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<ビットアイル×日本マイクロソフト 特集> Windows Server管理に最適なプライベートクラウド  「CLOUD CENTER for Windows」を本格スタート

2012/05/10 19:55

週刊BCN 2012年05月07日vol.1430掲載

 大手データセンター(DC)事業者のビットアイルは、「CLOUD CENTER for Windows」の商用サービスを4月17日に開始した。日本マイクロソフトの最新のプライベートクラウド管理システム「System Center 2012」を全面的に採用。Windowsプラットフォームに特化しSystem Center 2012 を組み込んだ形でプライベートクラウドサービスを始めるのは国内では初めてだ。ビットアイルは、日本マイクロソフトのビジネスパートナーとの連携も深め、Windowsベースの“エコシステム(生態系)”の活性化に貢献。自らのクラウドビジネスの拡大につなげていく方針を示す。

BCPや省エネでクラウド化が進む

ビットアイル
福澤克敏
マーケティング本部
サービス開発部部長
ビットアイル
鎌田健太郎
マーケティング本部
サービス開発部主任
日本マイクロソフト
野中智史
パートナークラウド営業部
パートナーアライアンスリード
日本マイクロソフト
佐藤秀忠
パートナークラウド営業部
ソリューションスペシャリスト
 ビットアイルは、4月にプライベートクラウド管理システム「System Center 2012」の製品版がリリースされたのを受けて「CLOUD CENTER for Windows」の本格的な商用サービスを4月17日からスタートした。同社ではこれに先立つ今年2月28日、「System Center 2012」製品化前のRC版を使ったクローズドβ(ベータ)サービスを提供していた。β版、商用版ともにWindowsプラットフォームに特化したプライベートクラウドサービスとしてSystem Center 2012を採用し、アプリケーションの運用監視までを見据えたプライベートクラウドサービスの提供を開始したのは国内初(日本マイクロソフトでパートナークラウド事業を担当する野中智史・パートナークラウド営業部パートナーアライアンスリード)である。

 「System Center 2012」の製品版に先立って提供を始めた「CLOUD CENTER for Windows」βサービスでは、「多くのユーザー企業から試用の申込みが殺到し、4月17日の商用サービス開始後も非常に多くの引き合いをいただいている」(CLOUD CENTER for Windows事業を担当するビットアイルの福澤克敏・マーケティング本部サービス開発部部長)と、ユーザー企業からの関心の強さに驚きを隠さない。

 ビットアイルの調べによれば、現在国内で稼働しているサーバーのうち6割余りが客先設置(オンプレミス)型であり、この大多数がWindowsサーバーによって占められている。東日本大震災の発生を契機にユーザー企業は、BCP(事業継続計画)のあり方や、電力消費の抑制対策に乗り出しており、プライベートクラウドサービス「CLOUD CENTER for Windows」は、こうしたニーズに対する有力な回答の一つとして存在感を示しているのだ。

 多くのIT機器を集中的に管理するデータセンター(DC)はエネルギー効率が非常に高く、耐震性にもすぐれている。BCPの観点からみたメリットも多いことから、オンプレミス型のサーバーをDCに移設したり、クラウドサービスへとマイグレーションするユーザーが急増。日本マイクロソフトの佐藤秀忠・パートナークラウド営業部ソリューションスペシャリストは、「オンプレミス型サーバーは、Windowsサーバーの比率が高いばかりでなく、2015年7月に延長サポートが終了する予定の『Windows Server 2003』の割合も高い」と、向こう3年間は、リース切れや延長サポート終了のタイミングでオンプレミス型サーバーの大規模なマイグレーションが続くとみる。

自由度高いハイブリッド強みに

 DCを活用したマイグレーション方式としては、従来型のホスティング/ハウジングだけでなく、クラウドコンピューティングの採用、あるいはクラウドと他の方式を組み合わせたハイブリッド型など多彩な選択肢がある。ビットアイルの鎌田健太郎・マーケティング本部サービス開発部主任は「いずれの方式にも柔軟に対応し、なおかつ相互の連携がとれるハイブリッド方式に対応していることが当社の大きな強み」だと胸を張る。ハイブリッドに対応することで、ユーザー企業はコストパフォーマンスや拡張性にすぐれたクラウド方式へとマイグレーションしやすくなる。

