Special Feature
高まる国産GPUクラウドサービスの価値 計算資源の多様化へ 競合3社が連携
2026/04/27 09:00
週刊BCN 2026年04月27日vol.2102掲載
AIの進化に伴い、国内のGPU需要が急増している。リソース不足が不安視される中で、GPUクラウドサービスを手掛けるKDDIとさくらインターネット、ハイレゾの3社は、競合関係にありながら、ユーザーの選択肢を広げるために協力し、日本GPUアライアンスを立ち上げた。今後はインフラ事業者にとどまらず協力の輪を広げ、日本のAI競争力の向上に貢献したい考えだ。デジタル貿易赤字や地政学的リスク、経済安全保障に基づくデータ主権のあり方といった課題が浮き彫りになる中で、国産事業者によるサービスの価値は重要性を増している。アライアンスの取り組みから、国内GPUクラウドサービスの今を考える。
(取材・文/南雲亮平、下澤 悠)
日本GPUアライアンス
日本GPUアライアンスは、2025年10月にKDDI、さくらインターネット、ハイレゾの3社が、国内GPUコンピューティングリソースの安定供給体制を確立し、AI産業の発展に寄与することを目的として設立した組織だ。3社は経済産業省から「特定重要物資クラウドプログラムの供給確保計画」に基づく認定と助成を受けており、計算資源を国内のスタートアップやAI開発企業などに提供し、生成AI開発をはじめたとした基盤の整備を進めてきた。25年4月にはGPU需要に対応するための基本合意書を締結し、市場の需要に応じた多様なGPUサービスの選択肢を提供することや、業界全体のシームレスな連携を目指してきた。その流れがアライアンスにつながった。
アライアンスによって3社は、KDDIの「KDDI GPU Cloud」、さくらインターネットの「高火力」、ハイレゾの「GPUSOROBAN」などの相互再販を手掛けている。GPUのニーズは学習、推論、科学技術計算用途など多様化しているが、その全てに対応するために1社で高額なGPUを集め、全ラインアップを揃えることは現実的に難しい。そこで、特徴的なラインアップを持つ各社が相互にサービスを紹介することで、モデル規模やコスト要件などの多様なニーズに応じた最適なリソースを提供し、ユーザーの開発効率やコストパフォーマンス向上に寄与できるとの考えだ。
3社は競合関係にありながらも、協調できる部分では協力を密にしてきた。組織体制としては、全体の進捗を管理する全体会を中心に、戦略分科会のほか、営業、マーケティング、PRなどの分科会を設置している。頻繁に情報を交換し、分科会で協議した内容を全体会で話し合うことでアライアンスを発展させており、相互再販による顧客へのPR強化や参加各社の間での情報共有が進んだことで、各社の売り上げにもプラスの影響が出ているという。
アライアンスが提供するのは国産のGPUクラウドであり、データの国内保持やガバナンスを重視する顧客への訴求効果が期待できる。また、日本のデジタル赤字解消という社会課題の観点からも、サービスの選択肢を充実させることで、顧客が国産を選びやすい環境を徐々に整えていく考えだ。
今後は3社やインフラ提供事業者にとどまらず、さらに多くの企業や団体の参加を促すことで、国内でのAI競争力向上に向けた協力体制の構築を目指す。すでに関心を寄せる事業者が現れており、アライアンスのさらなる拡大は現実味を帯びる。
KDDI
KDDIは4月、KDDI GPU Cloudの正式提供を開始した。大阪府堺市に新設したAIデータセンターを拠点とし、米NVIDIA(エヌビディア)のAIコンピューティング基盤「GB200 NVL72」を用意している。エンタープライズ向けに推奨される構成を備え、大規模AI学習基盤として活用できる性能を強みとする。
KDDI
浅川善則 部長
国内データセンターと専用ネットワークによるセキュアな接続を可能とし、AI活用の利便性が高い点も特徴だ。1台単位での利用から、計算資源をまとめて使う大規模クラスターまで柔軟に対応できるため、大企業だけでなく、AIモデルを開発するスタートアップ企業のニーズにも応える。
