Special Issue

デル 国内トップレベルの技術フロントランナー パートナービジネスを加速する 知られざるデルのサポートの実力

2016/08/25 19:55

週刊BCN 2016年08月22日vol.1641掲載

 4月18日号の『週刊BCN』で取り上げたデルの特集記事は大きな反響があった。その内容は、セールスとマーケティングの視点から、デルの展開するパートナービジネスを紐解いたものだったが、パートナービジネスの真価はバックエンドのサポート力も大きく寄与する。パートナーがデルの製品を安心して販売できるようなサポートメニュー、技術力、体制は整っているのか。本記事では、デルのサポート力がどこまでパートナービジネスに付加価値を与えることができるのかをみてみたい。

(左から)村上 洋介 テクニカルサポート シニアエンジニア、堀之内 聡子 保守サービス営業部 マネ-ジャー、清田 知法 テクニカルサポート 部長、金子 知生 テクニカルサポート テクニカルサポート本部長 兼 宮崎カスタマーセンター長、ジョン・ロボトム サービス営業統括本部 統括本部長、黒田 晴彦 最高技術責任者、平手 智行 代表取締役社長、木村 大 サポートサービス 統括本部 統括本部長、岸本 愼吾 エンタープライズ・テクノロジー・サービス統括本部 統括本部長、小名木 弘次 サービス営業本部 部長、三島 浩樹 グローバル コマンドセンター マネージャー、石田 佳弘 サービス営業本部 パートナーアライアンス マネ-ジャー

変化するパートナーの課題に先回り

 急速に変化するデジタル時代において、IoT、クラウド、モバイル、ビッグデータなど、ユーザーの要求はますます複雑化してきている。ビジネスのやり方やスピードの変化が求められるなか、パートナーが提供するITインフラストラクチャ構築においての相談や問い合わせに迅速・柔軟に対応することは極めて重要である。2015年8月にデル日本法人のトップに就任した平手智行社長は、パートナービジネスを推進するため、「サポートの重要性はいうまでもない。サポート関連スタッフのモチベーションはとくに重要だと感じている。満足度の高いエンジニアは、パートナー様の満足度向上に必ず貢献できる」と話す。そのうえで、「パートナー様の課題に先回りすることなどで、真のパートナーへ近づいていくと確信している」と、パートナーの要望に応えていくことでサポートの技術力を磨き上げる。また、前線にいるエンジニアとの対話を繰り返している。

電話対応は日本人の正社員エンジニア

 デルの法人向けサポート&サービスでは、サーバーやストレージ、ソフトウェアなどエンタープライズ製品と、パソコン(PC)などのクライアント製品を問わず、川崎市(神奈川県)と宮崎市(宮崎県)のカスタマーセンターで、ユーザーやパートナーからの問い合わせに対応する。両拠点で対応する約600人は、全員が正社員で高度な訓練を受けてきた専門技術を有するエンジニアだ。ここ数年で、とくに、エンタープライズ製品に関する複合的な問題に対応するため、ベンダー各社の認定資格者を増やし、より高度で専門的な技術によるサポート対応を強化している。その資格保有数は数千を超える。また、エンタープライズ製品とクライアント製品の両方で「プロサポートスイート」と呼ぶサポート制度を用意し、対象顧客や導入製品の規模、オンサイト保守の有無などの要件に応じてクラス別に保守契約をしている。プロサポートスイートはグローバル共通で、保守契約期間はメーカー保守として長期の最大6~7年をも提供する。これほどの長期保守で、カスタマーセンターで対応する人員がすべて正社員のエンジニアであるITメーカーは、デルをおいて他にはない。サポート&サービス関連全体の責任者であるサポートサービス統括本部の木村大統括本部長は、「これまでのユーザーは、サポートを保険とみなして投資してきた。だが、デルのサポートはSupportAssistによって自動故障通知が出て事前のトラブル回避やトラブルが大きくなる前に対処することができ、システムの可用性を高めるための運用アドバイスも充実している。パートナー様にとっては、サポートが付加価値になる」と話す。

 ユーザーやパートナーからの問い合わせは、電話や電子メール、チャットなどで受け答えをしている。デルの電話対応は外国人がしているのではというまことしやかな話があった。テクニカルサポートの清田知法部長は、「デルのコールセンターに電話をすると、『たどたどしい日本語を話す外国人が対応して困る』という“都市伝説”が確かにあった。実際はその正反対でお客様とパートナー様からの電話は、勤続年数の長い正社員が受けている。もちろん全員が日本人」という。さらに、「一人のエンジニアが複数の認定資格を取得し、責任をもって対応し、お客様の抱える問題や課題を早期に解決している」と話す。

世界のサポート状況を分単位でリアル監視・追跡

 180か国以上で展開しているデルでは、全世界の技術力を結集して対応する。海外の技術者とも連携して問題を解決へ導くことを担当するテクニカルサポートの村上洋介シニアエンジニアは、「問い合わせの特定機器だけでなく、お客様のシステム全体を包括し問題を解決することをチームで徹底している。海外の開発部門とタイムリーに連携することも多くクリティカルな状況でその真価を発揮できる」と、難題の早期解決を図る。

