「高機能だが高価格。購入できるユーザー層は大企業に限られ、販売できるIT企業も、高度なスキルをもつ大手ITベンダーに限られるのではないか」──。

 EMCジャパンには、常にそんなイメージがつきまとっていた。同社は、ストレージ製品・サービス市場で、競合他社を圧倒する強いブランド力をもち、大手ユーザー企業への導入実績が多い。それゆえに、多くのユーザー企業とIT企業は、EMCジャパンを「つき合うのに敷居が高いIT企業」という印象を抱いているのだ。

 2011年2月、EMCジャパンはこのイメージを劇的に変える戦略製品「EMC VNXファミリ」を発表した。SANとNASをサポートするユニファイド・ストレージと呼ばれるモデルで、「中堅・中小規模クラスのユーザー企業向け」と明確に位置づけている。ポイントは「シンプル」「効率的」「お買い得」。ユーザー企業には、購入しやすい価格と、導入・運用しやすい操作方法を提供し、再販するIT企業にとってはストレージ特有の知識をもたなくても提案しやすく、そしてセットアップも容易になっている。

 中堅・中小企業(SMB)の情報システムでは、ストレージは場当たり的にダイレクトアタッチ型の機種を継ぎ足して、統合管理されていない状況にあることが多いといわれている。企業のシステムに所在するデータは、規模を問わず重要なはずだが、その貴重なデータを守るだけのシステムがSMBには備わっていないのだ。EMCジャパンは、そうした状況を今回の新製品で変えようとしている。

 「EMC VNXファミリ」は、「VNX」と、「VNX」よりも小規模なシステムに適した「VNXe」があるが、「VNXe」は大手ディストリビュータと戦略的に協業して、広くIT企業がユーザー企業に向けて提案できるようにした。販売をバックアップするためのツールと教育を用意しているだけでなく、販売支援プログラムを刷新して、IT企業が販売した際に得られるメリットを従来以上に増やしている。これまでEMCジャパンとは取引したことがないIT企業でも気軽に、ビジネス展開できるよう工夫したのだ。

 この特集では、EMCが「VNXファミリ」を投入した背景と経緯、そして製品の強みと販売戦略について、EMCジャパンでパートナービジネスを取り仕切る中山泰宏・執行役員パートナー事業本部長へのインタビューを基に紹介する。さらに、大塚商会、ソフトバンクBB、ダイワボウ情報システム、ネットワールドといった大手ディストリビュータの幹部に登場してもらい、「VNXeシリーズ」を取り扱うことを決めた理由と、拡販に向けた意気込みを語っていただいた。

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