Special Issue

<ストレージ特集>“情報爆発”を生き抜くストレージの重要性

2008/05/05 19:56

週刊BCN 2008年05月05日vol.1234掲載

【column】新たなトレンドとして
Windows Storage Server採用のNAS製品が増加

導入コストはもちろん、管理・運用課題に応える

 内部統制や災害対策、事業継続などの観点から、重要なデータをバックアップし、必要に応じてリストアしたいというニーズが高まっている。こういった用途には、これまでテープが活用されてきたが、時間がかかる上、テープの管理が煩雑という課題があり、ディスクベースでのソリューションが求められ始めている。しかしテープは、コストパフォーマンスが高いため、他のメディアに乗り換えにくい。

そこで、時間を短縮し、管理しやすく、コストはテープ並という「Disk to Disk to Tape(D2D2T)」ソリューションが登場した。しかし、D2D2Tにも課題はある。これを導入すると、ディスクとテープという2種類のストレージが必要になり、システムが若干複雑になるばかりか、管理工数を増加させることになる。こういったことから、安価で、管理・運用が容易なNASが注目されるようになった。

WindowsベースのNASに注目

 NASは、中堅・中小規模企業を中心に、非常に伸長しているソリューションの1つだ。導入・運用コストが安く、企業規模を問わずに導入できるため、多くの企業が活用している。

 そのNASも、最近は変化が見られるようになった。これまでNAS製品の多くは、バックアップやファイル共有などの用途に活用されており、OSの違いが注目されることはなかった。NAS製品は、ストレージベンダーが独自にカスタマイズしたLinuxを採用しているケースが多く流通していたからだ。

 しかし最近では、WindowsベースのNASが登場し、多くの実績を残し始めている。WindowsベースのNASと、LinuxベースのNASを比較すると、ディスクアクセスが集中した場合にパフォーマンスの低下が起こりにくいという特長がある。また、Windowsとの相性がいいため、設定ファイルをバックアップできるというメリットがある。LinuxベースのNASの中には、Windowsアップデートでのトラブルが起きるケースもまれにあるようだが、WindowsベースのNASであれば、Windows Serverをベースにしているため、そもそもそのような問題が発生する要因がない。

 現在流通しているWindowsベースのNASの多くは、Windows Storage Server 2003 R2を搭載している。これは、Windows Server 2003をベースとする専用のファイル兼プリントサーバーOSで、信頼性の向上やシームレスな統合を実現し、ネットワークに接続されたストレージを最大限活用できるよう設計されている。対応するネットワークプロトコルは多様で、WindowsやUNIX、Macintoshなどが混在する環境下でもファイルサーバーを利用できる。

 また、Active Directoryと連携し、ユーザー管理ができるため、管理・運用工数を低減させるストレージといえるだろう。

 独自カスタマイズされたLinuxベースのNASと異なり、さまざまなストレージ製品やストレージ管理ユーティリティを利用できるという点も見逃せない。つまり、Windowsでシステムを構築している企業にとっては、ストレージベンダーが独自にカスタマイズしたLinuxベースのNASを活用するよりも、WindowsベースのNASのほうが導入・運用のメリットが大きいということになる。

 実際に、WindowsベースのNAS製品とソフトウェアなどを組み合わせ、ソリューションとして提供しているベンダーもある。バックアップやセキュリティのように、ユーザーの声に応えたソリューションであれば、導入のメリットが明確で、新しい付加価値として利用されるはずだ。NASに軸足を置いた新しい提案が可能となり、ビジネスチャンスとなっている。つまりWindowsは、サーバーやクライアントだけでなく、NASなどのストレージにおいても、注目される存在となりつつあるのだ。