想定されるユースケースとしては、自社内でのLLM(大規模言語モデル)開発に加え、画像や映像を扱うマルチモーダル処理、自動運転の走行シミュレーション、金融分野での取引データを用いた指標予測などがあり、多岐にわたる分野で需要が高まっているという。
国産クラウドが選ばれる背景について、ビジネス事業本部プロダクト本部の浅川善則・AIビジネス企画部長は、AIが扱うデータや学習用データの国内保管、サポート体制といったガバナンスを重視する傾向があるとの見解を示す。特に「金融や製造、公共分野ではその傾向が強い」と分析する。
販売体制は、直販とパートナー経由の両方。法人向け直販では、通信事業者ならではの強みを生かし、セキュリティーとネットワークを組み合わせた提案を行う。
今後注力する領域としては、製造、金融、自動車、製薬、IT業界など既に需要が顕在化している分野に加え、フィジカルAIやロボティクス分野も挙げている。浅川部長は「AIの社会実装が進めば、エンタープライズ全体に広がっていくはず。通信事業の顧客基盤も活用し、幅広く供給したい」と展望する。また、「GPUをはじめとした計算資源は社会インフラとして重要性を増している。これらを安定的に供給し、安心してAIを開発・活用できる環境を構築することで、日本の産業発展に貢献していく」と話した。さくらインターネット
16年からエヌビディアと取引を続けるさくらインターネットは、約10年にわたる高火力展開の経験とノウハウを持ち、最先端製品を含む多様なGPUを取り揃えてサービスを構築しているのが特徴だ。現在は、GPUクラウドサービスとして高火力のほか、「さくらONE」「さくらのAI」をラインアップとして揃え、ユーザーの用途や段階に応じて計算資源を提供する。
さくらインターネット
霜田 純 執行役員
高火力は複数のシリーズがあり、GPUサーバー1台を月額で利用したり、複数サーバーをまとめてクラスターとして利用したりできる。細かな時間単位で利用できるプランも用意し、柔軟に提供することができる。さくらONEはHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けのサービスで、高度な科学技術計算を実行できるマネージドスーパーコンピューターを提供している。主に学術用途で利用されることが多いという。
さくらのAIはAIのプラットフォームサービスで、GPUだけでなく、その上に構築したモデルをAPIで連携して活用できる。25年のリリース直後から推論用途での利用希望が増えており、霜田純・執行役員はこのような実利用段階の需要に応えられるよう価値を提供したいとしている。
国産クラウドが選ばれる背景には、国際情勢の変化に伴う為替変動がある。それにより利用料が安定しないデメリットを考えると、価格が変動しにくい国産サービスの利用は理に適う。また、国の貿易赤字を考慮する経営者も多く、この観点でも国産の強みが評価されている可能性がある。
AIの社会実装が進む中、同社は実際にAIを使う場面の増加により、今後さらに開発や強化学習などの需要が高まると見込む。
開発と利用のサイクルが回り始めるタイミングに、的確なターゲティングでサービスの営業や事業運営を進めていきたい考えだ。ハイレゾ
ハイレゾは香川県・石川県・佐賀県などの地方にAI専用データセンターを分散し、クラウドサービスのGPUSOROBANを展開する。小堀敦史・取締役は「AIの学習やバッチ推論などを得意とする価格特化型の計算力が強み」と説明する。
ハイレゾ
小堀敦史 取締役
受電設備は最大2メガワットの電力で運用しており、データセンター立ち上げまでのスピードが早く、スモールスタートから細かな要件に合わせたプライベートクラウド構築まで、用途に応じて柔軟に対応できる。この特徴により、エンタープライズのAI学習用途だけでなく、大学・研究機関、AIスタートアップ、中小企業など幅広くサービスを提供することができる。
