カシオ計算機グループのシステム販売会社が提供する大ヒット製品が中小企業・SOHO向けのビジネス専用機「楽一(らくいち)」だ。19年前に販売を開始して以来、累計8万台(約4万社)に導入。中小企業・SOHOのIT化が進まないなか、キーボード操作に不慣れな経営者層などに浸透して驚異的な販売台数を記録している。9か月前には、この「楽一」にホームページ(HP)作成やショッピングカートなどウェブサービス機能を付加。こうした層の経営者でも簡単にウェブを使って自社商品をアピール・販売ができ、「ITを導入し、売り上げをアップさせる」ようにした。そして2010年秋。このウェブ機能を波及させるため、楽一で好評だった新ウェブ機能を新たなネットビジネス入門サービスとして仕立て、より幅広い層への販売を狙っている。

ネットビジネスエントリーシステムとして新規代理店を獲得

累計8万台の販売実績

大口拓也
SME事業部 販売促進課 課長
 「楽一」は、納品書・売上帳・請求書といった販売管理や、会計・給与など基幹業務を中心としたオフィス業務をワンパックにしたハードウェアとソフトウェアを一体型にした機器。液晶画面やキーボード(テンキーを含む)、プリンタ、販売管理などのソフトが一体になっており、キーボード操作に不慣れでITを敬遠するような従業員数10人以下の国内の中小企業やSOHOを中心に導入が進んだ。「楽一」でIT化促進に貢献したことが評価され、2年前には「情報化促進企業」として経済産業大臣賞を受賞している。

 カシオ情報機器では9か月ほど前、この「楽一」の機能をより広範なユーザー層へ拡販するため、ホームページ(HP)作成やウェブサービス機能を追加した新製品を発売した。

仲村貞彦
戦略企画部 SME企画室 室長
 ウェブサービス機能を含めた新機能は、「CR(Customer Relationship) SYSTEM」で、企業PRサイトの構築や商品を陳列・販売できるショッピングサイトなどを備えた「カシオOfficeWEBサービス」や、ショッピングサイトと連動し受注から発送までネット販売を支援する「CR販売管理システム」、商品発送時に同封するチラシやPOP作成などの機能を搭載した「プロモーション支援」を備えている。

 ウェブサービス機能を付加した理由について、大口拓也・SME事業部販売促進課課長は「『楽一』を所有する中小企業・SOHOのお客さまのHP作成率は、わずか26%と少ない。ネット通販市場が拡大し、既存のビジネスが大きく変わっていく中、小規模企業は発信すべきこだわりの商品や技術を持っているにもかかわらず、ネットを活用してそれをPRしたり、ECサイトでお店を出して販売したりするノウハウや機会がなく、現状から脱皮できていない。ここに至る最初の機能として、ウェブサービス機能を提供し、お客さまの売り上げ増に貢献しようと考えた」と、開発の経緯を語る。


商品陳列が自由自在

 複数ある機能のうち、こうしたITの利活用が苦手な層向けとして注目されるのが、「CR販売管理システム」にある「かんたん商品陳列」機能だ。「販売管理システムからウェブに触れることなく簡単に商品ページを更新でき、タイムリーな商品陳列ができる」(大口課長)という。従来、中小企業・SOHOが自社でECサイトや商品陳列サイトをつくる場合、モールサービスを利用するか、ソフトウェア開発会社に委託してサイトを構築する。しかし、小規模ユーザ企業では、コンテンツを更新する知識やスキルを持つ人材がいない、ネットでPRするためのノウハウがない、などの理由で運営維持が困難、あるいは更新を委託すると、コンテンツを更新するごとに料金がかかり、しかもタイムリーな変更ができない。そのため「更新が面倒になり、サイトが死ぬ」という状況になっていた。

 商品陳列がユーザー企業側で可能となり、しかも「カート」機能で決済したうえに、販売管理システムで集計もできる。同社がこれまで知り得た中小企業・SOHOの実情を念頭に置いた、実に簡単なシステムに仕上がっている。

 このウェブサービス機能は、2010年秋、「楽一」以外の端末で動くシリーズとして提供を開始した。それが「NS Series」だ。このソフトとの動作検証を終えたデルの「Windows 7マルチタッチ機能」を搭載したデスクトップとノートパソコンで利活用できるようにしたパックシリーズだ。仲村貞彦・戦略企画部SME企画室室長は「経営者が世代交代し、専用端末でなくパソコンで使いたいというニーズが出てきた」と、ITリテラシーの向上とともに利用環境も変わり、これに応える製品群を揃えたということだ。

 例えば、九州のある和菓子屋では「小売が主体で売掛処理が無いので、専用機『楽一』の全ての業務システム機能は必要ない」という要望が出ていた。一方でECサイトを自社で持ち商品をPRし、リピータ化を促進できるサービスは魅力だった。こうしたお客様にNSシリーズは最適だ」(仲村室長)という。

新規代理店を開拓

 今後、同社は既存約200社の販売代理店に加え、中小企業・SOHOと多く接し、この領域のシステム提案が得意で、HP作成などを手掛けるITベンダーを取り込み、より幅広い層へ拡販する体制を整える。「既存代理店や新規パートナーは、具体的でわかりやすいネットの活用を提案でき、幅広い層の顧客を獲得できる」(大口課長)と、パートナーには新たなストックビジネスを提供できると強調する。中小企業・SOHOの実情を知り尽くすカシオ情報機器だからこそできた新システムは、いま以上に日本のIT利活用を拡大することに貢献することだろう。

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