「受発注」「物流」「帳票」「モバイル」をキーコンセプトに、パッケージソフトや業務向けソリューションを開発するユーザックシステム。スマートフォンやタブレット端末など、スマートデバイスを使った業務支援システムの開発にも力を入れ、第一弾としてiPhoneを使った発注システム「Pittaly(ピッタリー)店舗発注」の提供を開始した。この「Pittaly店舗発注」システムが、クラウド基盤として採用しているのが、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)のパブリッククラウドサービス「Bizホスティング Cloud
n(Cloud
n)」だ。「Cloud
n」を採用した理由について、ユーザックシステムの小ノ島尚博オリジナルソフト事業部取締役部長兼モバイルソリューション推進部長に話を聞いた。
顧客ニーズに応えるソフト開発で顧客からの支持を獲得
ユーザックシステムは、基幹システムの構築のほか、「受発注」「物流」「在庫管理」など、周辺業務に課題をもつ企業が多いことから、指定伝票・送り状・荷札発行ソフト「伝発名人」、オンライン受発注ソフト「EOS名人」などパッケージソフトも開発。名人シリーズは、多くのユーザー企業を抱え、事業の柱の一つになっている。
また、スマートデバイス向け業務システムの受託開発の経験から、スマートデバイスを使った業務支援システムにも着目。モバイルソリューションのための専任部署を組織化し、製品化に取り組んだ。「受託開発は、あくまでもこれまでのパッケージ開発やカスタマイズといった業務の延長にすぎない。スマートデバイスを利用した新しいシステムを開発したいと考えた」と、小ノ島取締役部長は説明する。

小ノ島尚博取締役部長アプリとクラウドサービスを組み合わせた「Pittaly店舗発注」
こうした方針の下に開発したのが、無料アプリの「Pittaly店舗発注」と月額課金の「Pittalyクラウドサービス」で構成するiPhoneを使った発注システムだ。「Pittaly店舗発注」は、iPhone端末に保存されているリストから商品を選択したり、バーコードをスキャンしたりするだけで発注データを作成できる。「Pittalyクラウドサービス」は、各店舗と本部との間で商品マスタを送受信したり、各店舗からの発注データを一括ダウンロードしたりできる。iPhoneさえあれば、どんな環境でもすぐに導入できる点がポイントだ。
ユーザーとして想定しているのは、POS機器を設置できないために発注業務をシステム化できない店舗や、ファクスなどで発注業務を行っている店舗。「販売して間もないにもかかわらず、すでに多くの企業から引き合いがきている」(小ノ島取締役部長)という。
この「Pittalyクラウドサービス」の基盤としてユーザックシステムが採用したのが、NTT Comの「Cloud
n」だ。小ノ島取締役部長は、「自社でPittaly用のサーバーを構築し、運用するという選択肢もあったが、構築・運用・管理の工数がかかってしまう。エンジニアを発注システムの開発に集中させるためには、パブリッククラウドが適していると考えた」という。
NTT Comの手厚い支援やパートナープログラムが大きな魅力
数多くのパブリッククラウドサービスがあるなかで、ユーザックシステムはなぜ「Cloud
n」を採用したのだろうか。小ノ島取締役部長は、「『Pittaly』は業務で使われるので、高品質・高性能が必須条件。また、初期投資を抑えながら、将来は海外で展開できるような拡張性の高さも採用のポイントとなった」と、「Cloud
n」がすべての要件を満たした数少ないパブリッククラウドサービスだったことを指摘した。
NTT Comの手厚い支援も魅力だったという。NTT Comが開催するセミナーでは、「Cloud
n」の担当者と直接コミュニケーションを取ることができる。パブリッククラウドサービスのノウハウをもたないユーザックシステムが「Cloud
n」の採用に踏み切った決め手は、担当者とのやり取りのなかで、さまざまな疑問を解消できたことだった。
NTT Comのさまざまな支援を受けてクラウドサービスを拡充できるパートナープログラムに参加できるというメリットもあったという。このパートナープログラムに参加すれば、「Pittaly」のようなアプリケーションサービスやソリューションをNTT Comのサイトで紹介してもらえることに加えて、共同セミナーを開催することもできる。つまり、マーケティング活動の支援も受けられるわけだ。
「NTTコミュニケーションズが当社とともに市場を開拓してくれるのは、非常に心強い」と小ノ島取締役部長は強調する。ユーザックシステムは、非常に力強いパートナーであるNTT Comとともに、新しい市場を創造しようとしている。