需要動向について小堀取締役は、生成AIが普及し始めてから、国内需要が年々大きく伸びていると紹介。続けて「近年はロボティクスやフィジカルAIなどの研究開発に取り組む企業が増えた。今後は政府も力を入れる分野として、市場のさらなる成長が十分に期待できる」と展望する。
市場成長の背景として、小堀取締役は「サプライチェーンのガバナンスを意識する顧客が増えてきた」と分析する。特に大手企業はデータの主権と所在に加え「国内で経済を循環させる」という観点から、国産の計算資源を選ぶ傾向にあるという。また、専門技術を持った人材を確保・育成することが難しい中小企業にとっては、外資系サービスより国産サービスのほうが分かりやすく使いやすいという点も、選定理由の一つとなっている。
同社はGPUクラウドを単なる計算資源ではなく、地域分散型データセンターとして展開することで、東京一極集中のリスクを回避するとともに、デジタル面における国土強靭化への貢献事業と位置付けている。小堀取締役は「地方に高度な演算拠点ができれば、雇用創出やIT人材の育成につながる」とも期待する。将来的には、地元で生まれた再生エネルギーを計算力に変換し、地元で消費するという地産地消のかたちで地方にAIを根付かせることを目指す。
(取材・文/南雲亮平、下澤 悠)

日本GPUアライアンス
相互再販で多様な選択肢示す 売り上げにはプラスの影響も
日本GPUアライアンスは、2025年10月にKDDI、さくらインターネット、ハイレゾの3社が、国内GPUコンピューティングリソースの安定供給体制を確立し、AI産業の発展に寄与することを目的として設立した組織だ。3社は経済産業省から「特定重要物資クラウドプログラムの供給確保計画」に基づく認定と助成を受けており、計算資源を国内のスタートアップやAI開発企業などに提供し、生成AI開発をはじめたとした基盤の整備を進めてきた。25年4月にはGPU需要に対応するための基本合意書を締結し、市場の需要に応じた多様なGPUサービスの選択肢を提供することや、業界全体のシームレスな連携を目指してきた。その流れがアライアンスにつながった。アライアンスによって3社は、KDDIの「KDDI GPU Cloud」、さくらインターネットの「高火力」、ハイレゾの「GPUSOROBAN」などの相互再販を手掛けている。GPUのニーズは学習、推論、科学技術計算用途など多様化しているが、その全てに対応するために1社で高額なGPUを集め、全ラインアップを揃えることは現実的に難しい。そこで、特徴的なラインアップを持つ各社が相互にサービスを紹介することで、モデル規模やコスト要件などの多様なニーズに応じた最適なリソースを提供し、ユーザーの開発効率やコストパフォーマンス向上に寄与できるとの考えだ。
3社は競合関係にありながらも、協調できる部分では協力を密にしてきた。組織体制としては、全体の進捗を管理する全体会を中心に、戦略分科会のほか、営業、マーケティング、PRなどの分科会を設置している。頻繁に情報を交換し、分科会で協議した内容を全体会で話し合うことでアライアンスを発展させており、相互再販による顧客へのPR強化や参加各社の間での情報共有が進んだことで、各社の売り上げにもプラスの影響が出ているという。
アライアンスが提供するのは国産のGPUクラウドであり、データの国内保持やガバナンスを重視する顧客への訴求効果が期待できる。また、日本のデジタル赤字解消という社会課題の観点からも、サービスの選択肢を充実させることで、顧客が国産を選びやすい環境を徐々に整えていく考えだ。
今後は3社やインフラ提供事業者にとどまらず、さらに多くの企業や団体の参加を促すことで、国内でのAI競争力向上に向けた協力体制の構築を目指す。すでに関心を寄せる事業者が現れており、アライアンスのさらなる拡大は現実味を帯びる。
KDDI
通信事業者としての強み訴求 専用回線でセキュアな接続
