社の戦略で中核となるのは、やはりAIの活用だ。
6月15日・2108号の紙面
6月15日・2108号で掲載した「AIを軸に収益構造を転換へ NECと富士通が経営計画を公表」では、両社の中期経営計画を詳報した。NECは30年度までの計画の中で、価値創造モデル「BluStellar」によるビジネスの拡大を急いでいる。コンサルティングを起点に顧客への提供価値を型化した「BluStellar Scenario」では、全てのシナリオでAIの適用を進める。また、米Anthropic(アンソロピック)との戦略的協業に基づき、NECグループ内での生成AI活用を進めており、特にBluStellarでの利益率の改善に寄与するとみている。
富士通は35年度までの中長期経営ビジョンにおいて、オファリングを中核とする「Uvance」とモダナイゼーションサービスの進化を成長の要に据える。26年度からは全てのサービスをAIで駆動させ、労働集約的なSIからの脱却を図る。収益モデルに関しても人月モデルから、データ量課金やコンピューティングパワーのワークロード・使用量に基づいた課金モデルへ比重を移していく。新規事業の創出にも取り組む考え。独自CPUや量子コンピューティング技術などを活用し、ソブリニティを備えた計算基盤の提供やフィジカルAI領域での基盤の整備を進める。
6月8日・2107号の「『HMAX』を日立の勝ち筋に ドメインナレッジとAIで社会インフラを再構築」では、日立製作所が注力商材として定めるHMAXを特集した。HMAXはITシステムや産業設備などから取得したさまざまなデータとドメインナレッジを、最先端AI技術に学習させ、デジタルサービスとして提供する。
同社は30年度までに、全社売上収益に占めるLumada関連事業の比率を80%、Lumada事業における調整後EBITA率を20%とする目標「Lumada 80-20」を掲げており、HMAXはこれを達成する成長ドライバーと位置付けている。リアルタイムデータやAIの利用を前提とした現場業務の遂行を支援しており、継続的に顧客に価値を届けるリカーリングサービスとして収益性の高さを磨いていく。Chapter3
サイバー攻撃の脅威は増加し続けている。対抗するセキュリティー対策も進んでいる。
4月6日・2099号の紙面
4月6日・2099号で掲載した「『セキュリティ評価制度』開始まで1年 ITベンダーが果たす役割とは」では、2026年度末に運用開始するとされるSCS(Supply Chain Security)評価制度を解説した。同制度で最低限の対策水準と評価される「★3」では、企業が自社に施したセキュリティー対策に対して、一定の要件を満たした外部の専門家による確認や助言を受ける必要があり、この専門家が所属していればITベンダーも支援が可能だ。多くの中堅・中小企業のセキュリティーを向上させる上で、日頃からユーザー企業に出入りするITベンダーが果たす役割は多そうだ。
5月4日・2103号の「本格化するOTセキュリティー市場 SIerは連携やコンサルティングに商機」では、工場や重要インフラへのサイバー脅威に対抗するOTセキュリティーを特集した。閉域網を前提としてきた製造装置や産業制御システムは遠隔監視やデータ活用の拡大などで外部ネットワークとの接続が進んでおり、OT環境におけるサイバーリスクは増大している。稼働停止の回避が優先される中、セキュリティー対策を取り入れづらい現状はあるものの、コンサルティングの提供などに普及への活路が見いだされつつある。
セキュリティーの強化を推進しつつ、並行して従業員の利便性を損なわないことも重要だ。5月18日・2104号の「注目集まる『セキュアエンタープライズブラウザー』 本格普及を見据え、パートナーと連携」ではクラウドサービスの活用が進む中、業務の中心となりつつあるブラウザーへのセキュリティー対策をまとめた。セキュアエンタープライズブラウザーでは、多くのブラウザーの中核的な機能であるオープンソースの「Chromium」を利用して一般的なブラウザーと変わらない操作性やコンテンツに対する互換性を実現する。ここにアクセス権限の制御やフィルタリングといった機能を搭載し、ブラウザー上での業務を保護する。
