2015年10月から国民一人ひとりに12ケタの個人番号が配布され、マイナンバー(社会保障・税番号)制度がいよいよ始まった。16年2月の時点で、マイナンバーは社会保障と税、災害対策に適用されている。

梅屋真一郎
室長 しかし、野村総合研究所の梅屋真一郎・未来創発センター制度戦略研究室室長は、こう捉えている。「開始当初は、まだ個人番号の用途は限定的。しかし、今後は毎年のように法改正があって、使用範囲が広がっていくだろう」。加えて、「マイナンバー自体は単なる12ケタの数字だが、この仕組みは戦後最大の社会変革になる可能性を秘めている」と指摘し、将来的には、より広い分野で番号や番号カードの活用が進むことにより、行政の効率化や暮らしにかかわる制度が大きく改善されていくとの見方を示している。
保険証や銀行口座、キャッシュカードやポイントカードなどとの連携など、今後は個人番号の利用範囲が広がっていくとされる。17年1月には、個人番号カードの順次運用が始まる。そうなれば、各種システムやサービスと個人が容易に結びつけられるようになる。
「マイナンバーの利活用は、日本のIT基盤を根底から変えるインパクトがある」と、梅屋室長は断言する。ITベンダーにとっては、マイナンバー周辺分野をどう開拓して、ビジネスに取り込んでいけるかが各企業の腕のみせ所になる。大きなビジネスチャンスであることは間違いない。