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<プリンティングソリューション特集>中堅・中小企業への提案が伸長のカギ(下)

2008/11/24 19:56

週刊BCN 2008年11月24日vol.1261掲載

理想科学工業
高速印刷と低コストの双方を実現
オンデマンド印刷で新たな市場を開拓する「ORPHIS Xシリーズ」

次世代高速カラープリンタを謳う「ORPHIS Xシリーズ」発表

 理想科学工業は2008年10月14日に、次世代高速カラープリンター「ORPHIS(オルフィス)Xシリーズ」を発表。09年2月より順次市場に投入していく予定だ。

 「初代“ORPHIS”を発売してから5年が経過し、今回、高速印刷・低印刷コストという強みをさらに強化したモデルを開発しました」と、ORP統括部長の岡松直之氏は語る。

 理想科学工業は、03年10月14日に「ORPHIS HC5000」をリリース。オフィス用として世界最速、毎分105枚、A4印刷1枚あたりカラー2.5円/モノクロ0.75円という高速・低コストフルカラー印刷を実現するプリンターとして注目を集めた。それ以降、多枚数印刷という領域で「高速・低コスト」のカラーソリューションを提供するプリンターとして、国内はもとより、欧米などで市場を拡大してきた。

 「ORPHIS Xシリーズ」は、「ORPHIS X9050」が、片面毎分150枚/両面75枚、「ORPHIS X7250」は、片面毎分120枚/両面60枚をそれぞれ実現している。印刷コストは、A4印刷1枚あたりカラー2.05円/モノクロ0.68円となっている。

 印刷速度、印刷コストともにHCシリーズを大きくしのぐものとなっている。

 「“強み”をさらに強化するだけにとどまらず、省スペースや使い勝手の向上などにも気を配りました。実は、これらのポイントはお客様から強い要望があったものばかりです。コピー室ではなくて一般オフィスに設置したいという場合、設置スペースが問題になります。また、リソグラフのような操作性を実現できないのかという声もいただきました。それらの声に応えたのが、省スペースや大型カラータッチパネルの搭載です」(岡松氏)。

 「ORPHIS Xシリーズ」は、新たに給紙部を含めた一体化設計を採用。その結果、本体サイズを70%に抑えることに成功している。後処理機能であるフィニッシャーをつけても、従来機種よりも幅約37cm減の省スペース設計となっている。また、大型カラータッチパネルは、リソグラフで蓄積してきたノウハウが生かされた。

多ページ・多部数、バリアブル 新たな市場創出を狙う

 「“多枚数印刷”といっても、“単ページ・多部数”“多ページ・多部数”“バリアブル”の3つに分けられます。従前の“ORPHIS HCシリーズ”では、チラシやポスティングなどで必要とされる“単ページ・多部数”という市場を開拓しました。“ORPHIS Xシリーズ”では、さらに“多ページ・多部数”“バリアブル”という市場を本格的に開拓できると考えています」(岡松氏)。

 「多ページ・多部数」印刷を必要としているのは、オフィスであろう。会議資料やマニュアルなどの小冊子では、多ページ・多部数の印刷が必須となる。そのため「ORPHIS Xシリーズ」は、高速な両面印刷や後処理機能も充実させている。コストを抑えながら、生産性を高めたいという企業にとって「ORPHIS Xシリーズ」は最適な選択となる。「バリアブル」印刷は、帳票やダイレクトメールなど個別に内容がカスタマイズされた印刷物だ。業務システムと絡めた提案も容易となる。「“ORPHIS Xシリーズ”は、お客様への提案の幅を広げることができる製品です。“多枚数印刷”でのワークフローを改革したいというお客様は非常に多いと思います。新しい市場を創出するだけのポテンシャルがあると思います」(岡松氏)。

 高速・低コストを訴求し、顕在化していない市場を創出する理想科学工業。内製化により印刷コストを大幅に圧縮できるばかりか、企業の生産性も大幅に向上させる提案となる。商材を探しているパートナー企業にとって、「ORPHIS Xシリーズ」は理想的な商材となるだろう。