 デルでは、技術面だけでなく、「グローバルコマンドセンター」で世界中のサポート状況をリアルタイムに監視・追跡していることも強みだ。同センターの三島浩樹マネージャーは、「日本国内のどこであっても、リアルタイムに状況を把握できるため、お客様にあと何分で到着できるかがわかる。デル社員の使命はお客様のIT環境を常に機能させることを標榜しており、安心してデル製品を利用できることを目指している」と語る。知られていないが、デルは日本国内のほとんどの県にサポート供給体制を敷いており、そのため分刻みで到着予測ができる。

デル製品をもっと選んで満足度を感じてほしい

 デルは、一般のオフィス向けのハードウェアを提供するメーカーのイメージが強い。ところが、エンタープライズ・テクノロジー・サービス統括本部の岸本愼吾統括本部長は「デルは、機密性が高い電子カルテを含む医療ソリューションをパートナー様とともに販売から構築まで手がける『コンサルタント・チーム』を備えるなど、重要なシステムを提供している経験と自負がある」と、デルのコンサルティングと製品で、さまざまな業種における専門分野のソリューションも、パートナーと協業して提供している。

 デルのサポート&サービスの基幹を担うのは、宮崎カスタマーセンターだ。テクニカルサポートの金子知生テクニカルサポート本部長兼宮崎カスタマーセンター長は、「お客様の満足度を高め、もっとデルを選んでいただくための拠点だ。昨年10周年を迎え、優秀な人材・エンジニアを多く育成してきた。デル製品を誰よりも知っているこれらのエンジニアのさらなるスキル向上を怠ることなく、お客様によりよいサポートを提供する」と、国内最高のサポートをさらに向上させ、もっとデル製品を選んでもらうための対策に余念がない。

日本特有の要求・ニーズに応えるサポートを構築

 デルは、パートナーが安心してデル製品を販売できるよう、日本特有のニーズに応じて満足度を高めるための体制を整備してきた。パートナーをサポート面で支援するサービス営業統括本部のジョン・ロボトム統括本部長は、「ハイブリッドクラウド時代になり、お客様の要求は刻々と変化している。デルは、ハードウェアの提供だけでなく、インフラ・コンサルティングから導入支援まで、パートナー様のサポートの強みと合わせて、市場最先端のソリューションを提供できる」と、パートナー各社に合った支援策を講じている。

 デルのサポート&サービスの基軸は、グローバル共通で提供されているプロサポートスイートだ。同サポートの責任者であるサービス営業本部の小名木弘次部長は、「グローバル共通のサービスは、融通が利かないと思われがちだ。しかしデルでは、日本特有のお客様のニーズに応じて再構築している」という。また、「機器を導入した初日から最大限に活用できる『プロデプロイサービス』をパートナー様に活用いただくことで、より高次元なサポートをユーザーに提供する協業スキームを構築できる」と、パートナーはデルの認定制度を利用することで最新テクノロジーを短時間で展開でき、ユーザーの手を煩わさずに導入が可能となる。

新たな機会を創出する長期間の「特別保守延長」

 前述した通り、デルのサポートは保守期間が最大6~7年に延長可能で、かなりの長期間だ。保守サービス営業部の堀之内聡子マネージャーは、「驚かれるパートナー様も多いが、デルは多くのお客様からご要望をいただく『特別保守延長』を提供している。そのため、お客様と長いおつき合いに発展することが多く、長期に渡る保守サービスの提案など、パートナー様の新たな提案機会の創出に貢献できる」と、ユーザーとつき合いを深めることで、次のシステム提案の機会が生まれる。

 こうした競合他社と異なるデルのサポート&サービスは、パートナーがデル製品を販売する際に大きな武器となる。また、サポート内容を知る機会も多く用意されている。サービス営業本部の石田佳弘パートナーアライアンスマネージャーは、「デルの直販からパートナービジネスへのビジネスモデル変革は、販売面に限らない。定期開催している『サービスフォーラム』を通じ、サポートの裏側を余すことなくご覧いただける」 と、パートナーはサポート面でもユーザーにアピールポイントを訴求できる。

技術トレンドの変遷に俊敏の追従

 メーカーのサポート&サービス責任者一同が取材に応じるのは極めて珍しい。これは、ユーザーがデルの大代表に電話し、責任者を名指しで呼び出せることを意味する。今回の取材では、サポート&サービスの顧客満足度のさらなる向上を目指し、努力・改善を行っている姿を垣間見ることができた。こうした日々のたゆまぬ活動の積み重ねからの自信の表れに他ならないだろう。

 平手社長の就任後、矢継ぎ早な改革が行われてきたが、そのなかでも特筆すべきものとして、デル米国本社以外で初となる最高技術責任者(CTO)の任命が挙げられる。2016年5月に就任した黒田晴彦最高技術責任者は、「これまでユーザーの立場でメインフレーム、ダウンサイジング、BPR、クラウドと、技術の変遷をみてきた。今後はIoT分野に大きな動きが出てくるだろうが、デルの技術の多様性は今後の技術の変遷にも対応できる。これからも、ユーザーの利便性を最優先に考え、パートナー様と緊密なおつき合いをしていきたい」と、ユーザーのシステムの変遷や、今後必要とされるテクノロジーの変化に柔軟に対応できるサポート体制を築くとしている。

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『パートナービジネス』に関するアンケート
http://www.seminar-reg.jp/bcn/survey_dell_support0925/
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外部リンク

デル=http://www.dell.co.jp/