国内の企業向けページプリンタを製造・販売するメーカーと販社は、エコ(環境)とコスト削減を同時提案することでリプレース需要を呼び起こす提案活動を積極化している。調査会社J.Dパワー アジア・パシフィックが毎年発表する「プリンタ顧客満足度調査」によると、商談時の「印刷ニーズ」や「印刷出力」への包括提案が顧客側の満足度を上げる要素になっているという。各社は、機器の優位性だけでなく、省電力性を訴求するほか、プリンタドライバ、定着方式などで生産性を上げられる付随サービスをさまざま提案。中長期的には、エコとコスト削減に貢献することを販社と共同で数値的に示すことで案件を獲得し始めた。

リプレース需要が高まるなかでニーズ理解した提案が満足度上げる

「売り方」次第で満足度アップ

 J.Dパワー アジア・パシフィックの「2008年プリンタ顧客満足度調査」によると、「カラー機普及のカギ」として次のような項目を提示している。カラーページプリンタの商談時には、「印刷ニーズを理解した提案」「オフィスの印刷出力への包括的提案」など、文書出力に関連する提案が顧客満足度を上げているというのだ。

 プリンタはこれまで、システムを構成するデバイスの一つとして扱われるケースが多かった。しかし最近の企業では、オフィスの「ドキュメント・ソリューション」としての「売り方」に注目が集まっているようだ。不況の影響で、「聖域なきコスト削減」を掲げる企業が増え、紙を吐き出すプリンタのコスト削減策に関心が高まっていることは間違いない。

 最近、プリンタメーカーの系列販社やパートナーのSIer、事務機ディーラーが「ソリューション販売」に注力する理由がそこにあるといえる。

 電子情報技術産業協会(JEITA)の「2008年情報端末関連機器の世界・日本市場規模および需要予測」によると、ページプリンタの世界市場は、2011年には08年に比べて台数は1%伸びる一方、金額で4%減少すると予測する。日本市場の場合、2011年は08年に比べて台数で8%減、金額で13%減る見通し。プリンタ市場は新興市場のBRICs諸国を中心に伸びるものの、国内市場は減少の一途をたどる見通しだ。

 ただ、国内プリンタメーカーや販社が掲げるエコとコスト削減は、営業現場で利いているようで、「一つのデバイス」としか見てこなかった企業が「リプレースすれば、すぐにでもコスト削減できる」ことに気づき始めている。

リプレース需要、6割に増加

クリックで拡大 エプソン販売によると、ここへきて全体の販売台数に占めるリプレースの割合は、以前は5割、現在は6割に増えているという。各種調査会社がプリンタ市場低迷の理由としてきた「リプレース需要の減少」が回復へと向かっているといえる。

 これまでのプリンタメーカーは、印刷速度や印刷画質、後工程の優劣など技術開発競争を繰り広げてきた。各社は「他社より高機能・高耐久・高容量」を売り言葉にし、これがユーザー企業の購入意欲を刺激することにつながっていた。しかし、最近のページプリンタは機能性が同レベルになってきたため、用途に応じた機能やサービス、あるいは直接コスト削減につながる関連サービスの付加やエコで消費電力を下げることを訴え始めているのだ。

 例えばリコーは、A3カラー機で売れ筋の高速機「iPSiO SP C800シリーズ」を中核に、出力環境を革新するさまざまな機器やソフトウェアを融合し、TCO(総所有コスト)削減とエコを実現することを提案している。

 リコーでは、いかにTCO削減を行い、CO2排出量を抑えることができるかを事前にコンサルティングし、既存プリンタ環境の最適配置をアドバイスしている。また、機種共通ドライバー「RPCS Basicドライバー」をリリースし、異なる機種を同じプリンタドライバで印刷できる環境を整えた。これにより、SIerなどがプリンタを整備する際の設定負荷を低減することができる。こうした「売り手」への配慮を行うことで、全体の導入コスト削減が実現できる。

 また、キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)では、「Eco×Speed」をコンセプトとする新機種を投入。上位2機種のA3カラー機「Satera LBP9600C」と「LBP9500C」は、片面/両面ともに30枚/分と印刷速度が同レベルであることの「両面生産性100%」をアピール。コスト削減策として企業に広がる両面印刷でも、生産性を落とさないことを提案している。

 こうした機能に加え、立ち上がりも素早く印刷できる「オンデマンド定着方式」などを訴求し、リプレース需要を掘り起こそうとしている。キヤノンMJでは、同新機種発売前にパートナーと提案ツールを作成したことが奏功し、順調に販売台数を伸ばすことができているという。

 各社のエコとコスト削減に関する提案内容は、実にさまざまだ。このため、ユーザー企業側が機種選定する際の選択肢が機能性以外にも幅が広くなり、プリンタをリプレースする機運が高まってきたようだ。



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