スマートフォンやタブレット端末の活用がビジネスシーンで広がりをみせている。しかし、その一方でビジネスアプリケーションの開発・運用の負担がユーザー企業の課題になってきている。マジックソフトウェア・ジャパンが2012年12月に販売を開始したアプリケーション開発ツール「Magic xpa Application Platform」は、一つの開発環境と開発手法でクライアント/サーバー、ウェブアプリケーション、RIA(リッチインターネットアプリケーション)を開発することができる。同社の社長である佐藤敏雄氏と、営業本部東日本統括部統括部長兼首都圏営業部部長の末岡慎司氏に、ビジネスアプリケーション開発の課題と同製品の優位性、さらに今後のパートナー戦略について話を聞いた。

20年間の実績に裏づけられたアプリケーション開発ツール

 「こんなに新規の引き合いが多い年はなかった」と、佐藤社長が驚くほど、2013年はビジネスアプリケーション開発・実行プラットフォームの新版「Magic xpa Application Platform(Magic xpa)」に大きな注目が集まった。2012年12月に国内販売を開始した同製品は、一つの開発環境と開発手法でクライアント/サーバー、ウェブアプリケーション、RIA(リッチインターネットアプリケーション)を開発できる、ビジネスアプリケーションに特化した開発・実行プラットフォームだ。


 スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末がビジネスシーンにも急速に普及しているが、従来、モバイルデバイスに対応するビジネスアプリケーションを開発するためには、メーカーごとに仕様の異なるデバイス、あるいは「iOS」や「Android」など複数のモバイル用OSに、それぞれ対応する必要があった。さらに、OSのバージョンアップへの対応やアプリケーションの更新の際にも大きな開発工数がかかって、開発・運用の負荷やコストの面などで大きな課題になっていた。一つの開発環境と開発手法でアプリケーションの開発が可能な「Magic xpa」は、こうしたビジネスアプリケーションのモバイル化にまつわる課題を解消するソリューションである。

代表取締役社長 佐藤敏雄 氏

 「Magic xpaでは、サーバー側にある実行エンジンとデバイス側のOSネイティブの実行エンジンを用意し、その上にアプリケーションをメタデータとして載せています。こうした構造なので、例えばiPadで利用する際は、App Storeから『Magic xpa Client』をダウンロードし、アプリケーションを実行するURLを入力するだけで、アプリケーションをその場で改修してすぐに稼働させることが可能です」と、末岡氏も「Magic xpa」のメタデータ指向のアーキテクチャによるメリットを強調。加えて、「1991年に日本で販売したアプリケーション開発ツール『dbMAGIC』は、IBM、NEC、富士通などさまざまなメーカーのMS-DOSに対応したことで大きな評価と支持をいただきました。時代が一巡し、いまはiOS、AndroidといったモバイルOSの時代です。モバイル時代のアプリケーション開発ツールとして、Magic xpaをさらに強く訴求していく考えです」としている。

 ビジネスアプリケーションの開発・運用を効率化し、開発者の負荷を軽減できることから注目を集め、開発者を対象としたハンズオン体験セミナーでは申込者が急増、月に1回程度のペースで開催していたセミナーを月2回に拡大したという。「2014年はSMB市場、エンタープライズ市場ともに、さらに多くの企業がビジネスアプリケーションをつくり出す年になります。マジックソフトウェア・ジャパンでは、MS-DOSの時代からアプリケーション開発ツールを提供しており、Magic xpaはその20年間の開発実績に裏づけられた開発ツールです。2014年もMagic xpaで企業のモバイル活用を積極的にサポートしていきます」と、佐藤社長は訴える。

アプリ開発者だけではなくエンドユーザーの業務効率化も実現

 アプリケーション開発者だけではなく、エンドユーザーや経営層にも「Magic xpa」の導入メリットは大きい。例えば「Magic xpa」を導入したある企業では、会社統合による経営方針の変更で、従来は営業担当者が月次で売上高や会計データを報告していたものを日次での報告に変更、そこで現場の営業担当者が日々の営業状況をモバイルデバイスからレポートできる仕組みを「Magic xpa」によって構築した。これにより、グループ、部署、事業部単位での売り上げはもちろん、人のリソースの過不足などを経営サイドが日次で把握し、即座に改善指示を出すことができるようになった。末岡氏は、「営業担当者は、モバイルデバイスからデータエントリーするだけです。Magic xpaを活用することで、大きな開発コストをかけることなく、日々の現場の営業情報を経営陣が参照できるようになりました」と説明する。

