Special Issue

<NAS特集>ストレージおよびストレージサービス市場が急拡大

2008/10/31 19:56

週刊BCN 2008年10月27日vol.1257掲載

アイ・オー・データ機器
セキュリティソフトのインストールも可能な新世代NAS「HDLM-GWIN」
「WindowsベースのNAS」という新たな市場を開拓

 オフィスで扱うデータが飛躍的に増加し、NASを求めるニーズも増大している。既存の環境に導入しやすく、セキュリティ対策も可能なWindowsベースのNASである「HDLM-GWIN」シリーズは、新たな市場を創出している。Windowsベースであるメリットを最大限に生かした「HDLM-GWIN」について見ていこう。

情報共有にNASが注目 しかし課題も

 生産性の向上を実現すべく、企業システムの情報化が進んでいる。規模の大小を問わず、企業はさらなるIT投資を進めており、業務のすべてはデジタルデータ化されつつある。さらに、この流れは社内業務にとどまらず、ビジネスコミュニケーション用途でもITが活躍している。ITを介してやりとりされる「情報」の重要性は、日々高まるばかりだ。この「情報」をいかにスムーズに交換・共有するかによって、生産性が大きく変化する。そこで注目されているのが、情報共有ツールとして運用・管理性が高く、導入コストを抑えることができるNAS(Network Attached Storage)だ。昨今の企業ニーズと合致し、市場は盛り上がりを見せている。しかし、課題もある。現在、市場で流通しているNASの多くは、OSにLinuxを採用し、各社ごとのカスタマイズを行っている。そのため、ユーザー管理などはそれぞれの製品ごとに個別に設定する必要がある。すでにWindows Server環境で「Active Directory」などのディレクトリサービスシステムを導入し、ユーザーやクライアントPCの管理を行っている場合、余計な工数が必要となるばかりか、入力ミスなどのリスクも高くなってしまう。ストレージにアクセスさせるためのユーザー情報は、いわば企業の基盤的な情報である。その部分で「間違い」があっては、情報システム自体の信頼性も低減してしまう。また、人事異動などがあれば、その都度ユーザー情報を二重三重で更新することになり、さらに人為ミスのリスクが増す。Linuxを採用しているNASでは、管理項数が増大する上、ディレクトリサービスシステムを稼働させているメリットが生かせないということになる。

「Active Directory」を活用できる「HDLM-GWIN」シリーズの優位性

 LinuxベースのNASを単体で運用すると導入コストを抑えられるというメリットがあるものの、既存システムに追加導入する場合にはデメリットも大きい。これを解決するのが「WindowsベースのNAS」である。

 アイ・オー・データ機器が提供しているNAS HDLM-GWINシリーズは「Microsoft Windows Storage Server 2003 R2」をOSとしてプリインストールし、Active Directoryで管理するネットワークにも容易に追加できる。OSがWindows Serverベースであるため、個人認証やアクセス制限によって、内部統制にも対応する強固なセキュリティ環境を実現できる。

 これまでWindows Server 2003 R2で社内システムを運用・管理していた企業の場合、HDLM-GWINであれば、すでに説明したように、ユーザー情報やアクセス制限範囲をそのまま引き継げる。

 また、ユーザー単位・ファイル単位でのアクセス制限など、きめ細かな設定を実現する。使い慣れたWindowsのユーザー管理システムを使えることから、新たに利用者教育する必要がなく、すぐに運用できるというメリットもある。

 さらにHDLM-GWINシリーズは、CAL(クライアント・アクセス・ライセンス)フリーのため追加コストも不要で、コストを押さえられるというメリットもある。LinuxベースのNASよりはるかに運用性が高く、一般的なWindows Serverを新たに増設する場合と比べると、大幅なコストダウンが実現する。

 大容量のデータを共有する場合、サーバー内に共有スペースを用意すると、サーバーへの負荷や容量の上限などの制約が生じる。この場合、大容量データの共有専用スペースとして、HDLM-GWINを増設すれば、データ共有の効率が飛躍的に向上する。基幹システムやグループウェアの運用はサーバーを、写真やデザインデータ・動画などの共有保管用にはHDLM-GWINを使うといった使い分けも可能だ。

システム全体の信頼性も向上 新たなビジネスチャンス

 HDLM-GWINシリーズは、企業システムの信頼性を向上させるという目的にも役立っている。

 実は、「Microsoft Windows Storage Server 2003 R2」を搭載しているHDLM-GWINシリーズは、「Windows Server 2003 R2」がインストールされたサーバーのレプリケーション(複製)をほぼリアルタイムに作成できるのである。

 最近では、「事業継続」という観点から、バックアップの必要性が説かれることが増えている。しかし通常のバックアップで作成されたバックアップデータの場合、最後のバックアップポイントから障害発生までの間に保存された情報が含まれていないため、大切な情報を失ってしまう可能性がある。ところが、ほぼリアルタイムにデータを複製するレプリケーションであれば、障害発生時が最後のバックアップポイントとなるため、ロスが少なくなるのだ。

 サーバーを二重化するレプリケーションであれば、業務停止のリスクを限りなく低減可能だが、導入は容易ではなかった。一般にレプリケーションを実現するためには、分散ファイルシステムの設計が不可欠で、かなり大規模なシステム構築が余儀なくされたのである。実際、そのため導入したくてもできないという企業が多かったのではないだろうか。

 アイ・オー・データ機器は、このようなニーズに対し、HDLM-GWINシリーズを活用したソリューションを提案している。HDLM-GWINシリーズとWindows Server 2003 R2を搭載したサーバー環境があればすぐに実現できるため、導入のハードルを一気に下げることができる。中小規模企業においても、容易にレプリケーション環境が構築できるのだ。HDLM-GWINシリーズは、これまでレプリケーションを提案できなかった顧客にも提案できるため、ビジネスチャンスを広げることにもつながる。

 さらに最近の企業環境に欠かせないセキュリティ面も万全だ。社内のネットワークにつなげるのであれば、クライアントPC同様に、NASにもウイルス対策が必要となる。社員がアクセスし、情報を共有するNASだからこそ、十分な対策がのぞまれるはずだ。HDLM-GWINはWindows Serverベースであるため、セキュリティ対策ソフトのインストールが可能となっている。トレンドマイクロ社の「ウイルスバスターコーポレートエディション8.0 サーバー版」や「ビジネスセキュリティ 5.0」をインストールすれば、ウイルスの侵入を防御できる。また、バックアップソフトの定番である「Symantec Backup Exec System Recovery」(シマンテック)などにも対応する。

 アイ・オー・データ機器とさまざまなPC周辺機器ベンダーの啓蒙活動により、「Microsoft Windows Storage Server 2003 R2」を採用したNASは、市場からも注目されるようになってきた。この新たなストレージソリューションにより、以前にも増して市場が成長していくことは間違いない。

 この市場創出に努めてきたアイ・オー・データ機器は、WindowsベースのNASをより普及させるべく、さらにアクセルを踏み込む。


アイ・オー・データ機器=http://www.iodata.jp/