 日本マイクロソフトも、ユーザー企業がオンプレミス環境で運用するシステムをクラウド上へ移し替えるとき、Windowsサーバーに関連する主なアプリケーションライセンスをそのままクラウド上に持ち運べる「ライセンスモビリティ制度」を用意し、ユーザーのクラウド移行をバックアップする。ビットアイルの福澤部長は、「当社はユーザー企業の多様なシステム環境を受け入れられるプラットフォームを整備し、日本マイクロソフトもオンプレミス型からクラウド型へと橋渡しするライセンスモビリティ制度でユーザー企業を支援している」と、クラウド移行の環境整備が整ったことに言及している。

 ビットアイルは、マルチベンダー方式でユーザー企業の多様なITシステムを受け入れられるDCサービスを基本方針とするが、今回は日本マイクロソフトの「System Center 2012」を採用した「CLOUD CENTER for Windows」という特定プラットフォームのサービスを始めた。この背景には、現実問題として中堅・中小企業の、とりわけオンプレミス型サーバーの多くがWindows環境で占められていることがある。さらに、Windowsプラットフォームをベースとする“エコシステム(生態系)”に参画するという狙いもある。


ビジネスパートナー連携を重視

 Windowsプラットフォームのエコシステムには、SIerやソフト開発ベンダー(ISV)など多くのベンダーが関わっており、ビットアイルは「プラットフォーマーに徹することで、日本マイクロソフトのビジネスパートナーがビジネスを展開できる機会をさらに多く確保することで、エコシステムの活性化に寄与したい」(ビットアイルの福澤部長)と、エコシステムの一員としてビジネスパートナーとの連携を重視する。

 ビットアイルでは、2011年10月、クラウドサービス「サーバオンデマンドNEXT」の「ビットアイルクラウドパートナープログラム」を始動させるなど、ビジネスパートナーとの連携に力を入れてきた。「サーバオンデマンドNEXT」は、ビットアイルのクラウドサービスブランド「Cloud ISLE(クラウドアイル)」の一つで、今回の「CLOUD CENTER for Windows」も「Cloud ISLE」の1サービスという位置づけだ。福澤部長は「『CLOUD CENTER for Windows』でもパートナープログラムを適用し、営業や技術などでビジネスパートナーとエコシステムを拡大させていきたい」と話す。

 「CLOUD CENTER for Windows」は、システム構築やカスタマイズなどの自由度が非常に高いプライベートクラウドサービスである。これに「サーバオンデマンドNEXT」や既存のホスティング/ハウジング、あるいはユーザー企業先にあるオンプレミス型のシステムとも連携させることでシステムの拡張性はさらに高まる。ビットアイルでは、ユーザー企業にとって最適なシステムをSIerやISVといったパートナーと連携して構築していくとともに、全国にビジネスパートナー網をもつ日本マイクロソフトとの営業や技術面での連携を深めていく方針を示す。自らは信頼性の高いプラットフォームサービスの提供に注力することで、エコシステムの活性化を刺激し、ひいては自らのクラウドビジネスを伸ばしていく考えだ。

(写真左から)日本マイクロソフトの佐藤秀忠氏、同社の野中智史氏、ビットアイルの福澤克敏氏、同社の鎌田健太郎氏


ビットアイル:CLOUD CENTER for Windows
http://www.bit-isle.jp/ccfw/

日本マイクロソフト:System Center
http://www.microsoft.com/japan/systemcenter/
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外部リンク

ビットアイル=http://www.bit-isle.jp/

「CLOUD CENTER for Windows」=http://www.bit-isle.jp/ccfw/

日本マイクロソフト=http://www.microsoft.com/japan/

「System Center」=http://www.microsoft.com/japan/systemcenter/