金融機関向けソリューションのリーディングカンパニー、三井情報(以下、MKI)。金融機関向けソリューションを長く手がけてきたノウハウを生かして、融資審査、決済から市場運用に至る金融業務プロセスのさまざまな局面に内在する「リスク」を分析し、管理する数多くのシステムを構築してきた。同社は、ユーザーのニーズに応えるべく、主力製品の機能拡張を続けている。とくに最近は、融資先への経営コンサル支援システムやパブリッククラウドを利用した企業財務分析サービスの提供など、活発な動きをみせている。同社の最新動向を紹介する。

長年培ったノウハウを応用し金融機関のニーズに応える

金融営業本部 本部長
小日山 功 氏
 長年にわたって、金融業務に特化したソリューションを数多く展開するMKI。とくに、リスクの把握・管理に対するノウハウを生かしたソリューションには定評がある。「リーマン・ショック以降、各金融機関では金融商品のリスクを数字で把握し、手元流動性を確保する“市場リスクの管理”が重要なキーワードとなっている。当社は、この分野で25年以上にわたって、大手金融機関様のニーズに応えてきた実績がある。リスクの計量が難しいとされる各種デリバティブについても、長年培ってきたノウハウや技術に基づき、業界最先端のリスク計量・管理機能を実装している」と、金融営業本部の小日山功本部長は自社の強みをアピールする。

 リスク管理の一環として、近年注目されている「アンチ・マネー・ロンダリング」への対応を強化した製品も発売した。2011年度に提供を開始したコンプライアンス・アプリケーション「Bank-AML」では、金融庁の定める参考事例すべてに対応したほか、ダウ・ジョーンズのデータベースと連携して、疑わしい取引を検知する精度を高めた。

 さらに、財務分析ソリューションのロングセラー製品「CASTER」についても、引き続き主軸製品として販売に力を注ぐ。「CASTER」は、融資先の決算書を「財務エントリーシステム」に取り込み、独自の「財務分析システム」によって分析するソリューションだ。財務分析のデファクトスタンダードとして、30年以上も地方銀行や信用金庫など全国160行以上への導入実績を重ねてきた。競合他社にはないアドバンテージとして、OCRによる決算書の業界最高水準の文字解析、高度な学習機能も備えている。

 この「CASTER」を核に関連製品で構成する「CASTERファミリー」では、融資審査の業務をほぼすべて網羅する。具体的には、財務分析の次工程で行われる格付・信用リスク管理を「CARM」、自己査定を「Ryoma」で提供。さらに、融資先への事業計画策定支援システム「CIPS」をサービスメニューに加え、財務分析を基にした融資先企業の経営支援までカバーする。

 「わが国では現在、地域経済の活性化が重要なテーマとなっている。そのなかで、中小企業への融資業務を担う地方銀行様の果たす役割は大きい。そこで当社は、『CIPS』を通じて企業の経営効率改善やビジネスマッチングをITの側面から支援する。新たなステージとして収益拡大そして地域の活性化に貢献していきたい」と小日山氏は語る。


クラウドサービスを開始 新たな知見を広げていく

金融営業本部
金融営業部 部長
吉田 有 氏
 今後もさらに製品を増強する計画だ。パブリッククラウドを利用した財務分析サービス「連結≡CASTERクラウドサービス」を第4四半期にリリースする予定。金融業界では、機密情報に対するセキュリティ管理が懸念材料となり、クラウドに対して慎重だ。「連結≡CASTERクラウドサービス」では、一般に公開されている上場企業の連結財務諸表の分析をクラウドサービスとして提供することで、金融業界向けクラウドサービスのすそ野を広げていく。「上場企業への融資が増え、連結ベースで財務諸表を分析したいという地方銀行様は多い。そこで当社は、パブリッククラウドを利用したサービスとして提供し、より多くの地方銀行様のニーズに応えていき、金融業界におけるクラウドサービスの知見を広げていきたい」と金融営業本部・金融営業部の吉田有部長は語る。

 一方、「CASTERファミリー」で融資審査や財務分析を行う範囲を広げる取り組みも始める。「審査業務の範囲を個人事業主まで広げたい、という地方銀行様が増えている。そこで、2013年度内に『CASTERファミリー』のサポート範囲を個人事業主にまで広げる予定だ。この措置によって、上場企業から中小企業そして個人事業主に至るまで、『CASTERファミリー』ですべて網羅できるようになる」(吉田氏)。

 多様化するリスク課題を抱える金融機関に対して、さまざまなソリューションで支援を続けるMKI。その存在感はさらに高まりそうだ。