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<BCN Conference 2012レポート>有力ベンダーが語る新時代の姿 テーマは「モバイル」「クラウド」

2012/12/06 15:49

週刊BCN 2012年12月03日vol.1459掲載

 BCN(奥田喜久男社長)は、IT関連の製品・サービスを提供するベンダーを対象としたプライベートイベント「BCN Conference 2012」を開催した。「IT商流が変わる! クラウド/モバイル時代に求められるSIer像とは?」をテーマに、まず10月18日に東京・品川で開催。また、ITへの関心が高く市場として今後も発展が期待できる地域として「広島」を定め、11月2日には広島県でも開催した。各セッションでは、有力ベンダーのキーパーソンが、クラウドサービスやモバイルを中心に自社の製品・サービスの優位性をアピールしたほか、新しい時代のあるべき姿を訴求。来場者に斬新な「ビジネスモデル」や「売り方」を知る機会を提供した。


生き残るためのSIとは モバイル向けビジネスが必須に

 「BCN Conference 2012」の基調講演では、デロイトトーマツコンサルティング(DTC、近藤聡社長)の八子知礼TMTインダストリユニットパートナーが「モバクラ時代を生き残るために必要なSIビジネスの条件」について語った。「モバクラ」とは、「モバイルクラウド」のことで八子氏が提唱する概念だ。八子氏は、ITベンダーが生き残るためには、クラウドサービスの活用を視野にモバイル向けビジネスを手がけることが必須であることを、SIerなど来場者に訴えた。今後はデータを保存する「所有」ではなく、モバイルによるデータを活用する「利用」を重視することがビジネスのポイントというわけだ。

 八子氏によれば、2006年頃からサーバーの仮想化が急速に進んでおり、その台数は2012年に1億台を超えることが予測されている。加えて、SaaS市場も活発に伸びていて、2015年までに現在の2倍に成長するという。「日本では、クラウドに関する理解度が高く、約90%のユーザー企業は『クラウドは自分に関係がある』という認識をもっている」と、市場のポテンシャルを解説した。

 また、モバイルデバイスの普及も急速で、スマートフォンやタブレット端末の販売台数は、近くグローバルで70億台を突破するという。こうした状況から、八子氏はスマートデバイス向けビジネスには大きな可能性があるとしたうえで、「SIerが生き残るためには、スマートデバイス向けビジネスに取り組まなければならない。今後はサーバーではなく、まずモバイルから考えて製品やサービスを開発する必要がある」ともアドバイスした。

 今やさまざまなモバイルデバイスがクラウドに接続する時代に突入しつつある。このような状況のなかで、「労働生産性が下がっている産業は、ITの導入率が低い。SIerは、汎用性の高いモバイルデバイスとクラウドを組み合わせたサービスを提案していくべきだ」と主張。具体的には、「ユーザー企業の生産性を改善する機会は広く存在している。とくに、落とすと壊れてしまうパソコンには不向きだが、壊れにくいスマートデバイスなら活用できるであろう工事現場などのブルーカラー領域には、アプリケーション開発の商機がたくさんがあるはず」と、具体的なビジネスフィールドを挙げながら熱弁を振るった。

 日本のIT市場は成長していくものの、大きな伸びが期待できないとの見方が強い。モバイルやクラウドサービスを軸とした新提案が成長のカギを握る。

<2012年10月18日開催 東京会場 各企業のセッションの詳細レポート>
・NECキャピタルソリューション
・NTTコミュニケーションズ
・コダック
・ソフトバンクBB
・JBアドバンスト・テクノロジー
・日本マイクロソフト
・日立システムズ

<2012年10月18日開催 東京会場 展示コーナーの詳細レポート>
・展示コーナーで11社がソリューションを披露 多彩な製品・サービスが勢揃い

<2012年11月2日開催 広島会場の詳細レポート>
・クラウド/モバイル時代のSIer像を指し示す
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外部リンク

「BCN Conference 2012」=http://biz.bcnranking.jp/sp/conference2012/

BCN=http://www.bcn.co.jp/