KDDIは4月、KDDI GPU Cloudの正式提供を開始した。大阪府堺市に新設したAIデータセンターを拠点とし、米NVIDIA(エヌビディア)のAIコンピューティング基盤「GB200 NVL72」を用意している。エンタープライズ向けに推奨される構成を備え、大規模AI学習基盤として活用できる性能を強みとする。
浅川善則 部長
国内データセンターと専用ネットワークによるセキュアな接続を可能とし、AI活用の利便性が高い点も特徴だ。1台単位での利用から、計算資源をまとめて使う大規模クラスターまで柔軟に対応できるため、大企業だけでなく、AIモデルを開発するスタートアップ企業のニーズにも応える。
想定されるユースケースとしては、自社内でのLLM(大規模言語モデル)開発に加え、画像や映像を扱うマルチモーダル処理、自動運転の走行シミュレーション、金融分野での取引データを用いた指標予測などがあり、多岐にわたる分野で需要が高まっているという。
国産クラウドが選ばれる背景について、ビジネス事業本部プロダクト本部の浅川善則・AIビジネス企画部長は、AIが扱うデータや学習用データの国内保管、サポート体制といったガバナンスを重視する傾向があるとの見解を示す。特に「金融や製造、公共分野ではその傾向が強い」と分析する。
販売体制は、直販とパートナー経由の両方。法人向け直販では、通信事業者ならではの強みを生かし、セキュリティーとネットワークを組み合わせた提案を行う。
今後注力する領域としては、製造、金融、自動車、製薬、IT業界など既に需要が顕在化している分野に加え、フィジカルAIやロボティクス分野も挙げている。浅川部長は「AIの社会実装が進めば、エンタープライズ全体に広がっていくはず。通信事業の顧客基盤も活用し、幅広く供給したい」と展望する。また、「GPUをはじめとした計算資源は社会インフラとして重要性を増している。これらを安定的に供給し、安心してAIを開発・活用できる環境を構築することで、日本の産業発展に貢献していく」と話した。
さくらインターネット
10年にわたるノウハウ生かす 推論用途のニーズが拡大
16年からエヌビディアと取引を続けるさくらインターネットは、約10年にわたる高火力展開の経験とノウハウを持ち、最先端製品を含む多様なGPUを取り揃えてサービスを構築しているのが特徴だ。現在は、GPUクラウドサービスとして高火力のほか、「さくらONE」「さくらのAI」をラインアップとして揃え、ユーザーの用途や段階に応じて計算資源を提供する。
霜田 純 執行役員
高火力は複数のシリーズがあり、GPUサーバー1台を月額で利用したり、複数サーバーをまとめてクラスターとして利用したりできる。細かな時間単位で利用できるプランも用意し、柔軟に提供することができる。さくらONEはHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向けのサービスで、高度な科学技術計算を実行できるマネージドスーパーコンピューターを提供している。主に学術用途で利用されることが多いという。
さくらのAIはAIのプラットフォームサービスで、GPUだけでなく、その上に構築したモデルをAPIで連携して活用できる。25年のリリース直後から推論用途での利用希望が増えており、霜田純・執行役員はこのような実利用段階の需要に応えられるよう価値を提供したいとしている。
国産クラウドが選ばれる背景には、国際情勢の変化に伴う為替変動がある。それにより利用料が安定しないデメリットを考えると、価格が変動しにくい国産サービスの利用は理に適う。また、国の貿易赤字を考慮する経営者も多く、この観点でも国産の強みが評価されている可能性がある。
AIの社会実装が進む中、同社は実際にAIを使う場面の増加により、今後さらに開発や強化学習などの需要が高まると見込む。
開発と利用のサイクルが回り始めるタイミングに、的確なターゲティングでサービスの営業や事業運営を進めていきたい考えだ。
ハイレゾ
価格特化の計算力を提供 AIの地産地消で地域活性化
