応研(原田明治社長)は4月20日、2009年4月以降の事業年度から適用される「工事契約に関する会計基準」に対応した個別原価管理会計ソフトウェア「大蔵大臣個別原価版 NX」を発売した。建設業向けに実績のある会計ソフト「建設大臣シリーズ」の機能などを取り入れた新製品で、通常の財務処理に加えて作業管理など「ヒト」の部分を含めたプロジェクト管理に対応した各種機能を搭載したのが特徴。同原価版NXは、プロセス型の業務が伴う製造業など、これまで同社で未開拓だったあらゆる業種に対して、販売パートナーと共同で販促をかける計画だ。

プロセス型企業 すべてを対象に

 2009年4月以降の事業年度から「工事契約に関する会計基準」が適用されるタイミングで、応研が「幅広い企業層に需要が見込める」とみて送り出した新会計ソフトが「大蔵大臣個別原価版 NX」だ。連携コンポーネントを搭載した「大臣NXシリーズ」の新ラインアップとなる同製品は、単純な経理業務にとどまらず、支払、資産、手形管理までを含めたトータルシステムに仕上げられている。既存の「建設大臣シリーズ」で培った評判の高い機能を継承しつつ、個別原価管理に必要な新機能を搭載した製品だ。会計ソフト「大臣シリーズ」などの経理データを同製品にインポートすることで、同基準に不可欠なプロジェクト管理体制強化をワンパッケージで実現できることが特長となっている。

 「大蔵大臣個別原価版 NX」をリリースした背景には、これまで、製造業などプロセス型の業務が伴うユーザー企業で、既存の「建設大臣シリーズ」がプロジェクト管理用途で利用されてきたことなどがある。同基準のスタートを機に、「建設大臣シリーズ」に工事進行基準や工事完成基準の適用に対応した機能を盛り込み、新シリーズとして提供を開始したわけだ。「例えば、テレビ局やラジオ局など番組制作会社の案件で『建設大臣シリーズ』が導入されていた。また、造船や海運など長期サイクルで企画・開発・製造するプロセス型の業種から案件が出ていた」(中村和人・営業部販売促進室主任)と、すでに幅広い業種で潜在的なニーズがあったと指摘する。

 このため応研は、「建設業以外で工事進行基準の適用が必要な業種に対応する」(中村主任)ため、従来の「大蔵大臣シリーズ」では対応できなかった個別原価計算に関する機能などを追加。特に、他社製品と異なる点として、プロジェクト工程別に作業に関わった「ヒト」の時間管理を同社の「給与大臣シリーズ」と連携して管理できるようにしたのが特徴の一つだ。

製造業など新市場開拓の“武器”に

コンサル会社との新連携模索

 応研はこれまで、建設、医療、福祉、公益法人など特化分野向けのパッケージ製品を出してきた。だが、「大蔵大臣個別原価版 NX」では、個別受注生産型とプロセス型の製造業やサービス産業、工事進行基準の適用が義務づけられたIT産業など、これまでと異なる新規顧客を開拓することができると期待している。

 そこで同社は、コンサルティング会社と共同でSIerやユーザー企業を対象にしたタイアップセミナーを全国で開催したり、これまで「建設大臣シリーズ」などのカスタマイズを担当し、特化業種に強みをもつSIerなどと個別案件ごとの対応を検討する「勉強会」を開くことなど、共同で新市場を発掘する作業を急ぐ。

 中村主任は、販売面でアライアンスを組む相手として、「『DOP(Daijin ODDS Partner)』など『大蔵大臣シリーズ』の連携製品を提供するSIerやソフト会社など既存パートナーに加え、コンサルティング会社やグループウェアを開発・販売するソフトメーカーやその販社など」と、これまでに協業したことない新たなベンダーなどを加えた先を想定している。

 建設業向け業務ソフト販売で実績のある応研に在籍する営業担当者は、ほぼ全員が「建設業経理士」(建設業者の会計および処理能力の向上と経営改善に資するための資格)の有資格者である。「この専門家集団が案件ベースで顧客対応したり、コンサルタントと共同のセミナーで助言に当たるなど、これまで建設業向けで培った営業ノウハウを生かして『大蔵大臣個別原価版 NX』の販売増を目指す」(中村主任)と、新規市場開拓に向けて準備を万端に整え、多くのパートナーとの協業に備える。