導入の容易さが特徴で、拡販を進めるITベンダーは間接販売による普及に力を入れている。パートナーにはゼロトラストセキュリティーへの入り口として拡販を促す考えだ。Extra
パートナービジネスに、新しい潮流が生まれている。3月2日・2094号で特集した「マーケットプレイスでも間接販売へ AWS、ディストリビューターが注力」では、米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)が注力する法人向けIT製品のマーケットプレイス「AWS Marketplace」の動きを報じた。パートナーを経由して購入できる複数の制度が整えられ、流通経路の一つとして確立されつつある。
3月2日・2094号の紙面
AWS Marketplace は25年に日本語に対応したことを機に、国内でも急速にプレゼンスを高めている。チャネルパートナーに対しては、独自契約や割引価格での製品の提供に加え、付加価値をつけて販売できるプログラム「CPPO(Channel Partner Private Offers)」を用意。プロフェッショナルサービスなど、独自の商材やサービスを組み合わせることもできる。
「DSOR(Designated Seller of Record)」プログラムでは、ISVに代わり販売店によるAWS Marketplace上での出品や販売、特定顧客向けの価格・条件の作成などができ、ディストリビューターから販売パートナーを経由した製品提供が可能。国内の商慣習に合った商流が展開できる。
ネットワールドは、国内のディストリビューターでいち早くDSOR認定を取得しており、ITインフラを強みとしてきたクラウド系SIerのパートナーを増やしている。グローバルベンダーが提供する製品に加え、国内ISVの開拓やISV製品のSaaS化の支援にも乗り出している。
一方で、SB C&SではAWS Marketplaceだけではなく、米Google(グーグル)と米Microsoft(マイクロソフト)のクラウドマーケットプレイスのパートナー展開も探っている。ハイパースケーラーが用意するマーケットプレイスが国内のITビジネスの販路に与える影響は今後も注視する必要があるだろう。
(構成/大畑直悠、南雲亮平)

Chapter1
AIを前提とした開発へシフト
コーディングAIが目まぐるしく進化している。開発工程にAIを組み込めば大幅な効率化が図れることは、今や誰もが当たり前と認識しつつある。一方で、エンタープライズ向けSIの領域で本格的に活用しようとする際には、開発プロセスや組織マネジメント、品質保証のあり方などを見直す必要性があるようだ。
5月25日・2105号で特集した「『AI駆動開発』はSIerに何をもたらすか 開発の重心が上流工程に、組織・人材は再定義へ」では、企画から実装、テスト、運用までの全工程にAIを組み込む「AI駆動開発」に積極的に取り組むSIerの動きを追った。
AIの活用による変化の一つは、開発工程における人員配分の逆転だ。少人数の熟練者による要件定義と多数のプログラマーを動員した開発という従来型SIの構図が変わる。AIがコードを書く分、多くのエンジニアが上流工程へと振り分けられており、ユーザーの要望を引き出す力が求められている。
AI駆動開発の実践の中で、新たなビジネスの創出も進んでいる。開発者の異動や退職によって「ブラックボックス化」した既存システムの調査依頼のような、これまで工数がかかっていた案件に対応できるようになったSIerもいる。
4月13日・2100号「仕様駆動開発がもたらす品質とスピードの両立 エンタープライズシステムへの応用が進む」では、AI駆動開発の中でも、「仕様書」を基にAIを用いた開発プロセスの制御を実現する「仕様駆動開発」の実践に迫った。設計方針やシステム構成などを備えた仕様書を読み込ませてAIのアウトプットを統制する。仕様書でチームメンバー全員の共通認識も醸成でき、重要なシステムへの応用も進んでいる。将来のメンテナンスやバージョンアップの際にも仕様書が記録として残るため、開発工程の再現性や可視性が保たれる。