ハイレゾは香川県・石川県・佐賀県などの地方にAI専用データセンターを分散し、クラウドサービスのGPUSOROBANを展開する。小堀敦史・取締役は「AIの学習やバッチ推論などを得意とする価格特化型の計算力が強み」と説明する。
小堀敦史 取締役
受電設備は最大2メガワットの電力で運用しており、データセンター立ち上げまでのスピードが早く、スモールスタートから細かな要件に合わせたプライベートクラウド構築まで、用途に応じて柔軟に対応できる。この特徴により、エンタープライズのAI学習用途だけでなく、大学・研究機関、AIスタートアップ、中小企業など幅広くサービスを提供することができる。
需要動向について小堀取締役は、生成AIが普及し始めてから、国内需要が年々大きく伸びていると紹介。続けて「近年はロボティクスやフィジカルAIなどの研究開発に取り組む企業が増えた。今後は政府も力を入れる分野として、市場のさらなる成長が十分に期待できる」と展望する。
市場成長の背景として、小堀取締役は「サプライチェーンのガバナンスを意識する顧客が増えてきた」と分析する。特に大手企業はデータの主権と所在に加え「国内で経済を循環させる」という観点から、国産の計算資源を選ぶ傾向にあるという。また、専門技術を持った人材を確保・育成することが難しい中小企業にとっては、外資系サービスより国産サービスのほうが分かりやすく使いやすいという点も、選定理由の一つとなっている。
同社はGPUクラウドを単なる計算資源ではなく、地域分散型データセンターとして展開することで、東京一極集中のリスクを回避するとともに、デジタル面における国土強靭化への貢献事業と位置付けている。小堀取締役は「地方に高度な演算拠点ができれば、雇用創出やIT人材の育成につながる」とも期待する。将来的には、地元で生まれた再生エネルギーを計算力に変換し、地元で消費するという地産地消のかたちで地方にAIを根付かせることを目指す。
AIの進化に伴い、国内のGPU需要が急増している。リソース不足が不安視される中で、GPUクラウドサービスを手掛けるKDDIとさくらインターネット、ハイレゾの3社は、競合関係にありながら、ユーザーの選択肢を広げるために協力し、日本GPUアライアンスを立ち上げた。今後はインフラ事業者にとどまらず協力の輪を広げ、日本のAI競争力の向上に貢献したい考えだ。デジタル貿易赤字や地政学的リスク、経済安全保障に基づくデータ主権のあり方といった課題が浮き彫りになる中で、国産事業者によるサービスの価値は重要性を増している。アライアンスの取り組みから、国内GPUクラウドサービスの今を考える。
(取材・文/南雲亮平、下澤 悠)
日本GPUアライアンス
日本GPUアライアンスは、2025年10月にKDDI、さくらインターネット、ハイレゾの3社が、国内GPUコンピューティングリソースの安定供給体制を確立し、AI産業の発展に寄与することを目的として設立した組織だ。3社は経済産業省から「特定重要物資クラウドプログラムの供給確保計画」に基づく認定と助成を受けており、計算資源を国内のスタートアップやAI開発企業などに提供し、生成AI開発をはじめたとした基盤の整備を進めてきた。25年4月にはGPU需要に対応するための基本合意書を締結し、市場の需要に応じた多様なGPUサービスの選択肢を提供することや、業界全体のシームレスな連携を目指してきた。その流れがアライアンスにつながった。
アライアンスによって3社は、KDDIの「KDDI GPU Cloud」、さくらインターネットの「高火力」、ハイレゾの「GPUSOROBAN」などの相互再販を手掛けている。GPUのニーズは学習、推論、科学技術計算用途など多様化しているが、その全てに対応するために1社で高額なGPUを集め、全ラインアップを揃えることは現実的に難しい。そこで、特徴的なラインアップを持つ各社が相互にサービスを紹介することで、モデル規模やコスト要件などの多様なニーズに応じた最適なリソースを提供し、ユーザーの開発効率やコストパフォーマンス向上に寄与できるとの考えだ。
