Special Issue

<ネットワーク特集>「セキュリティ」「グリーンIT」などのキーワードに応える

2008/07/21 19:56

週刊BCN 2008年07月21日vol.1244掲載

 企業システムにおいて、ネットワークは生命線となっている。最近では、業務アプリケーションのWeb化やSaaSといった潮流から、ネットワークを通じてアプリケーションがクライアントPCに配信されるケースも増えている。ハードウェア資産/ソフトウェア資産/データ資産などのコンピュータ資源などは、それがどこにあるかを意識しなくても必要なサービスを受けることができる環境も整いつつある。今後さらに重要度が増すネットワークは、便利な反面、多くの課題を内包している。

ネットワークは企業の「生命線」に

企業システムのWeb化・SaaS化に対応

 システム間をつなぐネットワークは、重要なインフラとして認知され、「なくてはならないもの」と認識されつつある。現在、業種・業態、企業規模を問わず、ほとんどの企業はネットワークを活用し、ビジネスを行っている。事実、ネットワークでは、企業活動のすべてがやり取りされている。勤怠情報や売り上げデータといった企業システムはもちろん、電子メールやIP電話などにより、ビジネスコミュニケーションなどもネットワーク上で行われるようになりつつある。

 ネットワークを活用した情報システムは、多岐にわたっている。さまざまなサーバーでサービスが提供されるようになり、そのトランザクションを適切に管理したいというニーズが顕著になっている。また、業務アプリケーションのWeb化・SaaS化が進んでおり、アプリケーション配信の安全性・高速性が求められている。その中で注目されているのが、ロードバランサーだ。ロードバランサーは、外部ネットワークからの要求を一元的に管理し、それらの要求を複数のサーバーに分散して送信することでアクセスの集中を防ぐ。高速性と安全性を両立するソリューションとして、導入が進んでいるのだ。ロードバランサーは、スループットごとに製品が提供されるケースが多く、ビジネスの拡大にともなってロードバランサー自体をリプレースしなければならなかった。ビジネスの高速性・安定性を担っている部分なだけに、リプレース時には十分な検証を行う必要があり、コスト増につながっていた。もちろん、最初から余裕をみてロードバランサーを導入しておけばいいのだが、それも導入コストが課題となり、踏み出せる企業は多くない。そこで新しいプラットフォームが注目されている。これは、数百Mbps(メガビット/秒)から数Gbps(ギガビット/秒)までの必要なスループットを提供するというものだ。ユーザーは、現在必要なスループットだけを利用し、システムの拡張に併せてそれを増強できる。同一のハードウェア/ソフトウェアを利用しているため、検証などは一切不要だ。

ネットワークセキュリティも十分な配慮が不可欠

 クライアントPCやサーバーをはじめとするIT機器がネットワークに接続されたことで、業務の効率化が達成され、生産性が大幅に向上した。その一方で、メインフレームをメインとして活用していた時代とは異なり、情報にアクセスする手段が増え、リスクが増大している現状も無視できない。

 MSブラスターなどのウイルスに感染したPCがネットワークに接続されたために、企業システム全体がダウンしたという苦い経験を積んだ企業も少なくない。韓国などでは、国中のシステムに影響を及ぼし、大きな被害をもたらしたこともある。そのような脅威から企業システムを守るために「検疫」などのセキュリティソリューションが登場している。「検疫」は、企業の管理下にない持ち込みPCやセキュリティレベルの低いPCを社内ネットワークに接続させないソリューションだ。社内ネットワークをクリーンにしておきたいというニーズに応えるソリューションと言い換えることもできるだろう。しかし、これまでの「検疫」は、大企業を中心に導入が進んでおり、中堅・中小企業には、さほど浸透してこなかった。その要因は、導入・運用コストにある。「検疫」を導入するためには、ネットワークや企業システムを構築し直さなければならず、コスト増となってしまっていたのである。さらに、検疫に対応したスイッチなども上位機種だけの提供にとどまり、中小企業は導入したくてもできなかったというのが正直なところだろう。

 最近では、エンドポイントセキュリティを訴求し、水際での「検疫」を可能とする製品・ソリューションも登場し始めている。5万円程度で提供されるコンパクトスイッチでも「検疫」機能に対応する製品まで投入され、市場でも注目を集め始めている。

今後のニーズは「グリーンIT」

クリックで拡大 グリーンITという切り口も、ネットワーク機器では重要なキーワードとなる。経済産業省によると、2025年のネットワーク機器の消費電力は、06年比で13倍の1033億kWhになると試算している。これは、本格的な情報化社会の到来にともなって増加したIT機器によるものだ。しかし、省エネが求められる昨今、増え続ける消費電力を抑えようという動きがでている。実際、東京都では、大規模事業所からの二酸化炭素の排出量の削減目標を義務づける「環境確保条例」の改正を可決している。エコロジーに配慮しなければ、ビジネス展開が難しくなり、利益が出しにくい構造となる。実際に、ネットワーク機器に省電力化の基準を設けようという動きも活発化している。「省エネルギー法」で消費電力の基準を設ける「トップランナー基準」に、ルーターやスイッチが加えられるようだ。ネットワーク機器は、いつでも十分に稼働できるよう常にレディ状態となっている。待機時でも、かなりの電力を消費しているのだ。しかし、ポートへのリンク状態を調べ、利用していないときにはネットワークポートへの給電を止めるスイッチも登場し始めた。さらに、ケーブル長を調べて適切な給電を行うことで、最大80%もの省エネを実現する製品もある。ネットワーク機器ベンダーの努力により、ネットワーク機器自体の省エネも実現し始めている。これらの機器にリプレースするだけでも節電効果があるため、導入の障壁も非常に低い。

 ネットワークは、「信頼性」「可用性」のほかにも、「セキュリティ」「グリーンIT」といったさまざまな課題に応え始めている。中堅・中小企業まですそ野を広げるソリューションも増加しており、ネットワークソリューションは、新たな局面に入った。今後、企業を取り巻くさまざまなキーワードが出現するが、それらの基盤を成すネットワークが果たす役割は非常に大きい。

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