東日本大震災では、寄付金を募る偽サイトが現れたり、計画停電でサーバーを停止させなければならない状況に見舞われたりなど、ITにもさまざまな影響が及んだ。こうしたセキュリティのリスクに対応する製品や、節電対策に役立つソリューションがある。例えば、フィッシングサイトへの有効な対策として、ウェブフィルタリングソフトが挙げられる。震災とは直接には結びつかないものの、まだまだ続くウェブのぜい弱性を突いた攻撃にはウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)が有効だ。また節電対策なら資産管理製品がある。企業内のIT資産を可視化するソリューションを上手に利用すれば、セキュリティも節電対策も万全だ。
震災で判明したさまざまなリスク
セキュリティ製品で上手に対処
東日本大震災で、日本中がかつてないほど騒然としたこの2か月。この間、誤った情報を流すチェーンメールや、被災者への寄付を募る偽サイトが登場して世間を惑わせた。お金や個人情報を盗まれるリスクの高いフィッシングサイトには、常日頃から用心しておく必要がある。
こうした有害サイトへのアクセスを防ぐ役割を果たすのが、アルプスシステムインテグレーションのウェブフィルタリングソフト「InterSafe WebFilter」だ。これを利用すれば、クライアントPCのインターネットアクセスを制御することができる。
また、ウェブのぜい弱性をついたSQLインジェクション、クロスサイトスクリプティングなど、まだまだ脅威の出現は続く。ウェブアプリケーションへの攻撃を防御する有効な手立てとなるのが、ウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)だ。インパーバジャパンの「SecureSphere WAF」は、国内で金額シェアNo.1を誇る製品だ。
東日本大震災後のキーワードとなっているのが「電気」である。クオリティソフトでは、企業の節電対策に役に立つクライアントPCの節電対策として有効な「グリーンITプラグイン(QPM)」を提供している。電力削減効果を可視化できるという。エムオーテックス(MOTEX)のクラウド型ネットワークセキュリティサービス「クラウドCat」を導入することによって、ムダを可視化できた事例も報告されている。
インパーバジャパン/マクニカソリューションズ
WAF・DBセキュリティ・ファイルセキュリティをトータルに提案
インパーバジャパン(インパーバ)は、昨年ファイルセキュリティを日本市場に投入し、従来のウェブアプリケーション、データベースに加え、ファイルサーバー上のデータまで含めた包括的なデータセキュリティを提供する。また、マクニカネットワークスの100%子会社として設立されたマクニカソリューションズとの協業を発表、「SecureSphere」の精力的な拡販に乗り出す。
セキュリティ分野を得意とするマクニカソリューションズと協業  |
インパーバジャパン ジェネラルマネージャー 長坂美宏 氏 |
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マクニカソリューションズ 営業部 2課 有川博史 氏 |
インパーバは、データセキュリティソリューション「SecureSphere」シリーズを手がける米国のセキュリティメーカーで、2002年に創業した。その日本法人であるインパーバジャパンは2007年に設立後、ウェブアプリケーションファイアウォール(WAF)で実績を伸ばし、200社弱の納入実績で国内トップシェア(金額ベース)を誇る。主力である「ウェブアプリケーションセキュリティ」、データベース(DB)への攻撃や不正アクセス監査を提供する「DBセキュリティ」を事業の柱としている。昨年、ファイルサーバーやNASに保存された非構造化データを管理、保護する「ファイルセキュリティ」を新たに追加。三つの観点からトータルソリューションを展開している。
一方、マクニカソリューションズはマクニカネットワークスの100%子会社として2011年4月1日に設立された。マクニカネットワークスはSIerやクラウド事業者を通して、ネットワークの設計、構築、運用と特にセキュリティ分野において実績が評価されている。マクニカソリューションズはインパーバのトータルソリューションはもちろん、大規模ネットワーク向けの仮想ネットワークセキュリティプラットフォーム「Crossbeam Xシリーズ」も取り扱う。これにより、マクニカネットワークスの強みを継承しつつ、ファイアウォールやIDS/IPSなどを含めた「ベスト・オブ・ブリード」のトータルネットワークセキュリティをワンストップで販売し、技術支援にも力を入れるなど、独自の販売形態を強化する。
WAF、DBセキュリティを単一プラットフォームで提供可能 マクニカソリューションズ 営業部 2課の有川博史氏はSecureSphereについて「ウェブアプリケーションのセキュリティを検討するユーザーの多くはDBのセキュリティにも課題を抱えています。インパーバのSecureSphereではウェブアプリケーションとDBのセキュリティを単一プラットフォームにて提供できる点が他には無い優位点です」と話す。ログインユーザーの特定が重要となるDB監査の観点からも、ウェブアクセスとDBアクセスを関連付けし、ログインユーザーの特定まで可能なSecureSphereは選択されてきた。また、自己学習による自動ポリシー設定機能によりユーザーは手作業でのルール作成・チューニング作業にかける手間を最小限に抑えることができる。
インパーバではハードウェアアプライアンスや仮想環境で動作するバーチャルアプライアンスに加え、大規模ネットワーク向けの仮想ネットワークセキュリティプラットフォームである「Crossbeam Xシリーズ」にも対応している。エンドユーザーは要件にあわせて、柔軟にプラットフォームを選ぶことができる。主力のSecureSphere WAFはインラインでの設置が可能で、ネットワークの設定変更を必要としない。導入、運用の手軽さから市場の評価は高い。
インパーバジャパンの長坂ジェネラルマネージャーは「新たな商材であるファイルセキュリティソリューションでCADデータを保有している企業や、医療機関など、幅広い業種にアプローチしていきたい」と意気込みを語る。また、国内で普及が進むクラウド環境でも、セキュリティを担保するためのソリューションは必要不可欠であることから、クラウド事業者への製品提案を強化することで、大きなビジネスチャンスにつながるとみている。