AI駆動開発にしろ、仕様駆動開発にしろ、重要になるのはAIで自動化した先の価値をいかに受け取るかだ。自動化によって対応できる受注数を増加させるだけではなく、工数ベースのビジネスからの転換や、新規ビジネスの創出など、ビジネスのあり方そのものの再構築の中でAI活用の価値が測られることになりそうだ。
Chapter2
大手電機3社は“御用聞き”脱却へ さらに加速
NEC、富士通、日立製作所はいわゆる“御用聞き”からの脱却をさらに進め、ビジネスモデルの転換を加速させている。3社の戦略で中核となるのは、やはりAIの活用だ。
6月15日・2108号で掲載した「AIを軸に収益構造を転換へ NECと富士通が経営計画を公表」では、両社の中期経営計画を詳報した。NECは30年度までの計画の中で、価値創造モデル「BluStellar」によるビジネスの拡大を急いでいる。コンサルティングを起点に顧客への提供価値を型化した「BluStellar Scenario」では、全てのシナリオでAIの適用を進める。また、米Anthropic(アンソロピック)との戦略的協業に基づき、NECグループ内での生成AI活用を進めており、特にBluStellarでの利益率の改善に寄与するとみている。
富士通は35年度までの中長期経営ビジョンにおいて、オファリングを中核とする「Uvance」とモダナイゼーションサービスの進化を成長の要に据える。26年度からは全てのサービスをAIで駆動させ、労働集約的なSIからの脱却を図る。収益モデルに関しても人月モデルから、データ量課金やコンピューティングパワーのワークロード・使用量に基づいた課金モデルへ比重を移していく。新規事業の創出にも取り組む考え。独自CPUや量子コンピューティング技術などを活用し、ソブリニティを備えた計算基盤の提供やフィジカルAI領域での基盤の整備を進める。
6月8日・2107号の「『HMAX』を日立の勝ち筋に ドメインナレッジとAIで社会インフラを再構築」では、日立製作所が注力商材として定めるHMAXを特集した。HMAXはITシステムや産業設備などから取得したさまざまなデータとドメインナレッジを、最先端AI技術に学習させ、デジタルサービスとして提供する。
同社は30年度までに、全社売上収益に占めるLumada関連事業の比率を80%、Lumada事業における調整後EBITA率を20%とする目標「Lumada 80-20」を掲げており、HMAXはこれを達成する成長ドライバーと位置付けている。リアルタイムデータやAIの利用を前提とした現場業務の遂行を支援しており、継続的に顧客に価値を届けるリカーリングサービスとして収益性の高さを磨いていく。
Chapter3
サプライチェーンへのセキュリティー対策が進む
サイバー攻撃の脅威は増加し続けている。対抗するセキュリティー対策も進んでいる。
4月6日・2099号で掲載した「『セキュリティ評価制度』開始まで1年 ITベンダーが果たす役割とは」では、2026年度末に運用開始するとされるSCS(Supply Chain Security)評価制度を解説した。同制度で最低限の対策水準と評価される「★3」では、企業が自社に施したセキュリティー対策に対して、一定の要件を満たした外部の専門家による確認や助言を受ける必要があり、この専門家が所属していればITベンダーも支援が可能だ。多くの中堅・中小企業のセキュリティーを向上させる上で、日頃からユーザー企業に出入りするITベンダーが果たす役割は多そうだ。
5月4日・2103号の「本格化するOTセキュリティー市場 SIerは連携やコンサルティングに商機」では、工場や重要インフラへのサイバー脅威に対抗するOTセキュリティーを特集した。閉域網を前提としてきた製造装置や産業制御システムは遠隔監視やデータ活用の拡大などで外部ネットワークとの接続が進んでおり、OT環境におけるサイバーリスクは増大している。稼働停止の回避が優先される中、セキュリティー対策を取り入れづらい現状はあるものの、コンサルティングの提供などに普及への活路が見いだされつつある。
