「BCN Conference 2012」では、ITベンダー各社のキーパーソンによるセッションに加えて、ブースも開設した。ユーザー企業のなかで導入の意識が高まりつつある「BYOD(私的デバイス活用)」の実現をはじめ、クライアント端末やドキュメントの管理、スマートフォンやタブレット端末の有効活用、ビッグデータ、オール・イン・ワン・クラウド、情報データ盗難対策技術、デジタルサイネージ、MDM、SaaS型ウイルス対策など、ITベンダーとも自社の強みを出した新しい製品・サービスを披露。クラウドサービスやモバイルを活用したソリューションでITビジネスのあり方を訴えることで、来場者であるSIerやサービス事業者などの関心を集めた。

<2012年10月18日開催「BCN Conference 2012 東京」レポート>

【日本事務器】
情報セキュリティ事業をSaaS/クラウド方式で強化

 有力SIerの日本事務器(NJC)は、SaaS/クラウド方式による情報セキュリティ事業を強化している。同社は、企業ユーザーの採用が相次ぐスマートデバイスの情報セキュリティ対策にいち早く対応するために、業界に先駆けてAndroid OSとMac OS対応版のSaaS/クラウド方式による「ウイルスバスタービジネスセキュリティサービスあんしんプラス」サービスの提供を10月22日に開始した。ユーザーは管理サーバーの運用を自ら行うことなく、WindowsとMacの両OS、スマートデバイスのAndroid OSを一元的に管理できるのが特徴だ。

 また、サーバー側への対策では、同様にSaaS/クラウド方式によるサーバーぜい弱性対策サービス「ServerVirtualPatchあんしんプラス」を今年6月に投入。サーバーにぜい弱性が見つかった場合、開発元から修正パッチがネット経由で配信されるが、動作検証などの時間が必要であり、24時間休みなく稼働するサーバーの特性上、すぐにパッチを当てられないのが実情だ。NJCのこのサービスでは、サーバーのぜい弱性をリモートで補強する。管理はNJCのクラウドセンターで行うので、ユーザーが運用負荷を負うことはない。

 NJCの西浪一雅・プラットフォームソリューション事業推進部チーフは、「ユーザーの運用負荷を軽減する当社の情報セキュリティサービスへの引き合いは好調で、とりわけ新規顧客からの問い合わせが急増している」と、ビジネスに手応えを感じている。

【マジックソフトウェア】
スマートデバイス対応全文検索システムを展示

 マジックソフトウェア・ジャパン(佐藤敏雄社長)は、「BCN Conference 2012」で全文検索システム「Smart DocFinder」を展示した。「速い」「登録が簡単」「的確に探せる」「どんなデバイスでも探せる」「メモや押印が保存できる」という特徴をもつシステムだ。

 全ページをダウンロード後に表示するのでなく、必要なページのみをダウンロード後に表示するので、3G回線でも、閲覧したいドキュメントを高速表示できる。キーワード/インデックス生成など管理作業は不要で、ユーザーは作成したドキュメントを自分で登録できる。デバイスは、iPad/iPhone、Android OS搭載スマートフォン/タブレット、Windows Phone、Macなどに対応している。

 閲覧している資料には、マーカー、ペン、付箋で追記できる。富士ゼロックスの「net Print」に対応しており、セブン-イレブンに設置された複合機で資料を印刷できる。首都圏営業部アカウントマネージャーの川合清正氏は、「サーバーから瞬時に必要な情報を探し出すことができる。ドキュメントに書き込んだ内容はサーバー側で管理する」と説明した。

 2011年3月に提供を開始して以来、大和ハウス工業はじめ、商工会議所や教育機関、医薬品メーカーなど、業種を問わずに導入が進んでいる。大和ハウス工業では、営業担当者がプレゼンテーションや顧客への提案に活用しているという。このほか、ITベンダーに対する検索機能などのOEM(相手先ブランドでの提供)提供を進めている。

【丸紅アクセスソリューションズ】
好調ぶりを示す「VECTANT SDM」

 「BCN Conference 2012」で丸紅アクセスソリューションズが展示したのは、MDM(モバイル端末管理)サービス「VECTANT SDM(セキュアデバイスマネージメント)」だった。このサービスは、端末の「活用」に焦点を当てたことでユーザー企業から好評を得ている。

