コダックは、主力のドキュメントイメージング事業で「モバイル」と「クラウド」「SharePoint」を主要なビジネスの軸に位置づける。企業ユーザーを分析すると、エンタープライズコンテンツ管理(ECM)とモバイル、クラウドとの連携は必ずしも望ましいものではなく、コダックはここにビジネスチャンスがあると判断。同社が強みとするECM領域において、モバイルとクラウド、さらにはMicrosoft SharePointを積極的に活用することでビジネス拡大につなげる。

<2012年10月18日開催「BCN Conference 2012 東京」レポート>

モバイル、クラウドに課題山積

アジアパシフィックリージョン
ドキュメントイメージング本部
総責任者 Susheel John氏
 BCN Conference 2012で米イーストマン・コダックのSusheel John・アジアパシフィックリージョンドキュメントイメージング本部総責任者は、「コダックのアジア地域におけるドキュメントイメージング事業の今後の展望と展開」をテーマに講演を行った。ドキュメントイメージング事業はコダックの主力事業の一つであり、John総責任者は「モバイルとクラウド、Microsoftの情報共有プラットフォームSharePointを軸としたビジネス展開を行う」と表明している。

 この背景として、スマートデバイスをはじめとするモバイル端末からエンタープライズコンテンツ管理(ECM)へアクセスしていない企業が全体の75%を超えていることがある。クラウドについても76%余りの企業ユーザーが、明確な方針のない状態で場当たり的にパブリッククラウドを使ってコンテンツを共有している実態が、ECMに関する米非営利団体AIIM(Association for Information and Image Management)の調べで浮き彫りになっていることが挙げられる。

 John総責任者は、「モバイルデバイスやクラウドコンピューティングの急速な普及にECMが追いついておらず、ここに当社のECM製品やソフトウェアに対するニーズがある」とみている。コダックでは、ドキュメントスキャナや管理用のソフトウェア、スマートデバイスのカメラを使った文書取り込み用アプリケーションソフトなど、さまざまなECM関連製品を開発している。とりわけドキュメントスキャナでは、コンパクトモデルから大量集中処理向けモデルまで、業界トップクラスの幅広いスキャナ製品ラインアップを誇る。

 こうした製品やソフトウェアで取り込んだドキュメントコンテンツを企業ユーザー全体で共有するメインのプラットフォームとしてMicrosoftの「SharePoint」を推奨している。「SharePoint」は2010年の時点で世界約10万台のサーバーにインストールされており、直近では16万5000台に増えているとコダックではみている。Microsoft史上のなかでも最も急成長を遂げた製品の一つであり、「『SharePoint』を導入したユーザーのうちの約8割が社内コラボレーションとドキュメント管理について“期待通り”だと評価している」と、John総責任者はSharePointをメインのプラットフォームに選んだ理由を話す。


ECMと密接連携で強みを生かす

 コダックが注目するモバイルやクラウドは、企業ユーザーの生産性を大きく高める効果が確認されている。AIIMの調べによれば、企業ユーザーの実に45%余りが、モバイルデバイスからECMを含むオフィス環境にアクセスできれば生産性が3割以上高まると回答している。その内訳をみると、外出先や出張先、自宅など場所や時間の制約を受けないモバイルの機動性を生かし、およそ45%の企業ユーザーがコミュニケーションのレスポンスが3倍ほど速くなり得ると予測するという結果が出ている。

 モバイルデバイスの活用は、企業の生産性を高めるうえで必要な要素であるとともに、モバイルデバイスから情報セキュリティや利便性を保ちながらECMなどユーザー企業のオフィス環境への接続を果たすことも不可欠になっている。コダックでは、さまざまなモバイル対応のドキュメントソリューションを用意するのと並行して、SharePointといった情報共有プラットフォームと組み合わせることで、企業におけるモバイルとECMの密接な連携を実現していく。

 クラウドに関しても、ECMと密接な関係がある。オンラインストレージなどのとりわけパブリッククラウドは、企業内ネットワークを守るために設置してあるファイアーウォールの外にいるプロジェクトメンバーとファイルやコンテンツを共有するなどの目的で多くの企業ユーザーが実際に活用している。自社のIT部門を通じての何らかの設備投資を行うには時間がかかるが、パブリッククラウドならば、すぐに使えて、利用料金も安い。また、モバイルデバイスとの親和性が高いなどの優位性を挙げるユーザーが多いことがAIIMの調査によって明らかになっている。

 課題はこうしたパブリッククラウドの活用が、エンドユーザー主導で行われている点にある。コダックのJohn総責任者は「パブリッククラウドでドキュメントのシームレスな共有を望んでいるユーザーが多いにもかかわらず、企業の情報システム部門がこうしたインフラを公式に用意しているケースは全体の2割弱に過ぎない」と指摘する。

 コダックでは、先のモバイル対応のECMと同様、クラウド利用においてもECMをより一段と活用してもらえるように関連商材を拡充していくことで、ビジネス拡大につなげる考えだ。