「ヒト」の原価管理が魅力 「建設大臣」の長所を継承

バージョンアップ感覚で提案できる

 応研製品で既存の「建設大臣シリーズ」が建設業に特化した製品であるのに対し、「大蔵大臣個別原価版 NX」(Microsoft SQL Server 2008対応)は、同シリーズをベースに、それ以外の業種で「工事契約に関する会計基準」に対応して個別原価計算などを行うことができる新機能を搭載した製品だ。ソフトウェア開発を担当した山川耕司・開発部開発課リーダーは、新製品の特徴について次のように語る。

 「他社の製品と異なり、この製品はワンパッケージで多機能を使えることに優位性がある。一般的な原価管理製品は、プロジェクト別の原価管理や利益管理、個別原価計算の要素を盛り込んでいるが、これに『ヒト』の作業時間管理を加えた製品はない」。この「ヒト」の部分である「作業時間管理」機能は、「建設大臣シリーズ」に搭載されているものを連結させた。この機能を使えば、労務費を各プロジェクトに振り分ける作業で、1か月の作業日報と給与額を入力すればプロジェクトごとの労務費を算出でき、給与計算ソフト「給与大臣シリーズ」と連携させることも可能だ。

 「大蔵大臣個別原価版 NX」には、このほか「建設大臣シリーズ」のUI(ユーザー・インタフェース)や使い勝手のよい機能などが継承されている。例えば、入力画面は実務に即して振替伝票そのままで直感的に操作できる。仕訳日記帳も入力した伝票の確認画面、印刷、ファイル入力ができ、領収証などから直接起票した場合に整理・保存起票として使えるなど、カンタン機能が満載だ。また、プロジェクト管理の入力用「プロジェクト台帳」は、伝票入力時に「プロジェクト名」を入力すれば、プロジェクト別の台帳を自動生成することができる。

 山川リーダーは、「『ヒト』の部分を含め、プロジェクトごとの原価が明らかになり、担当者の粗利や目標に対する意識を高めたり、情報の共有化により迅速な経営判断ができるようになる」と話す。「大蔵大臣シリーズ」を利用する既存顧客で個別原価管理や利益管理をしたいユーザー企業に対し、「バージョンアップする感覚で」(同)リプレースを勧められるという。

 一方、上位版の「大蔵大臣個別原価版 NX Super」には、固定資産管理とリース資産管理の機能を搭載。「これら減価償却の機能もこの会計ソフト内でワンパッケージでカバーした」(同)と、横断的な製品として「大蔵大臣個別原価版 NX」の利用を促進できるとしている。)



人事・申告の新シリーズ投入へ

 応研は今年度(2009年12月期)中に、「大蔵大臣個別原価版 NX」に引き続き、「NXシリーズ」のラインアップを拡充する予定だ。今夏以降には、まったく新しい製品として人事管理ソフト「人事大臣」、税務申告ソフト「申告大臣」(いずれも仮称)などを発売する計画。岸川剛取締役は「『大蔵大臣個別原価版 NX』を出すことなどで、ユーザー企業の規模が大きくなってくる。これに備えて会計ソフトメーカーとして自社製品で対応する」と、製品仕様を厳密に求めてくる中堅・大企業へ市場拡大するための備えを開始した。人事管理ソフトは、経済不況下でより人事管理の重要性が高まっていることから、会社によってさまざまな形態がある人事管理に柔軟に対応でき、人材活用のためのスムーズな意志決定をサポートできる独自製品をリリースする。さらに、申告ソフトは地方税ポータルシステム「eLTAX(エルタックス)」の利用拡大を見越し、また電子手形が中小企業の層にも広がることを踏まえて、詳細は未定だが手形関連のオプション製品の計画もあり、自社製品での対応を検討している。「今までのパートナーとは、例えば人事管理ソフトだと人事考課のモジュールを開発してもらうなど、新たなパートナーシップが組める」と、新製品投入の波及効果を期待している。 大蔵大臣 個別原価版 NX    420,000円~(税込)
大蔵大臣 個別原価版 NX Super 735,000円~(税込)
大蔵大臣 個別原価版 NX ERP  オープンプライス

※それぞれにスタンドアロン版、ピア・ツー・ピア版、LANPACK2 クライアント~を発売