 スマートフォンやタブレット端末の管理や制御、盗難や紛失など緊急時のリモートロックなど、MDMの基本的な機能に加え、社内の連絡事項などを各端末に暗号化して配信するコンテンツ配信の機能、社内へのVPNアクセス機能も提供していることが特徴。ユーザー企業は、システム管理者がIT資産を管理をするだけでなく、端末の利用者である社員が有益な情報を収集できるという利便性があって導入しているのだ。料金は、付加機能によって異なるが、1端末あたり月額で150円からに設定。低価格で使えるという点も好評のようだ。

 販社を増やすための取り組みも進めており、その一つがAPIの公開である。ISVやSIerが自社アプリケーションと「VECTANT SDM」を組み合わせてユーザー企業に提供できるようになる。

 企業でのスマートフォンやタブレット端末の利用が増えていることから、MDMのニーズが高まっているとの見方が強く、端末の管理を徹底的に行うMDMソリューションを提供しているベンダーが多い。そんななか丸紅アクセスソリューションズでは端末の管理だけでなく活用にも着目しており、今年4月の提供開始から約6か月間で130社が導入、1万端末で利用されるようになったという。

【三菱電機】
「カンタンサイネージ」で需要を拡大

 「BCN Conference 2012」で三菱電機が展示した「カンタンサイネージ」は、これまでの電子看板・デジタルサイネージの概念を覆すソリューションで、ユーザー企業のすそ野を広げることが期待されている。

 「カンタンサイネージ」の最大の特徴は、「SDカードスロットと専用メディアプレーヤーを内蔵しているモニター」という点だ。今までのサイネージ用ディスプレイと異なり、コンテンツ入りSDカードを挿入すると自動的に繰返し再生するので、全くの手間いらず。DVDプレーヤーやパソコンなどの配信システム/周辺機器が不要で、誰でも簡単に導入できる。

 また「カンタンサイネージ」はスピーカーを内蔵しており、動画音声の再生はもとより、静止画にあわせたMP3音声の再生ができる。それに加えて、テレビチューナーを搭載しているので、緊急時にはニュースや気象情報等のテレビ番組へ切り替え、情報を収集することも可能だ。

 三菱電機はコンテンツ制作にも力を入れており、小売業や飲食業などのオーナー向けに「三菱電機カンタンサイネージクラブ」を会員制で提供している。これに入会すると、ひな形コンテンツや相談窓口を利用できる。

 ご提案先は商業ビルや公共施設、食品スーパーやドラッグストア等の流通業が中心だ。ユーザー企業の導入の敷居を低くし、新規顧客を開拓できる有力な商材でもある「カンタンサイネージ」。三菱電機はデジタルサイネーシ゛のエントリーモデルとして「カンタンサイネージ」をさまざまなお客様に向けてアピールしている。


【ワンビ】
「トラストデリートAT」を訴求

 パソコンやスマートフォンに保存した個人情報や機密データを遠隔で消去するためのツール「トラストデリート」を展開するワンビ。

 「BCN Conference 2012」の展示ブースで、Ultrabookの情報データ盗難対策技術「Intel AntiTheft(アンチセフト)」に対応している新製品「トラストデリートAT」を披露した。

 「トラストデリート」は、盗難や紛失に遭ったパソコンのデータを、別のパソコンを使って遠隔で不可視や消去することができるもの。インテルが提唱しているUltrabookの「Intel AntiTheft」に対応している「トラストデリートAT」は、今年10月に発売。Ultrabookの起動を遠隔からロックしたり、端末内のデータを消去することが可能になっている。遠隔からのロックまたは、ロック&消去は、パソコン以外にスマートフォンからも命令を発行できる。

 提供の形態は、1ユーザー 年間6300円から利用できて、管理サーバーは、ワンビがクラウド環境で提供しているコンソールを利用する。ユーザー企業で管理サーバーを構築するエンタープライズ版に加え、ワンビが運用するプライベートクラウド版の二つだ。

 ブースでは、マーケティング部の勝原雄介氏が「トラストデリートAT」のデモンストレーションを行い、来場者に対し、同製品の特徴や活用方法を説明した。

 勝原氏は、「『トラストデリートAT』は、従来のデータ消去に、Intel AntiTheftテクノロジーを利用した端末ロック機能を追加することによって、安心してノートパソコンを持ち出して仕事ができる環境を提供する」とアピールした。