Special Issue

<Windows Server特集>関心は前版以上の新サーバーOS

2008/10/28 19:56

週刊BCN 2008年10月27日vol.1257掲載

オラクル
オラクルDBは企業規模を問わない
安価で使いやすく中小にも最適

 世界のデータベース(DB)市場でトップシェアのオラクル。最有力製品で大企業での導入実績が多いことから、「オラクルのDBは高価、導入・運用も複雑」という先入観にとらわれるユーザー企業・団体やSIer・ソフト開発会社が多いかもしれない。しかし、オラクルは中小企業をターゲットにするITベンダーでもシステム構築の戦略的部品として十分活用できる商品に仕立てている。企業規模に関係なく活用できるオラクル製DBの価値を、改めて解説する。

世界シェア半数を握る実力 オラクルDBは複雑・高価ではない

 米オラクルはDB開発約30年の老舗であり、世界市場でNo.1のメーカー。2007年は前年比14.9%増の成長を遂げ、米IT調査会社ガートナーの調べによれば、48.6%のシェアを握った。世界の優良大手企業への納入実績も多い。オラクルはERPやアプリケーション基盤ソフトなど、企業買収で複数ジャンルのソフトを製品ラインアップに持つようになり、今ではマイクロソフトに次ぐ世界第2位のソフトウェアカンパニーに成長した。

 ただ、その実績やソフト業界の地位からユーザー企業・団体はもちろん、DBに慣れていないソフト開発会社やSIerなどのITベンダーが「オラクル製品は大企業向けだろう。高価で、導入・運用が複雑なはず」とのイメージを抱くケースが多い。だが、藤原慎・製品戦略統括本部ミッドマーケットビジネス推進グループ部長は反論する。「オラクルの企業イメージが、中小企業ユーザーやITベンダーに対して高価とか、使いにくそうとの印象を与えているのは事実かもしれない。ただ、それは全くの誤解。価格と導入・運用の容易さの両面からみて、オラクル製品は他社に負けていない」と断言する。

導入・運用を簡素化 自動化で手間軽減

 では、具体的にはどうか。まず導入・運用面。インストールはPCにクライアント向けアプリケーションソフトを導入するのと同じくらいの容易さを追求。導入可能なサーバーOSは多種多様で、各UNIXやLinux、そしてWindowsに対応する。また、異なるOSへの環境移行に関しても、支援ツールを用意し、ITベンダーのSI案件構築をサポートする。

 運用面では、徹底的に自己管理機能つまり「システムの自動化にこだわっている」(藤原部長)。最新版「Oracle Database 11g」では、常にシステムのパフォーマンスを自動計測。パフォーマンス低下時の原因を特定して情報システム担当者に知らせたり、障害発生時に復旧方法をアドバイスしたりする機能を標準装備する。これにより、運用業務の大幅な効率化を図ることを可能にした。ユーザー企業はもちろんITベンダーにとってもその利用価値は大きい。運用業務を大幅削減できれば、顧客からの問い合わせ対応やサポート業務の効率化に貢献するからだ。

価格は9万円台から エディション変更も容易

 オラクル製DBに対して抱く誤解としてもっとも多いのが「高価」というイメージだろう。だが、最も安価なものであれば10万円を切る低価格で購入することができる。

 「Oracle Database」には、3種類のエディション(タイトル)がある。最上位版の「Oracle Database Enterprise Edition」中規模システム向けの「同 Standard Edition」小規模システムに適した「同 Standard Edition One(SE One)」。オラクルのソフトライセンス体系は、ほかのソフトメーカーに比べてシンプルで、導入するハードのCPU数か、実際に使用するユーザー数で決まる。10万円を切る価格で購入できるのは「SE One」で1ユーザー1万9600円。最小ユーザー数を5ユーザーに設定しているので、購入の最小税抜価格は9万8000円となる。24時間365日のサポートも含めても11万9560円で導入できるわけだ。3エディションともに高い互換性を備えるので、システムを増強する場合、「SE One」から「Standard Edition」にアップグレードするといった変更作業も容易だ。

注目の2大機能「クラスタ」と「BI」

 豊富な機能を搭載するなか、中規模から小規模システムに適した2大機能がある。1つは「Standard Edition」で標準装備する「Oracle Real Application Clusters for Standard Edition(SE RAC)」。もう1つが「SE One」とのセットで機能する有償ツール「Oracle Business Intelligence Standard Edition One(BI SE One)」だ。

 DBは、システムを二重化しクラスタシステムを組むのが一般的。ただ、通常のクラスタでは1台が稼働し、もう一方はスタンバイ状態になり、システムリソースが無駄になってしまう。「SE RAC」では、2台のサーバーを常に稼働状態で分散処理するので、システムリソースの有効活用が可能になる。この機能を「Standard Edition」では標準装備している。

 一方、「BI SE One」は「SE One」向けのBIツール。データ分析やレポーティングなどBIに必要な機能をすべて実装し、DBなど必要なソフトも含んで最小価格65万2000円から提供する。「SE RAC」とは異なり、有償ではあるが、「BIシステムをこの価格で提供できるのはオラクルしかない」(藤原部長)。ITベンダーにとっては、まだBIを導入していないケースが多い中小企業に対しての格好の提案材料になる。

 藤原部長はこう話す。「ユーザーやベンダーに対し、誤解を与えてしまっている部分を地道に解消する。何か気になることや相談したいことがあれば、専用窓口「オラクルダイレクト(電話およびWebでの無償相談窓口)」に相談して欲しい」。オラクル製DBの利用ユーザーと提案ベンダー増加に向けて、柔軟な姿勢と万全の体制で臨むつもりだ。

Oracle Directフリーダイヤル:0120-155-096


 
 「情報基盤強化税制」という税制を知っているだろうか。経済産業省が主導するIT関連製品を購入したユーザー企業が税額控除を受けられる制度のことだ。同税制で定めた対象製品を2009年度までに一定価額以上購入すれば、7%の税額控除か、35%の特別償却が認められるのだ。税額控除を選んだ場合、簡単に言えば、ユーザー企業は7%引きで商品を購入するのと同じ効果が得られる“おいしい”仕組みだ。取得価額の下限は、企業の資本金で分け、1億円以下で70万円、1億円超10億円以下で3000万円、10億円超で1億円。中小企業でも十分活用できる。
 主な対象製品は、OS サーバー(ハード) データベース(DB) DBの機能を利用する業務アプリケーション ファイアウォール(FW)で、OSとDB、FWは情報セキュリティの国際標準規格「ISO/IEC15408」の認証取得が条件。オラクルの「Oracle Database 10g」は3エディションともに、この認証を取得している。つまり、全エディションが7%割引の対象になっているわけだ。税制と聞くと一見面倒で手間がかかりそうなイメージだが、ベンダーにもユーザーにとっても利用価値は大きい。「税制でも分からないことがあれば、何でも相談して欲しい」と藤原部長は話し、「オラクルダイレクト」の利用を訴えている。