理想科学工業=http://www.riso.co.jp/



リコー
お客様の視点に立った製品・サービス・サポート
オフィス用途から業種・業務まで幅広いソリューションを展開

用紙対応力に自信 充実の検証環境

 リコーは、2008年10月にA3カラープリンターのラインアップを一新した。

 「IPSiO SP C821/821M」「IPSiO SP C820/820M」「IPSiO SP C721/721M」「IPSiO SP C720」のシリーズは、ミドルレンジからハイエンドモデルとして速度・高耐久・拡張性を重視している。発売して間もないが、立ち上がりも非常に好調だ。その理由は、製品のスペックだけではない。実業務に活用できるプリンターということが、パートナーや顧客企業に支持されてきたのである。

 「当社では、お客様が使われている用紙にきちんと印刷できるように、検証にも注力してきました。用紙ベンダーやISV、SIerとの連携やお客様ごとの個別対応などを継続しており、そのノウハウを製品作りに生かしています。厚紙や不定形サイズの用紙なども給紙トレイから印刷できるなど、業務で使用している専用帳票への出力に応えています」と、販売事業本部・ソリューションマーケティングセンター・プリンタ販売計画室・室長の宮崎章二氏は語る。

 日本では、ビジネスに帳票は不可欠だ。帳票を出力できなければビジネスが滞るケースも少なくない。また、業種・業務によっては特殊用紙への印刷が必須ということも多い。リコーでは検証センターを用意し、帳票の評価を行っているほか、用紙ベンダーと相互検証を行い、顧客企業が必要としている帳票出力を実現する環境を構築してきた。用紙ベンダーから「推奨」されるなど、その効果は着実に現れている。この活動は、顧客企業はもちろん、安心して販売できるとパートナー企業からも好評だ。

 

 ハイエンドモデルに関しては、市場ニーズに応え、印刷の後処理オプションも充実させた。フィニッシャーやプリントポストなどは、プリントボリュームが多い企業にとって必須のオプションと言えよう。プリンターでこれだけ充実した後処理オプションが用意されているのも、リコーならではである。



キッティングなどパートナーからも好評

 また、ネットワーク上のプリンタを一元管理できる「Ridoc IO Admin」や多彩なログ収集・集計によるTCO削減およびセキュリティ対策を同時に実現する「Ridoc IO OperationServer Pro」など、豊富な印刷管理ユーティリティも提供されている。さらに、基幹出力向けの高信頼性プロトコルである「RHPP」を搭載したり、各種ミドルウェアとの連携も可能となっている。

 もちろん「セキュリティ」への配慮も忘れない。出力機のセキュリティ対策は、複合機が一歩進んでいたが、リコーではそれらのノウハウもプリンターに投入。不正コピー抑止地紋印刷機能やHDDデータ暗号化機能、HDD残存データ消去機能のほか、ユーザー認証やアクセス制御なども実現している。

 サポート・サービスについては、全国にサポート網が張り巡らされており、万が一の障害にも迅速に対応できる体制が整っているほか、リモート管理サービスである「@リモート」も展開し、機器の故障を未然に防止する。さらに、トナー・ドラムユニット・定期交換部品・保守サービス料金が1カウント当たりの料金に含まれる「M-PaC」もコストを平準化できると好評だ。すべて、顧客企業の視点に立ったサポートと言えるだろう。

 「パートナー様には“キッティング”が喜ばれていますね。オプションの装着やネットワーク設定などを生産現場で行うことで、パートナー様は、設置するだけの作業となります。箱など余計な梱包材もありません」(宮崎氏)。

 業種・業務系にいち早く進出したリコーは、市場ニーズに応え、実直なもの作りを続けた。複合機で蓄積したノウハウやサポート・サービスも惜しみなく投入し、プリンター市場でも注目される存在となっている。今後、業種・業務に強みを持つSIerなどと協業し、ソリューションを広げていきたいとしている。同社の展開は、市場からも注目されている。


リコー=http://www.ricoh.co.jp/

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