Special Issue

<ストレージ/バックアップ/リストア特集>テープからディスクベースへの移行が進む

2008/07/24 19:56

週刊BCN 2008年07月21日vol.1244掲載

ワイ・ディ・シー
コストメリットと運用性で現実解を提供
オラクルDBの災害対策、リストアに威力

RTO、RPOを実現するデータ保護対策「Standby Express」

 災害時やシステム障害時に際しての事業継続は企業に課せられた大きな課題だが、ハードウェアの二重化やテープバックアップなど従来のデータ保護対策が最適解となっていない場合も多い。実際、クラスタ構成でサーバを冗長化していても、RAIDコントローラに障害が発生するとバックアップに支障をきたす。一方、テープの場合も、夜間にバッチでフルデータをバックアップするケースが多いため、いったん本番システムがダウンすると、何時間もかけて復旧しなければならず、その間システムは停止したままだ。

 ワイ・ディ・シーのDBソリューションセンタ・岸本穣センタ長は、「事業継続性において復旧するまでに必要な時間『RTO(Recovery Time Objective:復旧時間目標)』や、データをどの時点までさかのぼって復旧するかの『RPO(Recovery Point Objective:復旧時点目標)』が重要です。災害対策ソリューションの『Standby Express(スタンバイ・エクスプレス)』は、本番システムのアーカイブログを定期自動実行、監視ジョブでスタンバイ・データベースに適用する仕組みなので、万一のデータロスを最小化でき、RTO、RPOが短くなります」とメリットを語る。

 また、災害対策では遠隔地にデータをバックアップするDR(ディザスタリカバリ)も重要になるが、テープでバックアップを取っている企業では、遠隔地にデータを運送する際に紛失や破損の心配がある。しかし、Standby Expressでは、スタンバイ・データベースを遠隔地に配置し、データを定期的にバックアップすることができるため、負荷をかけず、安心、確実に災害対策が実現できる。「かつてDRのソリューションは数千万円するものもありました。Standby Expressは、導入・構築まで含めて168万円で提供しています。この圧倒的なコストメリットも大きなポイントです」。約3年前にリリースされた同ソリューションは、災害対策の関心が高まったここ1年で急激に実績を伸ばし、製造業や流通まで業種、規模を問わず63システムが稼動しているという。

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仮想化技術を活用 来年は年間50本を目標

 Standby Expressはオラクルのデータベースに対応しているため、Oracle Standard Editionや同 Oneを利用する企業がメインターゲットとなっている。「Oracle Enterprise Editionは、DR対策として標準機能『データガード』を装備しています。しかしOracle Standard Editionや同 Oneを利用している企業にも、DR対策というニーズがあります。Standby Expressは、Oracle8.1以上で動作します。導入する企業はもちろん、SIerにとって差別化できるソリューションとなります」。

 Standby Expressは、災害対策以外にも、通常のバックアップとして利用されるケースも多い。テープによるリストアは、担当者の経験不足などで保存に失敗するケースもあり、運用上のトラブルを抱えている企業が少なくない。そうした運用の不安を解消する対策として、Standby Expressは有効だ。また、最近はVMwareなどの仮想化技術を活用し、各拠点の異機種OSで稼動しているヘテロジニアスなデータベースの統合にも利用される機会が増えている。

 「今後はWebなどで認知度を高めるとともに、パートナーとWin―Winの関係が築けるよう努力していきます。OEM提供を含め、来年は年間50本を目指します」と、岸本センタ長。圧倒的なコストメリットと運用性に優れたStandby Expressの活躍に期待が高まる。


ワイ・ディ・シー=http://www.ydc.co.jp/

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