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<MIJS特集>【プレゼンテーション合宿】プレゼン合宿は「伝える力」を育てる場 レベルアップ確実、全体底上げ

2014/01/23 19:55

週刊BCN 2014年01月20日vol.1514掲載

 MIJSの「プロダクトビジネス推進委員会」には、コンソーシアムを象徴する活動として「プレゼンテーション合宿(通称・プレゼン合宿)」がある。MIJSの平野洋一郎副理事長(インフォテリア社長兼CEO)の「欧米のソフトウェア会社に比べて『伝える力』が劣る」という問題意識から始まった活動で、コンソーシアム全体のプレゼン能力を底上げしている。土曜日の丸一日を使って講義や実技を実践的に学び、その成果を「MIJSカンファレンス」で各社の製品・サービスを説明する機会に生かしている。

プレゼン合宿の中心メンバーであるコクヨS&Tの山崎篤シニアスペシャリスト(左)とネオレックスの駒井拓央社長

持ち寄ったプレゼンで切磋琢磨

ネオレックス
駒井拓央社長
 プレゼン合宿は年に一回開催し、2013年で4回目を数える。参加者の数は一回あたり20~30人程度。朝から夕方まで、実技を含めて行われる。全員が事前に自社製品・サービスか「MIJSの目指すもの」というテーマで3分間のプレゼン動画を撮影し、初段階では全員で各参加者の動画を観る。その後、第一回から講師を務める平野副理事長による座学で、質の高いプレゼンをするための「10のポイント(中級編)」について講義を受ける。

 この活動が「実践的」である理由は、講義の後にある。講義を受けた後、持ち寄ったプレゼンを見直して、再度3分間にまとめて全員の前で発表する。その発表内容については、全員で点数をつけて順位を決める。プレゼンはすべて撮影して、YouTubeにアップロードして関係者内で共有している。2013年の「プレゼン合宿」に優勝したネオレックスの駒井拓央社長は、この活動の意義について次のように語る。「MIJSに所属する人は、プレゼンがうまい、といわれることが増えた。全体のレベルが上がっていると感じる。同じコンソーシアムだが、同業他社であり競合でもある独立系ソフトウェアベンダー(ISV)のプレゼンに接するのは刺激的だ」。日頃、営業先やセミナーなどで自社製品・サービスを説明する機会の多いメンバーだが、確実に新たな発見があるという。

 「プレゼン合宿」との名の通り、一回目から三回目までは、宿泊を伴う合宿形式だった。ただ、決裁権が上位の人しか集まらないので、2013年からは品川にあるコクヨの交流イベントスペースを使って、日帰りの活動に改めた。第一回から参加し、いまやプレゼン合宿の代表的な存在になったコクヨS&Tの山崎篤・事業戦略部ネットソリューションVUシニアスペシャリストは、「13年の活動は、若手が多く参加して人数も増え、初参加が半数以上に達した。それぞれ、プレゼンする相手は顧客だったり、社内の上司であったりする。『伝える力』があることを認められたい人が集まっているので、一日参加した人のプレゼンは不快な部分がなくなる」と、効果を語る。


大イベントで成果を試す

コクヨS&T
山崎篤
シニアスペシャリスト
 このプレゼン合宿だが、今回からは一回限りの活動で終わらず、実践の場が用意されている。2014年3月のMIJS最大のイベント「MIJSカンファレンス」で、各社の製品・サービスを2分間でプレゼンする機会が参加者に設けられる。しかも、プレゼン合宿と同様に、参加した人にアンケートを取って優劣をつける。山崎氏は「残念ながら、すべての人のレベルが上がったとはいえない。『プレゼン合宿』をカンファレンスに出るための“予選”にしたい」と改善点を指摘する。



 駒井社長もカンファレンスでプレゼンしたが、「2分間プレゼンは評価が高く、全体のレベルも高い。ただし、全プレゼンが高いレベルで統一できているとは言えず、満足はしていない」と、プレゼン合宿を含め、レベルの高い人だけが出られる競争要素があっていいと振り返る。プレゼン合宿は、自らのプレゼンの質を高める試練の場になっているのだ。どんな良質な製品・サービスを開発したとしても、それを「伝える力」がなければ売れない。MIJSに加盟するISVは大半が世界市場を目指している。大海に出たとき、試されるのがプレゼン力だ。山崎氏は「かたちを変えながら、この活動は継続的に行っていく」と、さらなるレベルアップを狙う方針だ。
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外部リンク

MIJSコンソーシアム=http://www.mijs.jp/