大きな潜在需要が眠ると言われるSMB(中堅・中小企業)市場。ITベンダーによってSMBの括り方は異なるが、SMBに特化した製品・サービスの開発や販売戦略の立案が目立つ。SMB市場の今後はどんな道をたどるのか。市場規模予測、中小企業ユーザーの声などをもとにその展望を探った。

中小企業、投資に意欲的

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全体を上回る成長率のSMB ユーザーもIT投資に意欲的

 調査会社のIDC Japanのレポートによると、2007年の国内SMB向けIT市場規模は、前年比4.8%増の3兆8341億円。情報システムの刷新やコンプライアンス(法令遵守)対応のためIT投資が堅調に推移したと同社は分析する。また、今年7月には2012年までの企業の従業員数別で分けたIT投資額の年平均成長率予測数値データを公表した(図1参照)。このレポートによると、従業員1000人未満のIT投資額が高い伸びを示す可能性が高いことが分かる。

 世界第2位のITマーケットである日本は、中小企業が多く、また、それらのITリテラシーが低いといわれる。母数が大きいうえにIT投資が足りないのが実状なのだ。それゆえに、強い潜在需要をITベンダーは見込み、SMB市場に対して関心を示している。

クリックで拡大 では、中小企業ユーザーのITに対する関心度合いはどうか。SMBマーケットに特化した調査会社ノークリサーチでは、年商500億円未満の企業を対象に、IT関連情報に対する意識調査を実施している。そのなかで、約50%は自社の経営改善または業務負担軽減のために、最新のIT情報を収集していることがわかった(図2参照)。同社では、「IT関連の最新トピックは大企業を対象としたものが多い。にもかかわらず、積極的に情報を集めている」と分析。中小企業もITに対してかなり前向きな態度を示しているのだ。

SaaS型サービスに注目 経産省もSaaSでアプローチ

 SMBからの需要が強まる分野として、今後期待されているのがSaaSだ。SaaSは、システムを開発して自社で保有するのに比べて、初期投資が少なく手軽に始められるメリットがある。運用・メンテナンスする必要もない。それだけに、投資額が大手企業より少なく、システム管理者もいないケースが多い中小企業には適している。事実、SaaS型サービスを手がけるITベンダーは、SMBをメインターゲットにしたPRプランやチャネル構築を重視している。

 SaaSが中小企業に適していると裏付けられる理由として、政府の動きがある。経済産業省は、従業員20人未満の中小企業のIT化を促進させるための方策として、SaaSを選んだ。同省が陣頭指揮を執って、業務ソフトを動かすための基盤を開発・運用し中小企業に安価に提供しようとするプロジェクトが今年度からスタートしている。同省が中小企業のIT化のためにSaaSを強く推進していることが分かる。従来、パッケージとして大企業に導入が進んだソフトが、今後SaaSという形態に置き換わって普及する可能性があるわけだ。

 08年に入り、景気の不透明感からIT投資にも陰りが見え始めたなかでも、SMBは今後の成長が見込める。有望市場の開拓に向けてITベンダーの動きが活発化するのは必至だ。


SMB開拓の隠れた武器
ストレージが市場を広げる可能性も

 企業内のデータが日を追うごとに増え続けているなか、ITベンダーにとってストレージ機器がSMB向け事業を拡大させる柱の一つに浮上しつつある。ストレージが新規顧客開拓の武器になるのだ。

 これまでSMBがストレージを購入するケースは少なかったものの、ここにきてデータ管理に対する意識が強まっており、ストレージへの投資意欲が高まっている。調査会社のIDC Japanでサーバーやストレージなどの市場分析を担当する森山正秋・リサーチ第1ユニットグループディレクターは、「現段階では、国内ストレージ市場でSMBが占める割合は10%にも達していない」としている。実際、国内SMB向け外付型ディスクストレージシステムの売上規模は2007年に152億円だったが、大企業を含めた全体では2238億円で、SMB向けの比率は6.8%にすぎない。しかし、市場の伸び率をみると、全体では前年比1.1%増だったのに対し、SMB市場は同14.3%増の伸びを示した。市場の拡大にSMBが少なからず寄与しているわけだ。森山ディレクターは、「今後も確実に伸びるだろう」と分析。同社では、SMB市場の伸び率として2012年まで年平均4.8%増で推移するとみている(図3参照)。

 これまでSMBのストレージ機器の購入が低調だったのは、「データの蓄積対象はサーバーだけで十分」と考えていたからだ。しかし、最近ではJ-SOX法の適用で上場企業がデータ管理を徹底させているなか、取引先にも同程度のデータ管理を強いる環境となっている。こうした状況下にあって、SMB市場でのストレージ需要が増大するのは間違いなさそうだ。

 ベンダーにとっては、これまでサーバーとのセット販売が主流といわれていたストレージの販売モデルだけでなく、逆にストレージを中心としたシステム提案が案件獲得のカギを握ることになる。


二次店向けパートナープログラムを始動

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