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Special Feature

主要SIerの2025年度上期決算 国内SIは好調に推移、生成AIビジネスが本格化へ

2025/11/24 09:00

週刊BCN 2025年11月24日vol.2083掲載

 主要SIerの2025年4~9月期の業績は、国内の好調なIT需要に支えられて増収増益となった。海外事業の規模が大きいNTTデータグループと野村総合研究所は、インフレや米国関税などの影響を受けて一部で伸び悩みが見られたが、国内需要でカバーして会社全体としてはプラスで着地した。ユーザー企業の本番環境にAIを実装するビジネスは伸長し、SIer側でも、AIによるコードの自動生成といった生産革新が本格化しつつある。
(取材・文/安藤章司)
 

NTTデータグループ
国内増収、北米受注増に手応え

 NTTデータグループの売上高は、好調な国内事業と海外データセンター(DC)設備の譲渡益1295億円によって前年同期比5.4%増の2兆3605億円となった。営業利益は国内では不採算案件の発生や大型案件の反動減、人材確保による販管費の増加など減益要因があったものの、DCの譲渡益が補い、80.5%増の2690億円と大きく伸びた。

 「日本セグメント」は、公共・社会基盤、金融、法人の主要3分野でいずれも増収。営業利益は金融、法人で増益となった一方で、公共・社会基盤分野は不採算案件の増加、高利益率案件の反動減などで前年同期を下回った。上期受注高は3分野とも増加し、16.7%増と好調に推移。収益面で課題を残したが、売り上げベースでは引き続き伸びる見込みだ。

 「海外セグメント」のDC売却益と為替影響を除いた上期売上高は、北米とAPAC(アジア太平洋)が減収、EMEAL(欧州・中東・アフリカ・中南米)とDC事業を含むGTSS(Global Technology and Solution Services)が増収となった。北米の上期受注高は21.5%増と好調に推移していることから、「下期以降、売り上げへの計上が見込まれる」(佐々木裕社長)と、回復への手応えを示す。
 
佐々木裕 社長

 ここ数年、主力の北米市場での不調が続き、欧州のビジネスで海外SI事業を支える構図が続いていたが、24年秋から北米市場の大型案件を重点的に開拓する専門組織を立ち上げるとともに、インドの人的資源をフル活用した競争力強化を進めており、その効果が徐々に出始めているという。欧州事業については、懸案だった英国でのSIビジネスが増収増益に転じたものの、ドイツの自動車業界が米国の高関税の影響を受けていることから、EMEALの上期受注高は3.3%増の伸びにとどまった。

 生成AI戦略では、25年5月に米OpenAI(オープンエーアイ)と国内販売代理店契約を結んで27年度に累計1000億円の売り上げを目指すとともに、7月には仏Mistral AI(ミストラルエーアイ)とプライベートAIの共同開発を発表。8月には「Google Cloud」を活用した業界特化型のAIエージェント事業を加速させることを明らかにし、10月にはNTTが開発した国産LLM(大規模言語モデル)の最新バージョン「tsuzumi 2」の販売をスタートさせている。11月には米シリコンバレーにAIの技術やビジネス動向の情報を収集する新会社を設立し、AI開発の最新動向を常に観測できる体制を強化した。

 NTTデータグループのSIプロジェクトの生産革新にも生成AIを積極的に取り入れており、26年3月期は約500件のSIプロジェクトにAIを活用して20%程度の生産性向上を目指している。27年度にはSIプロジェクト全体の半分にAIを活用し、40%の生産性向上を目標に据える。AIによる自動化が進むのに合わせて従来の「人月ベースの価格設定」から「価値ベースの価格設定」により一層と軸足を移していく。

 通期の売上高は前期比6.4%増の4兆9367億円、営業利益は61.2%増の5220億円を見込む。NTTデータグループはNTTの完全子会社化に伴い、国内法人向けITビジネスを手掛けるNTTドコモビジネスなどのグループ会社との相乗効果を高めていくための組織改編の検討を進めており、「来春以降に具体的な発表をしたい」(NTTの島田明社長)としている。
 
 
この記事の続き >>
  • 野村総合研究所 増収増益も海外伸び悩みが課題
  • TIS インテックとの合併で成長に弾み

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外部リンク

NTTデータグループ=https://www.nttdata.com/global/ja/

野村総合研究所=https://www.nri.com/jp/index.html

TIS=https://www.tis.co.jp/