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<サーバー&ストレージ特集> ベンダー各社、導入・運用しやすいハードウェアを提供 年度末に向けて、サーバー市場が活性化

2008/02/29 19:56

週刊BCN 2008年02月25日vol.1224掲載

 3月の年度末を目前に控え、導入が容易なサーバーへのニーズが高まっている。その中で注目されているのがブレードサーバーだ。また、サーバーを中心としたソリューション提案も新たなビジネスチャンスを生んでいる。

■100V電源対応のブレードサーバーが人気

 ブレードサーバーは集積度が高く、限られた設置面積に多くのサーバーが搭載できるという特長がある。また、サーバーを物理的に統合して集中管理を行い、管理・運用コストを低減するソリューションも登場し始めている。電源やファンなどの共有部品を活用したり、仮想化技術と組み合わせることで、消費電力の低減を実現している。

 ブレードサーバーは、非常に魅力的なソリューションを数多く提供している。しかし、200V電源を用意しなければ利用できないという課題があり、中堅・中小規模企業への導入の障害となっていた。ニーズはあるのに、導入に至らないという状態が続いていたのである。

 しかし、この状況は07年中盤以降大きく変わった。100V電源に対応した製品が市場に拡充され始めたのだ。そこには、中堅・中小規模企業が導入しやすい製品を投入することで、新たな市場を開拓しようという狙いがある。

 同時に、販売パートナーが売りやすい環境を整えるべく、セミナーや販促ツールなどを拡充しているメーカーもある。そのような活動を通して販売機会を広げているのだ。

 サーバー製品だけではない。ストレージやセキュリティなど、サーバーを軸とした周辺のソリューションも大きなビジネスチャンスになる。現在、多くのシステムがIT化されており、ビジネス活動にITは不可欠となっている。

■複合提案で新たな市場を開拓へ

 ストレージは、もはや企業活動そのものを記録する場所となった。特に機密情報はストレージで一元管理することで、リスクを減らすと同時に管理が容易になる。

 さらに、情報の安全性を確保し、事業継続を実現するという観点から、これまで以上にバックアップニーズが高まっている。これまで、企業システムのバックアップはテープで行ってきた。しかしテープの管理が煩雑、速度が遅いといった課題も表面化し、ハードディスクによるソリューションが求められ始めている。

 中堅・中小企業にとって、管理・運用コストの低減は大きなテーマとなっている。特に専任の管理者を配置できない企業も多いため、簡単に管理・運用できるNASを活用したソリューションに人気が集まっているようだ。
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アイ・オー・データ機器 法人ニーズに応えたラックマウントタイプ
管理・運用性が高い「HDL-GTR2U」シリーズ

■コンシューマ市場の勢いを法人市場に

 アイ・オー・データ機器は、市場ニーズに応えたLAN接続型の大容量ハードディスク「LANDISK」シリーズを提供している。ホームユーザーをターゲットとした「LANDISK Home」は、信頼性の高いRAID構成とそのコストパフォーマンスから、コンシューマ市場で高い支持を獲得している。

 さらに同社は、法人ニーズに応えるため、ビジネス用途向けとして「HDL-GTR」シリーズを提供。中堅・中小規模企業において「ファイル管理用サーバー」のニーズが高まっているなか、これまで各クライアントPCに分散して保存されていた情報の集中管理を可能にした。

 2007年12月、同社はサーバーのバックアップストレージとして「HDL-GTR」シリーズに19インチラックマウント対応モデルの「HDL-GTR2U」シリーズを追加し、より幅広い法人ニーズに応えている。「HDL-GTR2U」シリーズは、交換が容易なカートリッジタイプのハードディスクドライブ「Relational HD(リレーショナル・ハードディスク)」を採用し、メンテナンス性を確保。導入・運用・管理それぞれのフェーズで、管理者への負担を大幅に軽減すると同時に、システムのダウンタイムを限りなくゼロに近づけるというものだ。

 「法人市場において、大容量ストレージのニーズが高まっています。“LANDISK”シリーズは、コストパフォーマンスにも優れているため、サーバーのバックアップストレージとして活用されるケースが多いようです」と語るのは、ハードディスク開発課の北川典明主任。

 これまでバックアップといえば、「テープ」を利用するのが一般的であった。しかし、大容量のデータをバックアップするには「バックアップやリストアに時間がかかる」「テープの管理が煩雑」という課題がある。高速・大容量のハードディスクをバックアップ先にしたいという企業のニーズに「HDL-GTR2U」シリーズは応える。

 「HDL-GTR2U」シリーズは、Active Directory対応で、導入時のアクセス制限の設定はもちろん、ユーザー・グループごとに最大使用容量が設定できる。一部のユーザーによるハードディスクの使いすぎを未然に防ぐなど、管理者負担を軽減する機能が搭載されている。また、保存されている情報も「RAID」により安全に管理することが可能だ。ハードディスクのボリューム全体をハードウェアによって暗号化し、盗難や紛失といった情報漏えいの可能性を大幅に低減する。

 また「ハードディスクドライブや電源やファンといったパーツの交換も簡単に外部から行える設計なので、取り扱いやすい製品だとシステムインテグレーター様から好評をいただいております」(北川氏)とのことだ。

■低コストでシンクライアント環境 高いセキュリティを実現する「NonCopy」

 アイ・オー・データ機器では、「HDL-GTR2U」シリーズを皮切りに、法人市場に対して積極的な提案をしていく構えだ。より多くの企業の課題を解決するために、製品だけではなくソリューションとしての提案も行っていく。「ソフトウェアベンダー様やシステムインテグレーター様と協業し、情報漏えい対策ファイルサーバー“HDLM-G500NC”のようなソリューションも拡充していく予定です」(北川氏)。

 「HDLM-G500NC」は、ファイルの持ち出しを禁止するソリューション「Driverware NonCopy」(以下、NonCopy)をバンドル、クライアントPCにNonCopyをインストールするだけで、ファイルのコピー、持ち出し、印刷などを一切禁止、ファイルの自動暗号化・復号化する。そのため、シンクライアントとほぼ同等のセキュリティ環境が低コストで実現でき、強固な情報漏えい対策が行える。

 高い技術力を有し、法人市場に対してアプローチをかけ始めたアイ・オー・データ機器。コンシューマ市場の支持を追い風に、今後も積極的な展開を続ける。

アイ・オー・データ機器=http://www.iodata.jp/

(週刊BCN 2008年2月25日号掲載)
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