──2024年の総括を。
国内事業が堅調に伸び、NTTコミュニケーションズの海外データセンター(DC)事業の流れを汲む当社海外子会社のNTT Ltd.(NTTリミテッド)の事業も好調に推移した。25年度までの4カ年中期経営計画で掲げた連結売上高4兆円超は達成済みだが、営業利益率10%の目標にはまだ届いていおらず課題が残る。
佐々木裕
代表取締役社長
──利益率の目標達成のかぎを握るのは。
海外事業の利益率を高めていく必要がある。スペインや南米での事業は好調ではあるものの、英国、ドイツ、オーストラリアは構造改革の途上にある。北米は過度なインフレの動向を警戒した企業の投資手控え、ドイツは景気停滞の外部要因の影響が大きい。ただ、北米については複数の大型案件の受注に向けた活動が活発化しており、改善が期待できる段階まできている。
──25年をキーワードで表すと何か。
「クオリティ・グロース」をキーワードに挙げたい。「質を伴った成長」「利益率を高めながら成長をしていく」の意味を込めており、全世界20万人近い従業員にクオリティ・グロースの意識が徐々に浸透しつつあると手応えを感じている。
生成AIビジネスはこれからが本番
──生成AIが注目を集めているが、25年も盛り上がりそうか。
むしろ生成AIビジネスが伸びるのは25年からが本番だ。当社グループでは、ホワイトカラーの生産性向上に役立つ生成AIの活用コンセプト「SmartAgent」を打ち出している。個々の従業員の業務に最適化されたAIエージェントが、法務や経理、人事、顧客管理といった特定業務に特化したAIエージェントと連携して、業務の自動化などの支援を行うものだ。
──生成AI同士を連携させるビジネスが伸びると。
複数のAIエージェントを取りまとめるオーケストレーション技術によってより実用的な生成AIに発展していくとみている。
コールセンター業務は今以上に自動化、無人化できる余地があるし、調達業務についてもAIエージェントが24時間体制で世界中の供給ベンダーのAIエージェントから相見積もりをとって最適解を導き出すようになるのではないか。AIエージェントが即座に見積もりを出す中で、人手で対抗するのはもはや難しい時代がすぐそこまできている。
──デジタル化の勢いが増す中、どのような役割を果たすのか。
企業や社会の変革に当社グループがいろいろなかたちで貢献できるようになったと自負している。上流のコンサルティングから実装、保守運用、ネットワーク、DC基盤の提供に至るまで全方位で取り組む。売り上げ規模で世界第6位、DC規模で世界第3位、日本発祥のテレコムグループのSIerというほかに類を見ない当社の強みを一段と伸ばしていく。