通信エンジニアリング会社のミライト・テクノロジーズグループでIBMビジネスパートナーのミライト情報システムは、「SoftLayer」をテコに、IT基盤(プラットフォーム)領域へとビジネスの幅を広げている。2013年にIBMビジネスパートナーに加わった新参で、IBMプラットフォームで長くビジネスを手がけてきた手練れのIBMパートナーに比べれば存在感が薄い側面があった。しかし、SoftLayerという新しいプラットフォームの登場を“チャンス”と捉え、これまで手薄だったプラットフォーム領域での事業拡大を推し進める。

IBMソフト製品に独自の付加価値

 ミライト情報システムの強みは、アプリケーションソフトや運用サービスといった情報サービスと、親会社グループがもつ通信エンジニアリングを一体的にユーザー企業に提供することができる点だ。グループ全体では、ネットワークの物理層、すなわちOSI参照モデルに当てはめれば第1層からアプリケーション層の第7層まで「トータルでサービスを提供できる」(中登義仁・エンタープライズ事業本部プラットフォーム&クラウド技術部部長)という体制を築いている。

(左から)プラットフォーム&クラウド技術部部長 中登義仁 氏、エンタープライズ 営業部 担当部長 岩宮伸幸 氏、エンタープライズ 営業部 花嶋涼子 氏

 しかし、IBMビジネスパートナーとしての歴史は浅い。ミライト情報システム単体では、ソフトウェア開発を主体としてきたこともあり、IBM商材を活用したビジネスは2013年にスタートしたばかり。主力商材としてスマートデバイスと既存システムのハイブリッドなアプリケーションを開発できる「IBM Mobile First Platform(旧製品名Worklight)」を扱ったが、「ミドルウェアだけを提案しても多大な開発が頭に描かれ、なかなか売れなかった」(岩宮伸幸・エンタープライズ営業部担当部長)と振り返る。

 そこで、MobileFirst Platform上で動作する独自の業務アプリ「ImageGate(イメージゲート)」を開発(図参照)。iPadなどタブレット端末に表示したイメージ画像をそのまま設備保守や商談時のプレゼンテーションアプリとして活用するツールに仕立てたところ、ユーザーからの引き合いが急増した。ほかにもネット通販アプリの「IBM WebSphere Commerce(ウェブスフィア・コマース)」での販売でも実績を積む。直近では大手自動車部品メーカーのB2B(企業間)取引サイト向けに販売し、ユーザー企業の日欧米の主要拠点へ展開している。EUではパーソナルデータの越境規制があるため、規制に準拠したかたちで海外データセンター(DC)を活用するなどネットワーク技術に長じた同社の強みを、ここでも存分に生かしている。


IBMの戦略をキャッチアップ

 ミライト情報システムは、Mobile First Plat formやWebSphere CommerceなどIBMテクノロジーをベースとする情報サービスビジネスの割合を、ここ2年余りで単体の売り上げ全体の2割程度まで拡大させるなど、アプリケーション領域を中心としたIBM関連ビジネスを急成長させてきた。とはいえ、もともとがソフトウェア開発のウエートが高かったこともあり、ハードウェア販売の割合が少なく、IT基盤(プラットフォーム)領域のビジネスは、十分に拡大できなかった。

 物理層からアプリケーション層までトータルでサービスを提供できることを強みとしてきた同社では、IT基盤ビジネスは必要不可欠な領域。IBMの主力サーバーであるPower Systemsや、ストレージのVシリーズの販売に努めているタイミングで登場したのが、IaaSのSoftLayerだった。2014年12月には待望の東京データセンターも稼働を開始した。SoftLayerをプラットフォームとするビジネスならば、「各社ともほぼ同じスタートラインに立ったも同然」(中登技術部長)と、SoftLayerをPowerやVシリーズ同様、IT基盤ビジネスの主軸と位置づける。

 IT業界のビジョナリーカンパニーとして定評のあるIBMが、ボリュームゾーンであるPCサーバーを売却した時点で、次世代のボリュームゾーンはSoftLayerへ移ることを確信。ミドルウェアなどPaaS領域については、「IBM Bluemix(Bluemix)」をはじめとしたクラウドベースになるとし、「IBMパートナーとしてビジネスを伸ばすには、こうしたIBMの戦略をキャッチアップしていくことが、巡り巡ってIBMテクノロジーを求めているユーザーのプラスに働く」(エンタープライズ営業部の花嶋涼子氏)と考えるようになった。

 今後は、SoftLayerやBluemixなどのプラットフォーム上に、Mobile First Platformベースに独自開発してきたImageGateや、WebSphere Commerce、さらにはMicrosoft Dynamics AXなどのERP、ISV(独立系ソフトウェアメーカー)の製品群を組み合わせたサービスメニューの拡充を図る。IT基盤からアプリケーション、サービス領域に至るフルラインアップでユーザーの課題を解決することで、ビジネスを伸ばしていく。