2008年10月、レノボ・ジャパン(ロードリック・ラピン社長)は、x86サーバー「Think Server」を国内で発売した。SMB(中堅・中小企業)をメインターゲットとした製品群を揃え、コストパフォーマンスと品質の高さを武器に、競合ひしめく激戦区に参入。PCメーカーからの脱皮を図った。あれから8か月、レノボ・ジャパンは4月にパートナープログラムを刷新し、今夏までには新モデルの投入も予定している。今年度(10年3月期)、レノボ・ジャパンはサーバービジネスをさらに加速させる。

製品拡充、新販社制度でSMB開拓

高品質、低価格を武器にSMBを切り拓く

 昨年10月29日、港区・赤坂のホテルでレノボ・ジャパンが開いた記者会見には、会場を埋め尽くす数の記者が訪れた。同社がx86サーバー市場に参入する件の発表である。レノボ本社が昨年1月にx86サーバーを発売することを発表したことで、国内でも一気に注目を集め、この日は満を持してその詳細を披露する場だった。それだけに多くの記者とアナリストが集まったわけだ。

 x86サーバー市場は、国産、外資系を問わず、メーカーがひしめきあう。成長分野とはいえ、新規参入企業がそう簡単に割って入れる市場ではない。個性がなければ存在感を示すことができない、厳しいマーケットである。しかし、レノボ・ジャパンの差別化要素は明確だ。

 SMBに適した高信頼性モデルを付加価値をつけて低価格で提供する──。

 徹底的に無駄を省いたグローバルレベルのローコスト経営と全世界でビジネス展開できるスケールメリットが生む低価格の訴求性を提示し、SMBに適したツールとサービスを用意。それらを武器に、潜在需要が高いといわれるSMB市場を開拓するのが基本戦略だ。ラインアップは、タワーとラック型の2種類でそれぞれ1ソケットと2ソケットモデルを用意。SMB向け製品に絞って市場に参入した。

 発売から約8か月が過ぎ、長谷川健一 プロダクト・マネージメント サーバービジネス・マネージャーはこれまでをこう振り返る。「ユーザー企業様はもとより、パートナー様からも高い評価を得ています。コストパフォーマンスはもちろんですが、それだけではなく、SMB向けの付加ツールとサービスメニューも高い評価をいただいています」。

 レノボは市場参入するにあたり、SMBからのニーズが高いツールを無償で付加した。(1)ハードウェアの基本設定ツール「ThinkServer EasyStartup」(2)ソフトウェアなどの更新専用ツール「同 EasyUpdate」(3)複数サーバーの運用状況を一括監視できるLANDeskとの共同開発ツール「同 EasyManage」の3種類がそれだ。

 これらに加えて用意したのが、サポートサービス「ThinkPlusサービス」。複雑になりがちなサポートをパッケージ化し、24時間対応の電話サポートを行う「ThinkPlus Priorityサポート」と、それにオンサイトでのハードウェアインストールやトレーニングを含んだ「ThinkPlus Productivity」をラインアップ。このほか、データのバックアップなども用意している。

 SMBには一般的に、情報システム管理の専任者を置くほどの余裕がない。だからこそ、こうした設定・運用ツールを無償で付加するとともに、シンプルなサポートサービスを用意したのだ。低価格だけでなく、こうした導入・運用フェーズのツールとサービスを充実したことに特色がある。

新CPUモデル、無償ツール投入とパートナープログラムを刷新

 今年、レノボ・ジャパンはこのサーバー事業のビジネス基盤をさらに強化する。まず製品ラインアップだ。今夏までに大幅に拡充される。インテルの最新CPU「Nehalem(ネハーレム)」を搭載した新モデルの発売を予定している。タワーとラック型をそれぞれ投入する。「ネハーレム」は、高い処理能力をもつとともに消費電力が少ないことを売りにしている。搭載サーバーのプロモーションでは、「環境対策やシステムの仮想化を容易に実現するサーバーとして訴求する」(長谷川マネージャー)という。

 加えて、無償の付加ツールも新モデル発表と同時にバージョンアップする。サーバーの「設定」「ソフトウェアなどの更新」「運用」でツールを3種類に分けていたが、運用管理をさらに低減させるために、「運用」と「更新」のツールを1種類に統合し、今後は2種類で展開する。

 販売施策の面はどうか。レノボが重視しているのは、販売パートナーの支援だ。「PCの販売でおつき合いいただいているパートナーの皆様に、サーバーでもよりよいビジネス環境を用意できるよう、支援プランを用意しました。これまでレノボ製品を取り扱っていなかった販社様にも、魅力を感じてもらえるようにもしています」(長谷川マネージャー)。

クリックで拡大 今春に開催したパートナーイベントでその内容を披露。主な支援施策としては、まずインセンティブ(販売奨励金)の拡充がある。パートナーが利益を生み出しやすいように、販売額に応じたインセンティブをPCに比べて2倍に設定した。そして、トレーニング。今年3月からパートナー向けのテクニカルトレーニングをほぼ毎週実施し、パートナーのスキル向上を支援している。今後も継続的な開催を予定しており、「参加したことがないパートナー様も気軽に声をかけていただきたい」と長谷川マネージャーは話している。パートナー向けの支援内容を説明するイベントは、すでに東京、大阪、名古屋で開催済み。今後は札幌、福岡でも開く予定で、全国のITベンダーに向けてレノボ製品とパートナープログラムを告知する予定だ。

 「SMBに適した高品質なサーバーを低価格で」という明確な戦略・メッセージで、レノボ・ジャパンは今年度からサーバー事業をさらに加速。PCメーカーとしてだけでなく、サーバーメーカーとしての地位の確立に挑む。


レノボ・ジャパン=http://www.lenovo.com/jp/ja/