3社は競合関係にありながらも、協調できる部分では協力を密にしてきた。組織体制としては、全体の進捗を管理する全体会を中心に、戦略分科会のほか、営業、マーケティング、PRなどの分科会を設置している。頻繁に情報を交換し、分科会で協議した内容を全体会で話し合うことでアライアンスを発展させており、相互再販による顧客へのPR強化や参加各社の間での情報共有が進んだことで、各社の売り上げにもプラスの影響が出ているという。
アライアンスが提供するのは国産のGPUクラウドであり、データの国内保持やガバナンスを重視する顧客への訴求効果が期待できる。また、日本のデジタル赤字解消という社会課題の観点からも、サービスの選択肢を充実させることで、顧客が国産を選びやすい環境を徐々に整えていく考えだ。
今後は3社やインフラ提供事業者にとどまらず、さらに多くの企業や団体の参加を促すことで、国内でのAI競争力向上に向けた協力体制の構築を目指す。すでに関心を寄せる事業者が現れており、アライアンスのさらなる拡大は現実味を帯びる。
(取材・文/南雲亮平、下澤 悠)

日本GPUアライアンス
相互再販で多様な選択肢示す 売り上げにはプラスの影響も
日本GPUアライアンスは、2025年10月にKDDI、さくらインターネット、ハイレゾの3社が、国内GPUコンピューティングリソースの安定供給体制を確立し、AI産業の発展に寄与することを目的として設立した組織だ。3社は経済産業省から「特定重要物資クラウドプログラムの供給確保計画」に基づく認定と助成を受けており、計算資源を国内のスタートアップやAI開発企業などに提供し、生成AI開発をはじめたとした基盤の整備を進めてきた。25年4月にはGPU需要に対応するための基本合意書を締結し、市場の需要に応じた多様なGPUサービスの選択肢を提供することや、業界全体のシームレスな連携を目指してきた。その流れがアライアンスにつながった。アライアンスによって3社は、KDDIの「KDDI GPU Cloud」、さくらインターネットの「高火力」、ハイレゾの「GPUSOROBAN」などの相互再販を手掛けている。GPUのニーズは学習、推論、科学技術計算用途など多様化しているが、その全てに対応するために1社で高額なGPUを集め、全ラインアップを揃えることは現実的に難しい。そこで、特徴的なラインアップを持つ各社が相互にサービスを紹介することで、モデル規模やコスト要件などの多様なニーズに応じた最適なリソースを提供し、ユーザーの開発効率やコストパフォーマンス向上に寄与できるとの考えだ。
3社は競合関係にありながらも、協調できる部分では協力を密にしてきた。組織体制としては、全体の進捗を管理する全体会を中心に、戦略分科会のほか、営業、マーケティング、PRなどの分科会を設置している。頻繁に情報を交換し、分科会で協議した内容を全体会で話し合うことでアライアンスを発展させており、相互再販による顧客へのPR強化や参加各社の間での情報共有が進んだことで、各社の売り上げにもプラスの影響が出ているという。
アライアンスが提供するのは国産のGPUクラウドであり、データの国内保持やガバナンスを重視する顧客への訴求効果が期待できる。また、日本のデジタル赤字解消という社会課題の観点からも、サービスの選択肢を充実させることで、顧客が国産を選びやすい環境を徐々に整えていく考えだ。
今後は3社やインフラ提供事業者にとどまらず、さらに多くの企業や団体の参加を促すことで、国内でのAI競争力向上に向けた協力体制の構築を目指す。すでに関心を寄せる事業者が現れており、アライアンスのさらなる拡大は現実味を帯びる。
この記事の続き >>
- KDDI 通信事業者としての強み訴求 専用回線でセキュアな接続
- さくらインターネット 10年にわたるノウハウ生かす 推論用途のニーズが拡大
- ハイレゾ 価格特化の計算力を提供 AIの地産地消で地域活性化
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