内部統制の強化や事業継続といった観点から、社内に分散しているシステムを集約し、システム統合を進める企業が増えている。アプリケーションサーバーやファイルサーバーといったサーバー統合は、いまやトレンドとなりつつあるのだ。こうした市場状況の中で注目を集めているストレージが、NAS(Network Attached Storage)である。

NAS市場のトレンドとなる Windows Storage Server

データ量の爆発的な増大
大容量のストレージは必須に


 企業が扱うデータ量は、日々飛躍的に増大している。これは、ERPやCRMといった基幹システムが導入された結果だ。基幹システムは、業務効率や生産性の向上を目的に導入され、日々のビジネス活動をデータとして記録・活用し続けている。それらのデータは、会計や業務といった目的で使う以外にも、新規ビジネスの機会を探るビジネスインテリジェンスやデータマイニングなどで活用され、企業戦略を立てる上で不可欠となっている。基幹システム以外の各種業務やビジネス上のコミュニケーションにおいても、これらのデータは貴重な資料として扱われている。つまり、企業に蓄積されているデータそのものが、重要な資産となり始めているのだ。

 電子メールや映像、オーディオ、画像など大容量の非構造化データやデジタルコンテンツが増加する一方で、画像や映像などのデジタル情報は技術の進化とともに高解像度化し、より詳細な情報を取得できるようになった。こうした背景から、データは肥大化の一途をたどっている。この流れは加速することはあっても、止めることはできないだろう。そうなると、これらのデータを安全に保存する大容量のストレージが必須になる。

ユーザーの課題に応える
NASの登場


 企業では、管理・運用工数とコスト削減が重要な課題となっている。そのようなニーズに的確に応える製品・ソリューションも数多く登場し始めており、ストレージ市場はこれまでになく活気を帯びている。

 そこで注目されているのが、高性能で大容量なNASだ。NASは、TCP/IPネットワークに直接接続できるストレージで、ファイルサーバー専用機として活用されている。既存ネットワークを利用できるため、比較的安価に導入できる上、運用も容易だ。

 従来NASは、「ファイルを共有できるアプライアンス」ということが求められており、その中身は「ブラックボックス」でもよかった。しかし、数多くのNASが導入されてくると、NASの管理・運用工数が膨大なものとなり始めた。「ブラックボックス」では、管理・運用しきれなくなってきたのだ。

 その状態にいち早く着目したのが、アイ・オー・データ機器やロジテックといった周辺機器ベンダーだ。ユーザーの声に応える製品を追求した結果、WindowsベースのNAS製品の開発に至ったのである。WindowsベースのNASでも、「ファイルの共有」を行うことには変わりない。こうした機能は、既存のNASと同等と言える。しかし、管理運用性や細かいニーズに応えることができるという点で、大きな差が生じた。Linuxベースの場合、どうしても個別に設定する必要がある。しかしWindowsベースのNASであれば、Active Directoryと連携し、ユーザー管理を容易に実現できる。また、一部のNAS製品で問題視されていたWindowsの設定ファイルのバックアップができないといった課題も、難なくクリアする。Linuxを採用しているNASでは、Windows Updateで問題が起きるという障害もまれにあるようだが、そもそも同じWindowsというテクノロジーを採用している製品同士であるため、相性での問題が生じることはない。

 現在流通しているWindowsベースのNASの多くは、Windows Storage Server 2003 R2を搭載している。これは、Windows Server 2003をベースとする専用のファイル兼プリントサーバーOSで、信頼性の向上やシームレスな統合を実現し、ネットワークに接続されたストレージを最大限活用できるように設計されている。対応するネットワークプロトコルは多様で、WindowsやUNIX、Macintoshなどが混在する環境下でもファイルサーバーを利用できる。Windows Server 2003をファイルサーバーとして利用する場合と異なり、クライアント・アクセス・ライセンス(CAL)が必要ない。利用ユーザー数が増えてもCALを追加購入する必要がなく、ファイルサーバーの運用費用も抑えられる。また、ソフトウェアベンダーが提供している各種ソリューションを導入できるのも大きな特長と言えるだろう。「Backup Exec System Recovery」(シマンテック)などに代表されるバックアップソリューションや、「TREND MICRO ウイルスバスター ビジネスセキュリティ」などのセキュリティソリューションなどと組み合わせて1つの筐体内で活用できるため、管理工数の低減と生産性の向上を実現するソリューションとして利用されることもある。

事業継続にも
NASが利用される


 NASは、これまで企業の情報共有を進めて業務効率を向上させるという目的で導入・運用されてきた。しかし最近では、セキュリティや事業継続といった観点から導入するケースが増えている。バックアップや災害対策といったソリューションも拡充され、ストレージに対して信頼性の高さを求める企業が増えている。

 「個人情報保護法」や「金融商品取引法」「会社法」などの各種法令の施行により、企業は情報漏えい対策や内部統制の強化が急務となっている。そのため、データの保存先であるストレージは、データを「正しく」保存し、「適切に」管理する必要がある。この部分での信頼性が揺らいでしまうと、そのデータを活用するあらゆる企業システムの信憑性を疑わなければならない。そのような状況下で業務を継続して行うことなど、到底不可能だ。

 もちろん、最終的なデータを保存するという目的では「テープ」の人気が根強い。「テープ」は、長期保存に向き、多数の実績がある。一度しか書き込むことができない「ライトワンス」のテープなども登場し、ユーザーニーズに応えながら時代に合った製品を出している。しかし、テープはバックアップ/リストアに時間がかかってしまうというデメリットがある。その間システムは停止し、業務もストップしてしまう。企業の情報が詰まったテープの管理も課題となっている。「テープ」が万が一漏えいした場合、その損害はあまりにも大きい。データの破損が起きないよう、運搬中の振動対策やホコリ・傷といった対策にも気を遣う。

 この課題を解決するため、より運用・管理が容易なディスクベースでのソリューションが求められている。その用途に最適なソリューションとして選ばれているのがNASなのだ。