セキュリティーの強化を推進しつつ、並行して従業員の利便性を損なわないことも重要だ。5月18日・2104号の「注目集まる『セキュアエンタープライズブラウザー』 本格普及を見据え、パートナーと連携」ではクラウドサービスの活用が進む中、業務の中心となりつつあるブラウザーへのセキュリティー対策をまとめた。セキュアエンタープライズブラウザーでは、多くのブラウザーの中核的な機能であるオープンソースの「Chromium」を利用して一般的なブラウザーと変わらない操作性やコンテンツに対する互換性を実現する。ここにアクセス権限の制御やフィルタリングといった機能を搭載し、ブラウザー上での業務を保護する。
導入の容易さが特徴で、拡販を進めるITベンダーは間接販売による普及に力を入れている。パートナーにはゼロトラストセキュリティーへの入り口として拡販を促す考えだ。
Extra
マーケットプレイスは新たな商流となるか
パートナービジネスに、新しい潮流が生まれている。3月2日・2094号で特集した「マーケットプレイスでも間接販売へ AWS、ディストリビューターが注力」では、米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)が注力する法人向けIT製品のマーケットプレイス「AWS Marketplace」の動きを報じた。パートナーを経由して購入できる複数の制度が整えられ、流通経路の一つとして確立されつつある。
AWS Marketplace は25年に日本語に対応したことを機に、国内でも急速にプレゼンスを高めている。チャネルパートナーに対しては、独自契約や割引価格での製品の提供に加え、付加価値をつけて販売できるプログラム「CPPO(Channel Partner Private Offers)」を用意。プロフェッショナルサービスなど、独自の商材やサービスを組み合わせることもできる。
「DSOR(Designated Seller of Record)」プログラムでは、ISVに代わり販売店によるAWS Marketplace上での出品や販売、特定顧客向けの価格・条件の作成などができ、ディストリビューターから販売パートナーを経由した製品提供が可能。国内の商慣習に合った商流が展開できる。
ネットワールドは、国内のディストリビューターでいち早くDSOR認定を取得しており、ITインフラを強みとしてきたクラウド系SIerのパートナーを増やしている。グローバルベンダーが提供する製品に加え、国内ISVの開拓やISV製品のSaaS化の支援にも乗り出している。
一方で、SB C&SではAWS Marketplaceだけではなく、米Google(グーグル)と米Microsoft(マイクロソフト)のクラウドマーケットプレイスのパートナー展開も探っている。ハイパースケーラーが用意するマーケットプレイスが国内のITビジネスの販路に与える影響は今後も注視する必要があるだろう。
生成AIは単なる“壁打ち役”としての役割を超え、多くの産業の実業務にとって、より身近な存在となりつつある。この流れはもちろん、ITベンダーにも無縁ではない。プログラミングがAIで自動化できるようになる中、人月モデルを基本とする既存のSIビジネスの“根本”にも変革が迫られている。AIの急速な進化で生まれた変化を好機につなげられるか。2026年上期を紙面とともに振り返る。
(構成/大畑直悠、南雲亮平)
Chapter1
コーディングAIが目まぐるしく進化している。開発工程にAIを組み込めば大幅な効率化が図れることは、今や誰もが当たり前と認識しつつある。一方で、エンタープライズ向けSIの領域で本格的に活用しようとする際には、開発プロセスや組織マネジメント、品質保証のあり方などを見直す必要性があるようだ。
5月25日・2105号の紙面
5月25日・2105号で特集した「『AI駆動開発』はSIerに何をもたらすか 開発の重心が上流工程に、組織・人材は再定義へ」では、企画から実装、テスト、運用までの全工程にAIを組み込む「AI駆動開発」に積極的に取り組むSIerの動きを追った。
AIの活用による変化の一つは、開発工程における人員配分の逆転だ。少人数の熟練者による要件定義と多数のプログラマーを動員した開発という従来型SIの構図が変わる。AIがコードを書く分、多くのエンジニアが上流工程へと振り分けられており、ユーザーの要望を引き出す力が求められている。
