──2024年はどのような年だったか。
良い部分、悪い部分の両面がある1年だった。コンシューマー向けPCのマーケットは毎月、前年同月比で10~20%ほど落ち込み続けた。そのマイナス部分を法人向けPCや新しいビジネスが埋め、リカバリーはできたが、大きく勝ち越すことはできなかったという感じだ。
國持重隆
代表取締役社長
当社は「ソリューションアグリゲーション」という従来のディストリビューションからさらに付加価値の高い領域へと向かっており、その実現につながり、かつ、コンセプト止まりでなく実行力のあるものをテーマとして、サービスや提案を進めている。その点では、ISVのクラウド化・SaaS化を後押しする「ISV Solution Factory」は、クラウド移行で困っている部分をお手伝いでき、ソリューションアグリゲーションとしての現実的なサービスを提供できた。25年に向けては、パートナーのAIビジネスを支援する「Destination AI」を日本に持って来られることもあり、ようやく現実解が出せるようになった1年だったと感じている。
11月にはアマゾン・ウェブ・サービス・ジャパンとの連携強化も発表した。これで3大ハイパースケーラーとの連携が整い、クラウド移行の際はデファクトスタンダードなプラットフォームをワンストップで提供できるようになる。
──24年はオフィスを移転した。
採用やメンバーのマインドセットをソリューションアグリゲーションの方向へシフトさせるための移転だ。社内のコミュニケーションは今まで以上に良くなり、都心部に移ったことで、お客様やパートナーとも「もっとコミュニケーションを取らなければ」という意識が高まっている。
グローバルシナジーで新しいビジネスを
──25年に注力したいことは。
当社は特性の異なる四つのマーケットごとに事業部を設けている。それぞれの市場、顧客から求められる質やコストも変わるため、一つの会社で全く違う4種類の生き物を成立させることは大きな課題となっている。もともと一つの事業のようなかたちで動いていた会社をうまく分けながら、会社全体のシナジーも保っていきたい。
また、グローバルシナジーもテーマにしたい。海外のプロジェクトをようやく日本に呼び込み、実践できる段階にある。25年は米Broadcom(ブロードコム)のSymantec製品、Carbon Black製品を日本でディストリビューションすることになる。国内での販売、マーケティングの機能は当社に任されるかたちでの協業だ。グローバルシナジーをベースにした新しいビジネスモデルが始まることになり、それに応じた組織の在り方が求められるだろう。