Special Issue

<バックアップソリューション>バックアップのパラダイムシフトを起こす

2009/05/01 19:55

週刊BCN 2009年04月27日vol.1282掲載

「CDP」を実現する「QQR」

サーバを含めたマネジメントを実現へ

 これまでクライアントPCの資産管理を主軸とした製品をラインアップしてきたクオリティ。市場では、「セキュリティ統制」や「コスト削減」を実現するソリューションによって、一定の評価を獲得している。

 1月下旬、同社が開催したプライベートイベント「VisionQ2009 ビジネスパートナーミーティング」では、「ドメインを広げる」というキャッチコピーを掲げ、今後の展開について「サーバまで含めたソリューションを展開する」と発表した。これを具現化したソリューションが、初夏に発売を予定している「QQR(Quality Quick Recovery)」だ。

 「クライアントPC管理については、すき間なく製品ラインアップを強化してきました。今後は、サーバについても、きちんとマネジメントできるような環境を提供していきたいと考えています。その第一弾が“QQR”です」と、新プロジェクト開発室長・久保統義氏は語る。

 「QQR」とは、「CDP(Continuous Data Protection)」を実現するソリューションで、保護対象のサーバの変更を常時記録・トラッキングする。それらのデータは、永久差分バックアップ形式で保存しているため、有事には過去の任意時点のデータをリカバリできるようになっている。災害による障害や、オペレーションミスによるトラブルにおいて、容易にサーバを復旧したいというニーズに応えるソリューションである。

 「これまでのバックアップには、“システム停止が必要”“価格が高い”“回線への負荷が大きい”“リカバリが困難”“膨大な作業時間”“ディスク容量が増え続ける”など、数々の課題がありました。ダウンタイムを小さくしようとするとコスト増となり、導入したくてもできないというお客様が多かったようです。“QQR”は、こうしたバックアップ/リストアソリューションの課題を解決し、既成概念を大きく変革します」(久保氏)。

 

 「QQR」は、VFS(Virtual File System)よりディスクの変更ブロックデータのみを取得し、アプリケーションやハードウェアに依存しないバックアップを実現している。常時データを記録していることから、バックアップを取得する時間は必要なく、データベースやCADなどであってもパフォーマンスの劣化も数%に満たない。また、回線負荷をかけずに、遠隔にあるディスクに保存することもできる。

すそ野を広げるべくアプライアンスも予定

 「QQR」のリカバリ機能だが、一般データを復旧する「General Recovery」、サーバ障害時にOS、アプリケーション、データを復旧する「Fault Recovery」、ハードウェア構成の異なるサーバへの復旧を行う「Advanced Recovery」が提供されている。

 「General Recovery」は、対象サーバのスナップショットを選択肢マウントするだけでいいため、オペレーションミスなどで消してしまったデータの復旧などに適している。「Fault Recovery」は、IPMIでの自動起動にも対応しており、遠隔でのブート/復旧が可能だ。「Advanced Recovery」は、筐体のリプレースや仮想環境への移行、仮想環境から実サーバへの移行時に利用できる。これらのリカバリ機能により、システム管理者の負荷を軽減するほか、サーバ管理の「距離の壁」を取り除き、サーバやPC入れ替えの負担を軽減する。

 「QQR」は日本発のこれまでにない全く新しいバックアップ/リストアソリューションだ。この製品を、クオリティでは、ライセンス販売のほかアプライアンス販売も検討しているという。つまり、販売パートナーにとっても付加価値として利用しやすいソリューションに仕上がっているのである。

 今後、クオリティはサーバ/クライアントPCを含めた企業システム全般のマネジメントを実現するソリューションを展開していく。ユーザ/パートナーからの期待に応える同社の今後に注目したい。

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外部リンク

クオリティ=http://www.quality.co.jp/