これまで、ワイドレンジカバーで製品ラインアップを強化してきたExpress5800シリーズだが、クラウドコンピューティング時代を見据え、『DataCenterLine(データセンターライン)』と『DataStationLine(データステーションライン)』という2つの製品ラインで事業領域の拡大を狙う。

『DataCenterLine』と『DataStationLine』

環境へのこだわりを意識したロゴに一新

 1992年12月にExpress(MIPS)サーバ200シリーズの出荷を開始して以来、NECは長期にわたって国内x86サーバ市場を牽引してきた。新技術を積極的に取り入れ、2004年頃からは日本のオフィス設置に適した「こだわり製品」を導入し、新たな市場を開拓している。

 Express5800シリーズの累計出荷台数は100万台を超え、国内シェア12年連続ナンバーワン*1、顧客満足度調査で3年連続1位*2を獲得している。この結果からも分かるように、これまでの同社の取り組みは市場からも認められ、高く評価されている。

 今年11月11日、そのExpress5800のロゴが一新された。以前のExpress 5800のロゴは8年間ほど使われたが、新ロゴは、NECが提唱するREAL IT PLATFORMビジョンである「柔軟・安心・快適」に加え、「環境へのこだわり」も表現している。

 「お客様のニーズが細分化していることに加え、環境配慮などの社会的背景もあり、市場環境が大きく変化しています。企業システムも集中型から分散型へと進化し、データセンターを核とする統合型のシステムにシフトしつつあります。さらに、サービスプロバイダの躍進に見られるように、クラウドコンピューティング時代はすぐそこまで来ています。すでに、サーバをデータセンターに預け、サービスを享受する形態を取る利用者や法人も増加しています。これらの動向を見てもデータセンターへのサーバ設置が主流になっていくことは間違いありません。しかし当社としては、次世代のIT基盤はデータセンターだけで完結するものではないと考えています。データセンターに加え、オフィスフロアや店舗などの現場に設置されるサーバも重要だと考えています」と、第二コンピュータ事業本部長の庄司信一氏は語る。これからの企業システムは、仮想化やシステム統合をキーワードに、増大するITリソースを効率的に運用することが求められている。しかし、ITリソースのすべてをデータセンターに集中するだけでは、必ずしもユーザーの求める要件を満たすことができない。レスポンススピードと信頼性を確保するためには、どうしても現場設置されるサーバが必須だ。

 つまりデータセンターはもちろん、現場設置サーバという2つの領域が重要になる。そこでNECはExpress5800において『DataCenterLine(データセンターライン)』と『DataStationLine(データステーションライン)』という2つの製品ラインを定義し、拡大する利用領域に対して製品を提供していく。

 『DataCenterLine』は、企業内データセンターやiDC/xSP市場のニーズに応える製品ラインで、仮想化に対応し、可用性、統合運用管理、セキュリティ、省電力機能に優れたプラットフォームだ。データセンター向け「iモデル」やブレードサーバ「SIGMABLADE」、「スケーラブルHAサーバ」や「ECO CENTER」などで構成される。

 『DataStationLine』は、作業エリアやオフィスなどの現場設置のニーズに応える製品ラインで、システム全体のレスポンスや信頼性を補完する役割を担う。オフィスや小規模事務所、店舗バックヤード、工場などに置かれ、設置性やカスタマイズ性に優れたプラットフォームである。また、デジタルサイネージのコンテンツサーバや生産ラインへの組み込みを行うカスタマイズサーバなど、今までになかった新しい提案を行い、市場の拡大も狙う。このように、設置場所や利用用途によって製品ラインを2つに区分したことで、顧客企業にとっては選択しやすくなり、販売店にとっては販売しやすくなることが期待できる。

 「クラウドコンピューティング時代になると、利用者からはサービスしか見えないからと言って、プラットフォームはブラックボックスでもいいということにはならないでしょう。重要な情報システムを支えるプラットフォームは、実績に裏付けされた安心なものでなければ採用されません。そのうえで、データセンターと現場設置サーバという2つを明確に打ち出し、お客様に安心感を与えることがNECの役目だと考えます」(庄司氏)。

 実は、この2つのコンセプトは発表されたばかりだが、2つの製品ラインに対するニーズが高まっていることを同社は以前から把握しており、製品に反映させてきた。現在の製品がそれぞれの製品ライン毎に優れた機能を有しているのは、その結果だといえるだろう。

企業の成長を支援し、ビジネスチャンスの創出も狙う

 一部では、「夏以降、市場は一気に冷え込んだ」という声もある。サーバを取り巻く市場環境は、今後さらに厳しくなることが懸念されているが、NECでは2桁伸長を目指して展開していくとのことだ。「お客様自身が成長するためには、ITインフラに投資が必要です。当社はオフコン時代からのノウハウもありますし、お客様が成長するための投資としてExpress5800シリーズは最適な解と自信をもってお勧めしています。市場が厳しい時こそ、ビジネスを広げるチャンスは十分あると考えています」(庄司氏)。

 クラウドコンピューティング時代を支えるプラットフォームとして、Express5800シリーズの今後の方向性を明確化したNEC。未来を見据えつつ、顧客企業の成長を支え続けるNECの展開は、幅広い支持を獲得していくだろう。


*1:1996~2007暦年国内x86サーバー(出荷台数、出荷金額) 出典:IDC Japan
*2:日経コンピュータ 2008年8月15日号 第13回顧客満足度調査 パソコン・サーバー部門



クリックで拡大