2009年とは打って変わってIT業界全体が好調ぶりを取り戻した2010年。ストレージ関連ビジネスも好調に推移し、10年後半からは本格的に成長し始めている。ストレージベンダー各社は軒並み2ケタ成長を遂げており、好調を裏付ける結果となっている。エンタープライズはもちろん、これまでシステムとストレージが垂直統合型で、DAS(Direct-Attached Storage)の利用がメインだったSMB(中堅・中小企業)市場でも、サーバー統合やデスクトップ仮想化により、プール型のストレージを利用し始めている。そのため、仮想化をキーワードにストレージニーズを掘りおこす動きが出ている。メーカー各社は、ストレージ事業の成長路線をどのように敷いていくのか。主要メーカーの方々に、活発な意見を交換していただいた。


EMCジャパン
マーケティング本部 本部長
糸賀 誠氏

デル
ラージエンタープライズ ジャパンマーケティング本部 ストレージソリューション マーケティング部 エバンジェリスト
河南 敏氏

日本ヒューレット・パッカード
エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 ストレージワークス事業本部 製品マーケティング本部 担当マネージャ
宮坂 美樹氏

NEC
プラットフォーム販売本部 統括マネージャー
中山 儒一氏

<オブザーバー>
ノークリサーチ シニアアナリスト 岩上 由高氏

司会・進行:週刊BCN編集部 副編集長 木村 剛士


新たなニーズの掘り起こしを――

20%近い成長も
好調の10年を振り返る


 ──まずは自己紹介と、所属する組織や部門のミッションなどを教えてください。

 糸賀 EMCジャパンの糸賀です。3月まではプロダクトとソリューションを統括する部署にいましたが、今年4月からはマーケティング本部の本部長としてマーケティング全体を統括しています。

 中山 NECの中山です。サーバーやストレージ、ソフトウェア、ネットワーク機器などプラットフォーム製品全体のマーケティングを行うプラットフォーム販売本部のなかで、主にストレージ製品のマーケティングを統括しております。

 河南 デルの河南です。私が属するラージエンタープライズ ジャパンマーケティング本部では、大規模な会社のマーケティングを担当しています。また、ストレージのエバンジェリストとして各地に赴き、そこで新しいニーズを掘り起こす活動も行っています。

 宮坂 日本ヒューレット・パッカード(HP)の宮坂です。私が属する統括本部は、サーバー、ストレージ、ネットワークを包括した本部で、私は主にストレージ部門を担当しています。

 ──昨年のストレージビジネスは、どのような状況だったでしょうか。

EMCジャパン
糸賀 誠氏
 糸賀(EMCジャパン) リーマン・ショックの影響で、ここ1~2年は厳しい状況が続いていました。当社だけでなく、市場全体が同様の状況にあったと思います。しかし昨年は、ワールドワイドの対前年比の実績で売り上げが21%増、純利益で75%増となりました。ハイエンドの「Symmetrix」、ミッドレンジの「CLARiX」や「Celerra」と、特定の領域ではなく全方位で伸びたこと、またバックアップ製品が非常に伸びたのが特徴的でした。とくに10~12月期は過去最高の売り上げを記録し、非常に好調でした。また7月にはデータ・ウェアハウジングとビジネス分析のリーダーであるGreenplum、12月には急成長している「スケール・アウト」NAS(ネットワーク接続型ストレージ)で市場をリードするIsilon Systemsの買収を行い、製品群の大幅な強化を行いました。

 中山(NEC) ストレージビジネスが2ケタ成長しています。前回の座談会では「09年は厳しい市況」というお話をさせていただきましたが、昨年は投資意欲が戻り、市場が活性化している手応えを感じました。さらに、仮想化でサーバー統合を行う企業が増えていることも、追い風になっていると思います。サーバー統合を実施する際、従来はサーバーの内蔵ディスクで済ませていたお客様も、ストレージを使い始めています。また、シンクライアントのようなシステム製品の中で使われるなど新しい需要が生まれたことも、この好調ぶりに貢献していると思います。

 河南(デル) 当社も非常に好調でした。ワールドワイドの売り上げで16%増、純利益で84%増という結果が出てきます。ストレージも好調に推移し、iSCSI製品が顕著に伸びています。IDCの調査によると、「EqualLogic(イコールロジック)」はiSCSI市場で2008年第3四半期から2011年第4四半期まで、10四半期連続で首位を獲得しました。さらに、ポートフォリオを強化するため、クラスタストレージとして知られる Exanet社やストレージ最適化技術を持つ Ocarina Networks社、仮想化ストレージ・ベンダーのCompellent社などを買収しました。

 宮坂(HP) 当社も大変好調です。当社の場合、ポートフォリオが多いため、それぞれ若干のぶれはあるのですが、ワールドワイド全体として10%後半の伸びとなりました。09年が厳しい市況感だったため、08年の水準にまで戻すという目標を掲げていましたが、その目標は達成できました。また、ストレージ部門においてはレフトハンドやアイブリックス、スリーパーなどを買収し、ポートフォリオを強化して全方位での展開ができるようになりました。クラウドが注目されていることを背景に、ストレージについても仮想化への関心が高まるお客様が増えています。昨年後半は、サーバーだけでなくストレージも含めた仮想化が必要という認知が広がったと感じています。

[次のページ]

次へ