企業には、業務効率や生産性の向上を目的とした多くのITシステムが導入・運用されている。本社や拠点間をネットワークで接続し、そのなかで基幹アプリケーションや業務アプリケーションなど、複数のアプリケーションが稼働しているというケースも少なくない。また、企業内のみならず、電子データ交換(EDI:Electronic Data Interchange)システムや電子商取引(EC:Electronic Commerce)など、外部機関とのネットワーク構築も増え、ネットワークの適用範囲は増加の一途をたどっている。

多様化するニーズに応えるソリューションが次々登場

多くの組織がネットワークを構築
いまや情報システムの基盤に


 2008年4月17日、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は「2007年 国内における情報セキュリティ事象被害状況調査」を公表した。調査内容にあるLANやWANなどのネットワークの構築状況をみると、(1)事業所内ネットワークのみ構築=23.7%、(2)機関内の事業所間ネットワーク内まで構築=60.4%、(3)外部の機関とのネットワークまで構築=13.4%と、ほぼすべての企業や自治体が何らかの情報ネットワークを構築していることが明確になっている。さらに企業と自治体を比較した場合、自治体のほうが広範囲のネットワークを構築している傾向が強いことがわかる。

 情報システムの基盤としてネットワークが普及する一方、肥大化し続けるITシステムの管理・運用コストが企業の課題となっている。ITシステムはネットワークで接続されているものの、個別に最適化が図られ、システム間の連携などはあまり進んでこなかった。サービス指向アーキテクチャ(SOA:Service Oriented Architecture)やサーバー統合などが注目されているのも、このような理由からだろう。

 また、企業のシステムを統合して一元的に管理することで、管理・運用コストの低減を実現しようとする企業が増えているようだ。企業内システムを集約して一元管理することは、管理・運用コストの削減だけではなく、グリーンITやセキュリティという側面からもメリットが多い。システムを集約していくことでリソースが効率的に利用でき、無駄な消費電力を抑えることにもつながる。

 さらに、仮想化技術を活用し、集約の効果をさらに高めようとする動きも活発化している。

トレンドはシステムの集約
セキュリティも課題に


 システムを分散設置すると、おのずとセキュリティリスクも増加する。しかし、これらを一元的に管理できれば、セキュリティ上の脅威を低減できる。特にネットワークは企業システムの基盤となるだけに、セキュリティへの対応が急務となっている。

 前述したIPAの調査によれば、ネットワークサーバーにウイルス対策ソフトを導入している組織は9割超。しかし、スパイウェア対策やスパムメール対策を導入している組織は5割にとどまっている。ネットワークの脅威は、ウイルスだけではない。スパムメールを媒介し、ウイルスやスパイウェアに感染させるWebサイトに誘導するなど、「複合化」する傾向が強くなっている。スパムメールは、ウイルスやスパイウェア感染の入り口となっているほか、フィッシング詐欺への引き込み口として利用される例もあり危険きわまりない。そこで注目されているのが、セキュリティアプライアンスによるスパムメール対策だ。アプライアンス製品であれば、導入・運用しやすく、TCOの削減にも寄与する。

 だが、パフォーマンスが低いアプライアンス製品の場合、それ自体がボトルネックとなり、企業システム全体までその影響が波及するケースがあるので注意したい。現在、市場で注目されているスパムメール対策ソリューションのなかには、パフォーマンスが高く、何階層にもおよぶフィルタリングを実施する製品もある。このように、多層におよぶフィルタリングを実施することで、巧妙化し続けるスパムメールに対しても的確に処理できるだけでなく、メールサーバーのパフォーマンスを確保することもできる。ライセンス費用についても便宜が図られ、ユーザーごとではなく、ハードウェアごとに設定されているものもあり、導入コストという面でも敷居は低くなっている。

 今や企業にとって、スパムメール対策は避けられない課題である。アプライアンス製品は、ユーザー企業のみならずパートナー企業も扱いやすいため、これからも市場を広げていくことは間違いない。

トラフィックが急激に増加
今後を見据えた対策が重要に


 業務の情報化が進むにつれ、ネットワークを流通するコンテンツが増加している。また、コンテンツ自体のリッチ化が進み、テキストに加えて画像・映像などのデータが増加し、ユーザーあたりのトラフィックは増大する一方だ。このように、ネットワークのトラフィックは増加傾向にあるものの、スループットを段階的に拡張できるネットワーク製品は少なく、必要に応じてハードウェアごとリプレースしているのが実情だ。そのたびにアプリケーションとの検証を実施しなければならず、導入企業のみならずSIerにとっても負荷は大きい。

 しかし最近では、スループットをオンデマンドに拡張できるスケーラビリティの高いソリューションが登場し始めている。これであれば、スモールスタートし、必要に応じた拡張が可能だ。従来必須だったアプリケーションとの検証なども一切不要で、一度導入したら、長期間にわたって活用できるソリューションとなる。

 また、同一プラットフォームで、中堅・中小規模企業から大規模企業まで、幅広い顧客に対して訴求できるというメリットもある。対象を選ばないという意味でも、パートナー企業にとっては扱いやすいだろう。

 ネットワークが企業の情報システムの基盤となっていることは、周知の事実だ。いまや、ネットワークを抜きにして情報システムは語れない。企業の生命線といっても過言ではないだろう。この生命線をいかに活用し、防衛するかは、企業にとっての大きな課題になるだろう。

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