データセンター(DC)サービスなどを手がけるKVH(リチャード・ウォーリーCEO)は、クラウド型の電子メールフィルタリングサービス「KVHMailScan MX」を本格的に立ち上げた。従来のソフトウェアやアプライアンス方式では実現が難しかった点を、クラウド方式によって抜本的に改善。使い勝手の向上を図るとともに、保守運用の手間も大幅に軽減している。
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上野 博行 マネージャー |
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アンドリュー・モイ スペシャリスト |
KVHはDC事業者として国内4か所に大型DCを展開。このインフラをフルに活用することで、「高品質で安定したクラウド型メールフィルタリングサービスをビジネスパートナーと協業して提供していく」(上野博行・営業開発部パートナービジネスグループマネージャー)としており、自社の大規模DCとパートナーとの関係強化を通じてビジネスを伸ばす。
電子メールフィルタリングは、スパムや迷惑メールを排除する仕組みで、電子メールの正常な運用に必要不可欠な要素である。ほとんどの企業が自前のサーバーにメールフィルタリングソフトをインストールしたり、ハードウェアと一体となったアプライアンス型製品を使っている。ただ、いずれもハードウェアを自社内、またはDC内に保管し、メンテナンスし続けなければならない手間と費用が発生する。ソフトライセンス費用やアプライアンス製品を購入する初期費用も決して安くはない。
この点、KVHのクラウド型「KVHMailScan MX」サービスは、ライセンスやハードウェア購入などの初期費用を必要とせず、ユーザーは運用保守からも解放される。さらに、過去1週間程度のメールをKVHのDCに保存し、万が一、災害などでメールサーバーに致命的な障害が発生しても直近分を復旧できるなど「事業継続(BCP)にも役立つ」(アンドリュー・モイ・サービス・ストラテジー&デザイン部PaaSグループスペシャリスト)。
月額定額の料金で、いつでも必要なときに必要なだけ利用できるクラウドの特性を前面に押し出すとともに、販売面ではSIerをはじめとするビジネスパートナーと協業しながら普及促進を図る。

