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<MIJS特集>【仙台ワークショップ レポート】仙台でワークショップを開催 会員各社が人材・製品・資本・営業戦略を披露

2014/01/23 19:55

週刊BCN 2014年01月20日vol.1514掲載

 メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア・コンソーシアム(MIJS、美濃和男理事長)は、2013年9月19日、仙台市の仙台国際センターで、「MIJS仙台ワークショップ」を開催した。MIJSが地方で開催している年次のイベントで、今回は「杜の都からオンリーワン・ソリューションを目指して!」をテーマに、講演やディスカッションを行った。宮城県、仙台市、東北大学IIS研究センター、宮城県情報サービス産業協会が後援した。

 ワークショップの冒頭、美濃和男理事長がMIJSのスローガン「MIJSからソフトウェア業界の野茂選手を輩出する」を紹介。「MIJSでは、会員企業がお互いに刺激し合って活力を得て、日本発のソフトウェアが世界を席巻することを目指している」と説明した。

 続いて、サイボウズの青野慶久社長が登壇し、クラウドの浸透によってIT業界に異変が起こっていることを紹介。「これまでは、ハード、ソフト、ネットワークなどのそれぞれの分野を各IT企業が水平分業的に提供してきた。しかし最近では、大手ITベンダーがこれらすべてを1社で販売するという垂直統合の動きが目立っている。このことはISVにとって脅威だ」と、警戒すべき情勢を語った。


 そのうえで、「潤沢な資金をもつ大手ITベンダーと同じ動きをすることは難しいが、特定分野向きの専用クラウドであれば、日本のITベンダーでも垂直統合で提供できる」と説明。サイボウズではグループウェアに特化した垂直統合を進めており、独自開発のクラウド基盤の契約企業数は、提供開始から約2年で5500社に到達しているという実情を紹介した。

(左から)美濃和男理事長、サイボウズ 青野慶久社長

【人材戦略】~福利厚生は会社のもの
「大企業にも採用で採り負けない! 中小ベンチャーにも真似できる人材戦略とは?」

[講演者]
サイボウズ・青野慶久社長
ネクスウェイ・富加見順取締役相談役

[ファシリテータ]
ドヴァ・土橋整代表取締役

 青野社長は福利厚生制度について、「当社は6年間の育児休暇などの制度を設けているが、あくまでも会社都合のもの。離職率の低減や、本人の能力・視野を広げて会社での活動に役立ててもらう狙いがある」とした。富加見取締役相談役は人材採用について、「新たなビジネスをつくっていく行動力のある人物を採用している。行動力は、入社後に育てて簡単に身につくものではない。だから、面接時には、人に言われて行動してきたのか、それとも主体的に行動してきたのかというところに重点を置いて話を聞いている」とした。

(左から)富加見順取締役相談役、青野慶久社長、土橋整代表取締役

【資本戦略】~投資と融資の有効な調達法
「仕掛けるための資金調達、生き残るための資金調達」

[講演者]
インフォテリア・平野洋一郎社長
ネオレックス・駒井拓央社長

[ファシリテータ]
MIJS・美濃和男理事長

 平野社長は、投資金を調達する方法について、「出資する側の視点で話をすることが大事。開発者は、『こういうすごいものをつくるのだ』とアピールすることが多いが、それではだめだ。『これをつくって、これだけ売って、出資した側には、こんな恩恵がある』と説明しなければならない」とアドバイスした。駒井社長は融資について、「諦めないことが大事。私も、かつて取引銀行から融資を断られたことがあったが、そのときには日本全国の銀行を洗いざらい調べて、必死で資金を得ようとした。たくさんの銀行を同時に当たれば、可能性は出てくる」と語った。

(左から)駒井拓央社長、平野洋一郎社長、美濃和男理事長

【製品戦略】~長期戦と捉えて改善を重ねる
「ソフトウェア製品開発を博打にしないためには?」

[講演者]
アクセラテクノロジ・進藤達也社長
システムインテグレータ・梅田弘之社長

[ファシリテータ]
アプレッソ海外・新規事業兼アライアンス・広報担当・亀井美佳部長

 製品開発をどのように進めるかについて、梅田社長は、「長期戦と考えて、継続的に投資していくスタイルを採っている。製品を発売してから1~2年は、あまり売れなくても問題はない。時間をかけてバージョンアップを重ね、製品を改良して拡販につなげる」と説明。進藤社長は、「3か月程度で開発して、売ってみて、使ってもらうようにしている。アジャイル開発方式で、ユーザーと一緒に製品をつくっていくことが大切だ」とした。

(左から)進藤達也社長、梅田弘之社長、亀井美佳部長

【営業戦略】~モデルユーザーを徹底的にサポート
「ソフトウェアビジネスの営業スタイルと、売り上げを伸ばすためのマーケティングとは?」

[講演者]
ウイングアーク・内野弘幸社長
ブランドダイアログ・稲葉雄一社長

[ファシリテータ]
システムインテグレータ・鈴木敏秀取締役

 内野社長は、マーケティングについて、「新商材では、まずモデルユーザーに長く使ってもらえるように、徹底的にサポートしていくことが重要だ。それにつれて、彼らは製品を周囲に伝えてくれて、マーケットでの認知度が高まる。そうすれば販売数が増加し、パートナーから声がかかるようになる」と説明。稲葉社長は、「宣伝、広告、無料ツールなどを活用して、ユーザーの入り口を広くしておけば、食いつきもいい。大事なのは、そこからいかに解約させないようにするかだ」と指摘した。

(左から)内野弘幸社長、稲葉雄一社長、鈴木敏秀取締役
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外部リンク

MIJSコンソーシアム=http://www.mijs.jp/