AI駆動開発の実践の中で、新たなビジネスの創出も進んでいる。開発者の異動や退職によって「ブラックボックス化」した既存システムの調査依頼のような、これまで工数がかかっていた案件に対応できるようになったSIerもいる。
4月13日・2100号「仕様駆動開発がもたらす品質とスピードの両立 エンタープライズシステムへの応用が進む」では、AI駆動開発の中でも、「仕様書」を基にAIを用いた開発プロセスの制御を実現する「仕様駆動開発」の実践に迫った。設計方針やシステム構成などを備えた仕様書を読み込ませてAIのアウトプットを統制する。仕様書でチームメンバー全員の共通認識も醸成でき、重要なシステムへの応用も進んでいる。将来のメンテナンスやバージョンアップの際にも仕様書が記録として残るため、開発工程の再現性や可視性が保たれる。
AI駆動開発にしろ、仕様駆動開発にしろ、重要になるのはAIで自動化した先の価値をいかに受け取るかだ。自動化によって対応できる受注数を増加させるだけではなく、工数ベースのビジネスからの転換や、新規ビジネスの創出など、ビジネスのあり方そのものの再構築の中でAI活用の価値が測られることになりそうだ。
(構成/大畑直悠、南雲亮平)

Chapter1
AIを前提とした開発へシフト
コーディングAIが目まぐるしく進化している。開発工程にAIを組み込めば大幅な効率化が図れることは、今や誰もが当たり前と認識しつつある。一方で、エンタープライズ向けSIの領域で本格的に活用しようとする際には、開発プロセスや組織マネジメント、品質保証のあり方などを見直す必要性があるようだ。
5月25日・2105号で特集した「『AI駆動開発』はSIerに何をもたらすか 開発の重心が上流工程に、組織・人材は再定義へ」では、企画から実装、テスト、運用までの全工程にAIを組み込む「AI駆動開発」に積極的に取り組むSIerの動きを追った。
AIの活用による変化の一つは、開発工程における人員配分の逆転だ。少人数の熟練者による要件定義と多数のプログラマーを動員した開発という従来型SIの構図が変わる。AIがコードを書く分、多くのエンジニアが上流工程へと振り分けられており、ユーザーの要望を引き出す力が求められている。
AI駆動開発の実践の中で、新たなビジネスの創出も進んでいる。開発者の異動や退職によって「ブラックボックス化」した既存システムの調査依頼のような、これまで工数がかかっていた案件に対応できるようになったSIerもいる。
4月13日・2100号「仕様駆動開発がもたらす品質とスピードの両立 エンタープライズシステムへの応用が進む」では、AI駆動開発の中でも、「仕様書」を基にAIを用いた開発プロセスの制御を実現する「仕様駆動開発」の実践に迫った。設計方針やシステム構成などを備えた仕様書を読み込ませてAIのアウトプットを統制する。仕様書でチームメンバー全員の共通認識も醸成でき、重要なシステムへの応用も進んでいる。将来のメンテナンスやバージョンアップの際にも仕様書が記録として残るため、開発工程の再現性や可視性が保たれる。
AI駆動開発にしろ、仕様駆動開発にしろ、重要になるのはAIで自動化した先の価値をいかに受け取るかだ。自動化によって対応できる受注数を増加させるだけではなく、工数ベースのビジネスからの転換や、新規ビジネスの創出など、ビジネスのあり方そのものの再構築の中でAI活用の価値が測られることになりそうだ。
この記事の続き >>
- Chapter2 大手電機3社は“御用聞き”脱却へ さらに加速
- Chapter3 サプライチェーンへのセキュリティー対策が進む
- Extra マーケットプレイスは新たな商流となるか
続きは「週刊BCN+会員」のみ
ご覧になれます。
(登録無料:所要時間1分程度)
新規会員登録はこちら(登録無料) ログイン会員特典
- 注目のキーパーソンへのインタビューや市場を深掘りした解説・特集など毎週更新される会員限定記事が読み放題!
- メールマガジンを毎日配信(土日祝をのぞく)
- イベント・セミナー情報の告知が可能(登録および更新)
SIerをはじめ、ITベンダーが読者の多くを占める「週刊BCN+」が集客をサポートします。 - 企業向けIT製品の導入事例情報の詳細PDFデータを何件でもダウンロードし放題!…etc…
- 1



