Special Issue

<セキュリティソリューション特集>中小企業でセキュリティの重要性増す

2009/07/16 19:56

週刊BCN 2009年07月13日vol.1292掲載

ソリトンシステムズ
「情報セキュリティ」こそSaaS利用が最適
「全自動」で、誰でも使えるセキュリティ対策

 情報セキュリティは企業システムに欠かせないものとなった。しかし、サーバーなど専用設備が必要になり、運用負担がかかるのも実際のところだ。専任の管理者を配置できない中小企業などでは、システムの運用を誰が行うのか、その負担増をどうフォローしていくのかということが大きな課題となっている。「セキュリティは、企業規模や業種・業態に左右されません。程度の差はあれ、大企業でも中小企業でも同じような対策が求められます。ならば、共通のプラットフォームを利用する事で、人手不足を補ったり、コストを削減したりすることができると思います」と、ソリトンシステムズ OnDemandビジネス部・部長の松本吉且氏は語る。

 ソリトンシステムズの提案は「自動化」だ。自動化できる部分は自動化していくことで、顧客企業の作業工数はかからず、運用負荷を大幅に削減することができる。ソリトンシステムズは、市場ニーズに応えた情報セキュリティ製品を開発し、販売している。そのノウハウを余すことなく投入するからこそ、このようなSaaSによるソリューションを実現できているのだろう。

 「情報セキュリティ製品の多くは、必要なデータの抽出やレポートの出力のために、お客様によるオペレーションが要求されます。お客様にとって、より重要なのは、“プロセス”より“結果”であるはず。当社のオンデマンドサービスは、“自動化”をコンセプトに、必要な分析、レポートなどはユーザーが操作することなく、自動で生成しています」(松本氏)。

 ソリトンシステムズでは、オンデマンドサービスとして、PCセキュリティ&IT資産管理サービス「eCare-OnDemand」と、PCログ収集・管理・分析サービス「InfoTrace-OnDemand」を提供している。ともに専用の設備や運用負担なしに“セキュリティ対策”を実現するソリューションだ。

 「eCare-OnDemand」は、OSのセキュリティパッチやアンチウイルスの更新状況の管理のほか、P2Pソフトウェアの起動を監視して自動的に削除するなど、手間のかからないPCセキュリティ対策だ。「InfoTrace-OnDemand」は、PC利用ログの収集から分析、レポート、管理、運用まですべてを提供するログ分析ツール。さまざまな情報漏えい経路を監視し、的確に利用状況を把握できる。

 利用するために、特別な知識は不要。わかりやすいインターフェースで、誰もが即座に必要な情報にアクセスできる作りになっている。

 ソリトンシステムズのサービスは、新しい“セキュリティ対策”として、今まで導入を躊躇していた企業ばかりでなく、これまで「セキュリティ対策ツールを導入したが運用しきれなかった」という企業が乗り換えるケースも多いという。

 ソリトンシステムズの“セキュリティ対策”は、今後、さらなる伸長が期待できるソリューションである。


ソリトンシステムズ=http://www.soliton.co.jp/


デジタルアーツ
セキュリティトップ2社が融合
「売り手」の旗振りで実現

 セキュリティベンダーのデジタルアーツとカスペルスキー、ソリューションプロバイダの丸紅情報システムズの3社は、新しく開発するソフトウェア製品の開発・販売で協業した。新製品の総販売代理店になる「売り手」の丸紅情報システムズが呼びかけて実現。Webフィルタリングの販売実績とウイルス検知率の両面でNo.1ベンダーのノウハウを融合し、今年9月にはICAP(Internet Content Adaptation Protocol)対応版を出荷開始する。

 ICAPは、プロキシ/キャッシュ・サーバーが外部機能を利用できるようにするプロトコル。一般的なプロキシソフトウェアには、フィルタリングやウイルス検知などの機能が備わっていない。ICAPはこうした不足機能を補える。デジタルアーツの今井賢司・営業部パートナー営業第1グループグループマネージャーは「まずは、ICAP版で両製品を提供。ウイルス対策製品をクライアントのみならずゲートウェイに入れ二重化し、フィルタリグと共にセキュリティを強化したいニーズに応える。そして2010年には、統合版を出す」と、3社協業のロードマップを語る。両社は、デジタルアーツ「i-FILTER」とカスペルスキーの「Kaspersky Anti-Virus for Proxy Server」の統合新製品「i-FILTER Powered by Kaspersky(仮称)」の開発にも着手した。丸紅情報システムズは、ICAP版と新製品の代理店として販売と保守サポートを担当。両セキュリティベンダーからも販売する。

 企業システムのアプリケーションがウェブ化されたことで、HTTPへの依存度が増している。HTTPからのマルウェア感染、掲示板への書き込みやウェブメールからの情報漏えいが多発している。こうした脅威に対し、単独製品だけで防ぐのは困難。今井マネージャーは「守備範囲が異なるセキュリティベンダーが融合し、幅広い層へ両社製品を伸ばすことに合意、経済不況下でも企業がセキュリティポリシーを下げることは考えられず、需要は確実にある」と自信を見せている。

 競合する大手セキュリティベンダーにも、今回の統合版のような製品は存在する。しかし「フィルタリング・ウイルスの検知率か、もしくはパフォーマンスが絶対に落ちる」(今井マネージャー)と、両製品がNo.1であることを前面に打ち出したプロモーション活動をユーザー企業とパートナーに対し、7月より3社で全国展開する。

 ICAPの販売開始は今年9月を予定。標準販売価格は500ユーザーで200万円程度を想定している。丸紅情報システムズでは、従業員500人以上のエンタープライズ市場を中心に販売する。今井マネージャーは「すでにユーザーとパートナーから具体的な問い合わせが多数来ている」と、好感触を得ている。顧客をよく知る「売り手」の旗振りで始まった協業だけに、市場を席巻しそうだ。




デジタルアーツ=http://www.daj.jp/

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