JBCCホールディングス(JBグループ)中国法人の佳報(上海)信息技術(JBCN上海)は、中国での組織体制を刷新した。JBCN上海を中心に中国全土の営業チームを再編。これまで上海や大連、広州など担当地域別に分かれていた営業組織を統合して、中国市場のどこにでも迅速に展開できるよう、スピードや機動力を重視する体制へと転換している。中国ならではの人脈づくりと、本業であるシステム提案の力を、効率よく推し進められるよう再編することで、中国ビジネスの一段の拡大を狙う。
中国での「展開パターン」がみえた!

佳報(上海)信息技術
(JBCN上海)
森 浩二
董事長総経理 JBCN上海の営業力強化ポイントは、「機動力」「提案力」「人脈」の三つだ。「当社にとっての展開パターンがみえてきた」と森浩二董事長総経理はアピールする。
まずは機動力を生かすため、これまで上海や大連、広州など担当地域別に分かれていた営業組織の“壁”を取り払い、「オール中国」の営業体制に移行。また、システム営業の本分ともいえる「提案力」を強化するとともに、中国ビジネスで欠かすことができない「人脈」重視の営業スタイルを徹底させる。
同時にシステム開発を担う体制の見直しも進めている。JBグループの中国でのシステム開発は、大連にある捷報(大連)信息技術(JBCN大連)で行っていたが、人件費の高騰や、営業と開発で法人を分ける意味が薄れてきたことから、JBCN大連は今年3月以降の解散を決定。実質的に今年の春節(旧正月)明けにJBCN上海を軸に営業・SEを中国全土に展開する新体制がスタートした。
システム開発については、JBグループと長年にわたって協業関係にある大連地場の有力開発ベンダーの大連百易軟件との合弁会社であるJBパートナーソリューション(JBPS)が担う。成長に伴って刻一刻と変わっていく中国市場では、「変化への適応力が何より求められる」(森董事長)として、一連の再編を急ピッチで推し進める。
JBCN上海が実際に手がけてきたシステム構築案件のなかから、同社にとっての“勝ちパターン”となる事例を三つ挙げてみる。
●ケース1 中国式の人脈営業で勝ち取る まず一つ目が、上海の日系クリニック(診療所)向けに電子カルテと健康診断システムを納入したケース。日系クリニックといえども、事実上の決定権をもつのは中国地場のキーマンであり、中国ならではの人脈による営業スタイルが有効だった。JBCN上海では人脈営業を得意とする営業マンを中心にチームを編成し、受注を勝ち取っている。
●ケース2 緻密な提案力と機動力で勝ち取る 二つ目のケースは、日系の大手製造業顧客に向けた生産管理システムの構築案件。ここでは、緻密なシステムの「提案力」が求められた。さらに案件の規模が大きいため、さまざまなスキルをもった営業やSEを動員する「機動力」も必要で、森董事長が進めてきた営業や開発体制の刷新につながったプロジェクトでもある。
●ケース3 Power運用の信頼性で勝ち取る 三つ目のケースは、大連の中国系の地場製造業の顧客に向けた「IBM Power Systems(旧AS/400、旧System iシリーズ)」サーバーをベースとした生産管理システムの構築案件。顧客は古くからのPower Systemsユーザーであり、何よりもシステムの信頼性を重視していた。Powerベースのシステムの構築と運用サービスにかけては、JBグループが最も強みとしている領域であり、日本国内での長年の運用実績をていねいに伝えることで「Powerの運用でそれだけ信頼がおけるなら」と受注を勝ち取った。
利益の7割をサービスビジネスが占める
JBCN上海がとりわけ重点を置いているのが、JBグループが強みとする運用センター「SMAC(ソリューションマネジメント&アクセスセンター=スマック)」の活用だ。日本国内のSMACは東京と大阪の2拠点、中国では大連に拠点を置き、24時間365日の体制でユーザーのシステムを遠隔で監視し、何か不具合があればすぐに対応できる準備を整えている。もう一つ、「IBM Power Systems」の運用監視では圧倒的なシェアをもち、上記のケース3では、この点を顧客から高く評価されるポイントとなった。
直近の中国ビジネスの売上構成比をみると、SMACをはじめとするサービスが約5割、ハードウェア販売が約3割、システム構築(SI)が約2割とサービス比率が高い。さらに、利益構成比でみると全体の約7割がサービス関連ビジネスで占められているという。直近の運用サービスではBCP(事業継続計画)に絡んだシステム監視やバックアップ案件の受注も増えており、中国においてもJBグループの強みであるSMACや、IBM Power Systemsに対応した高信頼の運用サービスが大きな強みになっている。
JBCN上海は、「機動力」「提案力」「人脈」を重視した営業・SEの配置や、人員の増強、さらにはSMACを軸としたサービスビジネスを一段と強化することで、中国におけるビジネスのより一層の拡大を目指す。