データセンター向けの物理インフラソリューションや無停電電源装置(UPS)で知られるシュナイダーエレクトリックは、現在、小規模オフィスに向けた「InfraStruxure for Small ITソリューション」の展開に力を注いでいる。日本の電力需給が大きく変化するなか、同社ビジネスデベロップメント・プロダクトマネージャーの伏見知子氏は、「大企業の多くは、データセンターの効率的な管理・運用を目指して、具体的な戦略を進めている。しかし、中堅・中小企業(SMB)に目を向けると、オフィス内のITスペースについて、具体的な対策を講じていないケースが多い。当社はこの分野で新たな提案を行い、お客様の課題に応えていく」と、展望を語る。その戦略を追った。
ノウハウを生かした統合ソリューション
小規模オフィスの電力環境を改善

ビジネスデベロップメント
HBNビジネスデベロップメント
マネージャー
神谷 誠 氏 シュナイダーエレクトリックは、SMBのオフィス、大規模企業の支店(ブランチオフィス)や遠隔地のオフィス、クリニック、スタジオ、会議室といった小規模オフィスのITスペースを「Small IT Space」と位置づけている。「Small IT Space」の現状について伏見氏は、「SMBやリモート拠点などでは、企業内にIT専用のスペースを確保することが難しい。そのため、サーバーやネットワーク機器の電源管理を見落としているケースもある」と説明する。
さらに、モバイル端末のビジネス活用が進んでいることも影響している。ネットワークを通じて外部から「Small IT Space」に接続する機会が増え、アクセス数やデータ量が増加。IT機器への負荷が大きくなっているため、「Small IT Space」の見直しは必須の状況だ。
そこで、シュナイダーエレクトリックでは、同社がこれまで揃えてきた製品ラインアップや培ってきたノウハウをソリューションとして統合した「InfraStruxure for Small ITソリューション」を市場に提案する。
例えば、サーバールームが存在しない小規模なレンタルオフィスの場合は、防音性にすぐれたサーバーラック「NetShelter CX」を部屋のコーナーに設置し、その中に「Smart-UPS」を入れるだけで電源環境が整う。さらに、サーバー搭載後に配電用のラックマウントPDUを活用し、各機器の消費電力をリアルタイムでチェックすることも可能だ。「交換可能な換気ファンを搭載しているので、熱だまりを防ぐことができる。また、セキュリティ性を重視してドアロック機能も用意した。このように、当社がこれまで培ってきた独自のノウハウを投入した製品となっており、導入すれば管理・運用面で数多くのメリットが得られるはず」と、ビジネスデベロップメント・HBNビジネスデベロップメントマネージャーの神谷誠氏は強調する。
これに加えて、TCO削減にも貢献する。実際に、ITスペースにサーバールームを構築して管理・運用を続けたケースと、「InfraStruxure for Small ITソリューション」を導入したケースを比較した場合、「年間数百万円のコスト削減につながる」と伏見氏は試算を示す。
3~5台のサーバールームをすでに運用している中規模企業に対しても、効果の高いソリューション提案を進めている。ベンチャー企業など、将来の急速な成長を視野に入れる企業に対しては、拡張性の高いUPS「Symmetra LX」を提案。セキュリティ面については、カメラを利用した監視ソリューション「NetBotz」を採用し、サーバールームの監視・管理を容易にした。
パートナーにも大きなメリット
ビジネスを拡大させる起爆剤に

ビジネスデベロップメント
プロダクトマネージャー
伏見 知子 氏 今後は、パートナー企業に対して「InfraStruxure for Small ITソリューション」をパターン化したソリューションガイドなどを提供し、販売促進に力を入れていく。さらに、顧客のIT環境に合わせてシミュレーションできるツールを用意するなど、パートナー企業が提案しやすい土台づくりを進めていく。「『InfraStruxure for Small ITソリューション』は、お客様のIT環境のインフラを担うソリューションとなる。そのため、パートナー様にとっては、システム提案の初期段階で訴求しやすい商材となっている。当社は今後、『InfraStruxure for Small ITソリューション』に関するツールなどを提供する予定なので、これをぜひご活用いただきたい」と神谷氏は説明する。
最後に、パートナー企業が「InfraStruxure for Small ITソリューション」を展開した際のビジネスチャンスについて、伏見氏はこう述べた。「グローバル規模で比較すると、『Small IT Space』の数はデータセンターに比べて圧倒的に多い。そのため、この分野でのお客様ニーズに応えていくことが、パートナー様にとっても新たなビジネスチャンスにつながる可能性がある。市場規模が大きいだけに、SMBに特化したパートナー様にとっては、とても魅力的な商材になるはず」(伏見氏)。
シュナイダーエレクトリックがこれまで単体で提供してきた製品を、ニーズに合ったソリューションとして統合することで、エネルギー管理がより効率的になるほか、コスト削減やセキュリティの強化など、多くのメリットを与えられるようになる。IT機器の効率的な管理・運用に課題を抱えるSMBのニーズに応えるとともに、パートナー企業にとっては、より大きなビジネスチャンスが期待できそうだ。今後の展開が市場に大きな影響を与えることは間違いない。
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