Special Issue

<NEC事例特集> 平和情報センター 「WebSAM」との連携で付加価値を高める 運用を含めたソリューション提案を実現

2008/03/18 15:49

週刊BCN 2008年03月17日vol.1227掲載

 情報検索・日本語処理に特化したソフトウェア開発部門を持ち「形態素解析技術」を核とした検索パッケージを手がけてきた平和情報センター。同社のノウハウはデータベースの検索エンジン「Text Navigator」に投入されている。今回、NECの統合運用管理ソフトウェア「WebSAM」と連携することで「Text Navigator」をさらに利便性の高いソリューションとして提供できるようになり、より広範な市場に対してアプローチできる足がかりとなった。

(右から)
NEC
第一システムソフトウェア事業部
(マーケティング・販促グループ)
シニアマネージャー
藤田 朋生


平和情報センター
取締役 事業本部長
齊藤 弘


平和情報センター
事業本部 プロダクト営業部 部長
保田 明夫


平和情報センター
事業本部 プロダクト営業部 担当部長
鈴木 芳則


平和情報センター
事業本部 プロダクト営業部 マネージャ
安部 一


■日本語形態素解析を核に高速検索エンジンを提供

 平和情報センターは、1971年に生命保険会社の電算部門から独立し事業を開始した。設立当時から情報検索・日本語処理に特化したソフトウェア開発部門を持ち、日本語自然文の解析手法の1つ、「形態素解析技術」を製品化した「Happiness」を核に検索パッケージを手がけてきた。90年はその「Bride/Happiness」が「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー '90」を受賞しており、技術力に加え、蓄積してきたノウハウが高く評価された。

 数千万件のデータの中から瞬時に検索し、データベースの高速検索を実現するサイドエンジンとして活用されているText NavigatorにもHappinessが内蔵されており、形態素解析技術のノウハウが余すことなく投入されている。またText Navigatorは、検索対象を単語単位ではなく一定の文字単位で分解するNグラム方式も採用している。「形態素解析方式とNグラム方式の併用によって、ノイズも漏れも少ない検索を実現しています」と、平和情報センター事業本部・プロダクト営業部の安部一マネージャは語る。また、サーチクラスタ(検索情報ファイル)のリアルタイム更新やクラスタに格納されている情報をもとにキーワードの一覧を表示し、検索支援や文書情報の傾向分析などに利用できる「用語通覧」機能も装備している。

photo  「当社は日本で初めて商業データベースを立ち上げた会社としても知られています。また、NEC様とのお付き合いは古く、文教市場向けのパッケージ“E-Cats”などに“Text Navigator”をエンジンとして供給してきました」と、平和情報センター事業本部・プロダクト営業部の鈴木芳則担当部長は語る。 「E-Cats」は、図書館システムとして知られ、国立大学をはじめとして全国の図書館に導入実績のあるソリューションで、Text Navigatorのエンジンを約170の図書館に供給している。

 図書館は多くの図書データを持っており、検索システムなどが多用されている。通常のデータベースであれば、データ数に比例して検索時間が増大してしまうが、Text Navigatorを活用すれば、精度の高い検索結果が瞬時に出る。図書館システムの重要部分を担うエンジンとしては、最適といえよう。平和情報センターは、NECをはじめとして多くの企業にText Navigatorを供給。放送局や新聞といったメディア向けのライブラリ管理や官公庁の文書管理などで活用されている。さらに、エンジン供給だけではなく、独自のソリューションとして販売機会の拡大を狙い、自社ブランドとしての提供も推進している。「“Text Navigator”は、非常に優れたエンジンだと自負しております。しかしあくまでミドルウェアなので、お客様が運用を開始する前に、周辺のシステム開発などが必要です。その部分の品質の向上と作業工数の削減が課題となりました」と、平和情報センター事業本部・プロダクト営業部の保田明夫部長は語る。

■運用を支えるWebSAMに注目

 そこでNECの統合運用管理ソフトウェア「WebSAM」に白羽の矢が立った。

 統合管理製品「WebSAM System Navigator」を使えばText Navigatorが稼働しているサーバの監視を行い、安定稼働を実現するほか、システム障害時にはナレッジを活用し、サポート工数を大幅に削減できる。また、ジョブ管理製品「WebSAM JobCenter」を使えば、テンプレート活用で初期導入コストを低減でき、差分データの反映やバックアップ処理を運用スケジュールに合わせて自動化し、作業の効率化が実現できる。さらに、WebSAMだけでなく、情報管理ソフトウェア「InfoFrame DataCoordinator」と連携することで、各種データベースの情報をText Navigatorにプログラムレスでリアルタイムに反映させることも可能だ。つまり、平和情報センターにとっては開発工数やサポート工数を大幅に削減することになり、導入企業にとっては信頼性を高め、運用コストが削減できる。双方にメリットのある連携といえるだろう。「“Text Navigator”も“WebSAM”もマルチプラットフォームなので、対応プラットフォームも合致しています。連携することで付加価値を高め、お客様の運用形態により組み合わせて提供できると考えています」と、第一システムソフトウェア事業部(マーケティング・販促グループ)の藤田朋生シニアマネージャーは語る。

 また、内部統制やセキュリティなどで、膨大化するデータ・文書を適切に管理するためのソリューションとして、高品位な検索を瞬時に行うText Navigatorに対する期待は大きい。特に、証跡情報を始めとする蓄積されたログを活用するためには必要不可欠な機能となるため、今後、需要の拡大が十分見込めるといえよう。より多くの業種・業態に展開する上でNECとの連携は、重要なカギを握っている。

 「当社の扱っているソフトウェアは汎用ソフトウェアなので、さまざまな分野で活躍できると考えております。NEC様との協業で、運用面の弱点も克服でき、これまで展開しきれていなかった市場にもアプローチできるようになりました。有意義なアライアンスと考えており、期待しています」(取締役・事業本部長の齊藤弘氏)とのことだ。

 非常にエッジの効いたコアエンジンの運用面を支える今回の協業は、市場にとっても大きな影響力を示している。新しいビジネスチャンスを創出する両社の展開に注目したい。
(週刊BCN 2008年3月17日号掲載)

NEC=http://www.nec.co.jp/WebSAM/
平和情報センター=http://www.hic.co.jp/
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