SIerやユーザーから引き合い急増 品質保証に万全の体制を敷く

 コンピュータサプライベンダーのサンワサプライ(山田哲也社長)とネットワークインテグレータのベガシステムズ(若尾和正社長)が開発した高速LANケーブルの市場が拡大している。サーバー構築に必要不可欠なアイテムとしてSIerなどから引き合いが急増。競合ベンダーによる追随現象が起こるなど、新たな市場を創り出すことに成功した。高速LANケーブルのリーディングカンパニーとして、品質保証制度の検討や環境保全にも積極的に取り組んでいくことで事業拡大に力を入れる。

■カテゴリ7がヒット 混信問題を根本解決

 サンワサプライとベガシステムズは共同で高速通信が可能なLAN用パッチケーブルを開発している。パッチケーブルとはケーブルの両端にコネクタが取り付けてあるタイプの製品で、購入してすぐに使える手軽さから業務用から個人に至るまで幅広く浸透。一方で、競争が激しく、差別化が難しい商材だと言われていた。

 しかし、超高速通信が可能なパッチケーブルを業界に先駆けて両社が開発したことで、市場に一大変革が起きた。従来は1Gbps(毎秒1ギガビット)までの通信が一般的だったパッチケーブルだったが、2003年に10倍の10Gbpsの通信が可能な製品を独自に開発。1Gbps用の規格「カテゴリ6」の拡張版として、新たに「カテゴリ6e」と位置づけ、製品化にこぎつけた。

 今年2月にはケーブル間で起こる混信「エイリアンクロストーク」を極限まで抑えたLANケーブル規格「カテゴリ7」を使ったパッチケーブルを世界で初めて量産化に成功。カテゴリ6シリーズで課題だったエイリアンクロストークの問題を根本から解決する画期的な製品に仕上げた。

 発売当初はカテゴリ7パッチケーブルの価格が割高であり、かつ世界的に新しい規格に基づいた製品であったことなどから、出足が鈍い傾向がみられた。だが、ここへきて基幹系サーバーの通信回りなどのミッションクリティカル領域を中心に、ユーザー企業やシステムインテグレータ(SIer)から引き合いが急増。競合メーカーによる追随現象が起こるなど、大きな反響を巻き起こしている。

 ベガシステムズの若尾社長は、「カテゴリ7の有用性が市場から認知されてきた」と手応えを得る。


■メタルと光の溝埋める高い投資対効果を実現

photo LANケーブルを巡っては、一部で長年使われてきたメタル(銅)ケーブルから光ケーブルへ移行するとの観測が広がり、メタルケーブルの新規開発が滞ってきた経緯がある。実際、大手通信事業者の基幹回線やオフィスや家庭用向けのインターネット用の常時接続回線でも光ケーブル化が進んでいる。ところが、光ケーブルは扱いが難しく、コストも割高であるため、LANの領域ではそれほど普及していない。

 この光ケーブルとメタルケーブルのギャップを埋める役割を果たしているのがカテゴリ7である。カテゴリ7はメタルケーブルでありながら、10Gbpsの安定した高速通信を実現し、かつエイリアンクロストークによる速度低下もない。コネクタの形状は既存の「RJ45」と呼ばれるもので、従来品と完全に互換性がある。光ケーブルに比べて取り扱いが極めて容易で、サーバー回りのLAN領域で利用が急速に進み始めた。

 従来のカテゴリ6シリーズ以前の規格は、構造上、エイリアンクロストークが避けられない。ギガビット以上の速度で通信を行う基幹系サーバーで使えば、システム全体の処理速度を低下させるボトルネックになる危険性がある。多額の投資をしてサーバーやストレージなどのハードウェア設備を揃えても、LANケーブルを軽視したばかりに不要なトラブルを抱え込むことにもなりかねない。

 今、いち早くこのことに気づいたユーザーが、カテゴリ7ケーブルに切り替えている。価格は高いが、「ハードウェア全体の投資に占める比率で見れば小さく、投資対効果は高いとの評価を得ている」(若尾社長)と胸を張る。

 カテゴリ7用のケーブルでは二重の絶縁皮膜(シールド)を巻き付けることによって混信の原因となる電波の漏えいを抑えている。なおかつサンワサプライとベガシステムズが独自で開発した互換コネクタと生産技術によって、従来課題となっていた通信機器との接続部分からの電波漏えいも抑えることに成功した。

 コネクタ部分の処置が十分でないと、ケーブル全体がアンテナの役割を果たして、エイリアンクロストークの原因となる電波が、逆に増えることもあり得る。両社は電波暗室で漏えい電波の計測を行い、かつ設計通りの通信速度が確保できているかという性能検査も徹底して行っている。「カテゴリ7のパッチケーブルでは性能が最も重視される。エイリアンクロストークを極限まで排除した品質管理は、他社にはない独自の技術によってのみ成り立つ」と自負する。

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