好況・不況に関係なく、ユーザー企業の情報システムは、データを日々生成し続けている。貴重なデータの格納庫となるストレージは、データ量の増大に合わせて増強しなければならないもので、ユーザー企業は継続的に投資を余儀なくされるツールである。2010年、多くのストレージベンダーは好調な販売実績をあげており、今後も成長すると見込んでいる。IT分野において安定成長が確実な、数少ない有望市場であるストレージの実情をみる。

 ストレージ市場を取り巻く環境は、中長期的にみて有望とみられる。まず、ユーザー企業にとって、他のIT製品・サービスに比べて投資が必須な分野であることが挙げられる。企業規模や業種を問わず、どのユーザーでも情報システムは、日々、データを生成し続けている。それぞれのデータ自体の容量も増えており、企業が保持しなければならないデータの総量は増え続ける。したがって、データの格納庫であるストレージの需要も自ずと伸びていくという循環が働いている。

 調査会社IDC Japanによると、ストレージ関連ソフトウェアの年平均成長率(CAGR)は、2009年から2014年までで2.2%と見込まれている。また、ネットワークを通じてストレージの機能を提供する「Storage as a Service」のCAGRは同期間で6.9%。ともに右肩上がりの成長を予測している。

 データ容量の増大という理由だけでなく、ストレージ市場を活性化させる要因は多い。その一つが「仮想化」だ。仮想化は、今のところサーバーが主流だが、今後はストレージでも仮想化技術を取り入れる機運が強まってくる可能性が高い。ストレージの仮想化とは、物理的なデータ保存エリアを仮想的に統合したり分割したりして、物理的な保存制限を意識せずにデータを大量に保存できるだけでなく、利用されていないストレージシステムを有効活用することも可能となる。

 ストレージの仮想化は、2000年代前半からキーワードになってきたが、「09年頃から実需が出始めてきた」とストレージメーカー各社は口を揃える。最近では大手企業や一部の先進的な企業だけでなく、中堅・中小企業(SMB)でもストレージの仮想化に興味を抱くところが増え、ユーザー層も拡大している。SMB市場でのストレージ仮想化は、まさに2011年が元年と言われている。

 もう一つのキーワードとして急浮上しているのが、「VDI」だ。VDIとは「Virtual Desktop Infrastracture」の略称で、従業員一人ひとりが利用するパソコン環境をデータセンター(DC)などにある仮想システムに移して、ネットワーク越しにクライアント環境を利用する手法だ。VDIを実現する場合、クライアント端末とサーバー、そしてストレージと関連ソフトウェアの連携が必須で、VDIが伸びればストレージの販売にも弾みがつく可能性が高い。VDIはまだ先進的な分野で、利用は一部のユーザー企業に限定されるが、次世代のクライアント環境として注目度が高く、今後の伸びが期待できる。

 各企業・団体が保有しなければならないデータの量は年率50%で伸びるといわれ、しかもデータ量の増大は企業規模や業種を問わない。つまり、どの企業であってもターゲットとなり得る市場といえる。データ量の増大に、仮想化、VDI、クラウドといったキーワードによる需要の喚起が組み合わさったストレージは、今が旬のソリューション分野といえる。

 ストレージメーカー各社は、販売パートナーが売りやすい環境をつくるために、さまざまな支援活動を展開している。まだストレージビジネスを手がけていないIT企業にとっては、今後の成長エンジンとして着目する価値は十分にある商材となるだろう。

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