 別の企業の例では、iPadを導入した際、ビジネスアプリケーションをネイティブ言語(Objective C)で開発して利用していたが、利用するユーザーやデバイスが増えてきたことから、アプリケーションの再構築が必要となった。アプリケーションを開発した企業に依頼したところ、莫大な費用と開発期間がかかる見込みだったが、「Magic xpa」を導入することで、コストを抑えたアプリケーションの再構築が可能になったという。「これは店舗を全国にチェーン展開している企業のケースで、店舗情報を写真で本部に報告し、改善指示などを受ける仕組みだったのですが、このようなカメラやGPSと連携した複雑なビジネスアプリケーションも、Magic xpaを使うことによって短期間に再構築できるのです」と、末岡氏はアピールする。

 また、ある企業では「Windows Mobile」で開発した伝票入力システムを「Magic xpa」によるモバイルRIAでiPadに移行し、伝票の入力時間を50%も削減したという。さらに、製造指示・製造履歴・作業管理票など紙ベースの作業実績管理業務を「Magic xpa」を利用してAndroidタブレットでシステム化することにより、大きな業務効率化を実現したケースもあるという。

 このように「Magic xpa」によるエンタープライズモビリティの実現は、経営層や現場スタッフにも大きな恩恵をもたらす。さらに「Magic xpa」はメンテナンス性が高く、プロトタイピングやスパイラル開発も容易にできるため、業務に即したアプリケーションの改善と更新が期待できる。

産廃処理業者の事例では、Windows Mobileで開発した伝票入力システムを、iPadに移行したことで、大画面化によって入力効率を改善でき、入力時間が1/2程度に軽減した

工業部品メーカーでは、生産管理システムのプロトタイプをPCベースで開発。ユーザーの要望を取り入れながらタブレット版を作成し、2週間サイクルのスパイラル開発を実現している

パートナーとの連携強化でエンタープライズモビリティ市場をリード

 マジックソフトウェア・ジャパンでは、現在、SIerやISVなど約800社のパートナー企業と提携している。その多くが中堅・中小企業向けに製品・サービスを提供し、「Magic xpaによってエンタープライズ市場にも進出してもらいたいと考えています。iPadなどのタブレットは大企業から導入が進んでいますが、コンテンツがないという問題があります。ここにわれわれのパートナーにとっても大きなチャンスがあるのです」と、佐藤社長は強調する。

 既存のパートナー向けには技術教育を施しているが、さらに開発パートナー向けに「Magic xpaモバイル アプリケーション テンプレート」を5万円という安価で提供している。佐藤社長は、「テンプレートを活用していただくことで、システム構築をスピードアップでき、ユーザー企業にとってもアプリケーションの導入前にシステム要件を固められるというメリットがあります。100社を目標に新規パートナーの獲得を進めていきます」という。

 マジックソフトウェア・ジャパンでは、近年のビッグデータ活用のニーズに合わせ、システム間の連携を行うビジネスインテグレーション構築ツール「Magic xpi Integration Platform」のインメモリデータグリッド対応を2014年6月に予定している。これにより、大量データのハンドリングもさらにスピードアップできるという。

 「さまざまなテストマーケティングを2年間ほどかけて実行し、エンタープライズモビリティ市場の課題を探ってきました。他社の開発ツールは価格が高く、アプリケーションを動かすロジックも複雑で、Magic xpaのようにシンプルには利用できません。Magic xpaを核に、2014年はエンタープライズモビリティを一つの事業として成長させることが当社の大きな戦略です。パートナー企業とともにエンタープライズモビリティ市場を拡大していきます」と、佐藤社長は意欲をみせている。

営業本部 東日本統括部 統括部長 兼 首都圏営業部 部長 末岡慎司 氏